「故・渥美清の役者魂」キネマの天地 talkieさんの映画レビュー(感想・評価)
故・渥美清の役者魂
「庶民派スター」の田中小春と、その相方のイケメン助監督が画面の「華」ということなのでしょうけれど。
しかし評論子は、小春の父親・喜八(渥美清)ばかりを見ていました。
今は物故されていますが、本当の実力のある俳優さんでしたから。
喜八が、ご近所のゆきの家で、縁側を借りて小春に稽古をつけるシーンがあります。
その時の喜八の所作が、喜八こと渥美清の役者としての、実は真骨頂だったのではないかと、評論子はは思っています。
(このシーンで、渥美清が倍賞千恵子に相槌を求めたところは、実は、台本にはないアドリブだったのではないかと、ひそかに考えていたりもしました)
そこに、渥美清の「役者魂」を感じた一本ということになりました。
評論子には。
小春の映画出演を率直に祝福してくれる、ゆきの夫の弘吉、松竹大船撮影所の城田所長、女優(役者)としての小春を徹底的に鍛えてくれる緒方監督といった豪華な俳優陣のほか、山本晋也監督や笠智衆が、これまた素晴らしい脇役を務めていて…。
一見すると…、否、まさに本当に「映画賛歌」なのですけれども。
しかし、それでいて、「べたべたの映画賛歌」くさくなく仕上がっているところが、素晴らしい一本だったと思います。
充分な佳作としての評価に値すると、評論子は思います。
<映画のことば>
「要らないもの?それじゃあ、この俺でも持って行くか。」
「旦那、ご冗談ばっかり。」
「この家でいちばん役に立たないのは、この俺だよ。メシ食っちゃあ、クソたれるばっかりで。」
「そんな気分になることもあるよね。」
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