機動警察パトレイバー2 the Movieのレビュー・感想・評価
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どまんなかアニメ映画祭にて見てきました
名古屋で行われた、どまんなかアニメ映画祭にて久々に見てきました。映画以外の情報が嫌いな方はここからは読まないで下さい。
見始めてすぐにサウンドリニューアル版と分かりがっかり。私はオリジナル音声派なので。採点のー1はこの分です。
映画自体はもう何も言う必要が無いくらいに超名作です。これをサリン事件や911の前に作ったというのが信じられない。(でも、後だとさすがにあれやこれやのシーンは作れないでしょうけどね。)
リアルロボット物の究極にして最後の1作だと思っています。オーバーテクノロジーや魔法を使わない、現代の技術の延長という意味でのリアルロボットでは、墓標のような映画かと思います。(純粋に軍事的に考えると巨大戦闘ロボはナンセンスという意味で。)
映画の後のトークショー(メカデザの出渕さんと脚本の伊藤さんという超豪華なお二人!!)で、出渕監督が「リアルとリアリティは違うんだよ」とおっしゃっていたのが印象的でした。作り手はみんな分かった上で、何とか本物らしさを出そうと頑張っているんですね。
トークショーの話はめちゃくちゃ面白かったのですが、(主に人間関係の)やばそうな話が多くて、これ以上はやめておきます。
最後に、柘植がテロを起こした動機は「戦争という空間を作って見せたかったから」。誰に見せるのか?東京都民か、日本国民か、なんて昔は考えていましたが、柘植という男はすなわち押井監督で、見せたかったのは、視聴者だったんですね。「僕らが謳歌している平和は、外国の戦争の上に成り立ってんだよ」と。その上でこの国がどうなるのか、「もう少し見ていたい」と語っていた。あれから30年・・・、幸いな事に911のような血の代償を払う事なくゆっくりと老衰しつつあるこの国の姿は、押井監督の目にはどう映っているんでしょう。それともまだ成就していない予言なんでしょうか。
『この国はもう一度、戦後からやり直すのさ』
1990年 インターネット、デジタルハイビジョン 国際連合平和維持活動
1991年 湾岸戦争
1992年 ボスニア・ヘルツェゴビナ
1995年 地下鉄サリン事件
1995年 Windows95
2001年 同時多発テロ事件
このアニメは現時点での日本国憲法ではあり得ないクーデターの話。しかし、軍隊を持てば、日本だけがあり得ない話ではない。実際、冬の雪の日に、同じ東京でそれがあって、第二次世界大戦へと大日本帝国は進む。
バブルは崩壊して、日本は、現在まで何もかも下降する一方。軍事力を増大させる事が国力ではないと、このアニメの『つげ』の様に、まだ分かっていない。
『この国はもう一度、戦後からやり直すのさ』
『日本の平和は作られた平和ボケかもしれないが、この戦いも作られた戦争。この街はリアルな戦争には似合わない』
『もう少し、見ていたかったのかもしれないな。この街の未来を』
海外では非常に評価が高く、国内では大多数から酷評されている作品
それはこれだけの大作のレビュー数が100に満たないことでも良く分かる。
まあ、無理もない。
この映画では主人公の特車2課の面々はほぼ脇役以下に追いやられ、ようやく彼らが活躍し出すのは後半以降。
つまり、この作品の本題はパトレイバーの活躍ではなく、パトレイバーという基本設定の中で、日本の抱えるタブーや暗部を「真正面から斬る」ことにあり、だから観客は「何だこれ?」って話になるのだろう。
ただし、それでも制作陣からすれば「まだまだ言い足りない部分」が多くあったのだろうし、押井作品は制作段階でお蔵入りなんて事も何回かあり、今回もそういう、親会社とのギリギリのせめぎ合いの中で「作られた感」が滲み出ている。
とにかく押井作品はいつも同じで「虚構と現実」を、どの様にして作品の中に映し出すのかに終始する。
今回は柘植行人(告げゆく人)という元自衛官が起こした、自衛隊機(実態は日本で軍拡を目論む勢力の教唆による米軍機の使用)の横浜ベイブリッジ爆破がきっかけとなり、物語が進行していく。
その後は事件に驚愕しつつも、あくまで表面的な体面のみを守ろうとする警察、自衛隊、そして政府が、互いに責任を押し付け合い、キリキリ舞いさせられ「柘植の思惑通りのド壺」に落ち込んで行く様が、非常にリアルに描かれている。
国民の生命財産よりも、自分たちの体面や利益を何よりも優先する。
この辺りは昨今の統一教会騒ぎやコロナ対応などを見ると、今も全く変わっていない気がする。
劇中で特に印象的なのが日常と戦争の対比だ。
万策尽きたと考える日本政府が、何気なく警察と自衛隊をすり替え「治安出動」という名の「実質的な戒厳令」を敷いても、日本人は何事も無かったかのように満員電車に乗って出勤し、完全武装した兵士や戦車の横を、無表情で通り過ぎていく。
国がやることだから自分には関係ない。それより自分の生活が大事なの。だからそれ以外はどうでもいいの。ゴチャゴチャうるさいな。見たくない物は見なければいいじゃん。
もちろんこの状況は柘植の思惑通りであり、これで自分の息の掛かった反乱部隊を、何時でも動かせる状況になった。
こんな事は一番最初に想定しなければならないことなのに、政府は全く考慮せず、思考停止のまま事態を悪化させ、首都東京は「なし崩し的な内乱状態」へ突入してしまう。
もちろん、よくよく考えると「整合性の取れない部分」は多く、色々とアラも多いが、それでもこの作品をリアルに感じるのは、この日本という国が現実と虚構の「区別が付かないままに」何故か国家として成立してしまっているからだろう。
劇中でも言われるが「何もしない国民」が大多数である限り「彼ら」は安泰であり、いつかこの映画に描かれたことが現実化する日が「来る」のかも知れない。
押井だ・・・・・
良くも悪くも押井守。
前作がまだパトレイバーとして作る意味は有った様に感じるが、これをパトレイバーで作る必要が有ったのかなぁ。野明と遊馬は篠原重工に開発で出向。特車の基地?に残っているのは両隊長とひろみちゃん。整備班もシゲさん以外は確認出来ず。
物語も南雲の昔の恋人と言うか不倫相手が起こす、テロに掻き回される自衛隊と警察。南雲が昔の不倫相手に未練があるのか無いのか、それを気にする南雲との距離を縮められない後藤。と言う中年のラブロマンスにも見える。
現役のパトレイバー部隊は活躍するコト無く、ヘリ一機の奇襲で全滅。後藤が隠していた機体で旧メンバーが最終盤にようやく出動。数分です。
キャラデザインも一応、ゆうきまさみの名前が残っているが、野明と遊馬は誰?って感じだし、南雲緒・後藤も面影は残っているけど疲れたオバサンとオジサン。遊馬ももはや警察に所属している必要無く、実家の篠原重工に転職した方が早くね?って状況と、終盤のパトレイバー出番前の躊躇。
世間的には、やはりコミック版やOAVでのゆうきまさみデザインらしいキャラとストーリーがパトレイバーのイメージ。
この設定だったら、パトレイバーと言う看板を使う必要無かったんじゃないだろうか。作品としては悪くないだけに、「でも、見たいのはパトレイバーなんだよ」と言うジレンマが。
世界中のクリエイターが衝撃を受けた
現在に至るまでリアルロボット映画でNo. 1と言われ、国内でも大量のフォロワー作品が出た、ポリティカル・ロボットアクション映画。
【ストーリー】
自衛隊員に犠牲者が出たPKO活動中の襲撃事件から日本に戻り、あの地獄を現代日本に再現したいと願う柘植という知的テロリストと、それを阻止せんとする我が特車2課の面々。
かつて柘植と許されざる仲だった南雲警部、その暗躍に心揺れ動かされる一方で、徐々に柘植の陰謀に肉迫する後藤と荒川。
すべてが詳らかになり、最後の戦いへとおもむく南雲の側には、現場後方に分散されていたはずの第二小隊のあのふてぶてしい面々が。
この映画を絶賛するクリエイターの列挙やその発言内容はウィキペディアに譲りますが、こんな物語が作れるのかと、正面からノックアウトされたような衝撃であっただろうことは想像に難くありません。
もしもあなたがクリエイターなら、この映画を初めて見たときのあの胸の焦がされるような嫉妬を楽しみつつ、いやー押井守監督がテロリストでなくてよかったよかったと胸でも撫で下ろし、さあどうぞこの歴史的傑作をご賞味くださいませ。
当作の南雲さん、本当に可愛いですよ。
政治色が濃いな〜
特車二課のレイバーが出番少ないっ!
後藤隊長を中心にする感じで鑑賞しました。
洞察が鋭くて事件を解決に導くけど、ルールはどんどん破って上層部からは厄介者的な扱い、なのになぜか降格も解雇もされない。しかも、待機中のレイバーが奇襲で全滅したのに、隠し持っていたパーツから3機も組み立ててる。どうやって経費・予算を誤魔化したのやら。
どんだけ上の方にパイプが太いんでしょう。
でも、南雲隊長には弱いという点は面白いです。
後藤隊長はアニメや映画で見る分には面白い、そして時々は頼もしい人物ですが、自分の部署にいたら扱いに困る面倒な人に感じます。
一緒には働きたくないなぁ (^_^;;
ストーリーは政治と軍事、そこに南雲さんの過去の恋愛が絡んできて、ちょいと感傷的なところもありました。
南雲さんの女性的な面が描かれることってあまり無いように思いますから、新鮮でした。
ですが、話しの中心は政治的な駆け引きが軸だったと思います。
展開を先読みしながら、当たったり外れたりと観ていくのはとても面白かったです。
ただ、レイバーの出番が少ないんですよ、レイバー同士の対戦も無いし。
もっとレイバーを出して欲しい。
パトレイバーの世界を構築しながらも、アニメーションの技法をフルに使った超一級のサスペンスドラマです。
「機動警察パトレイバー the Movie」が大好きで劇場版第2弾となる「機動警察パトレイバー 2 the Movie」も大好きな作品の一つ。
DVDでは何回も見ていますが、劇場では未鑑賞なので、昨年4DXで公開された劇場版パトレイバーの第2弾として公開。前作と同じ4DXとサウンドリニューアル版として上映されるとの事で鑑賞しました。
で、感想はと言うと、良い。やっぱり良い♪
何回も見ているけど、映画館の大スクリーンで観ると迫力満点。
堪能しました♪
平成ではなく昭和が続くパラレルワールドの中で2002年のパトレイバーの世界を描いたシリーズ完結篇的意味を持つ作品で前作と違いリアル感を全面的に押し出し、アニメーションと言う表現方法を使いながらもシリアスな部分とパトレイバーらしさを巧みに使用したエンターテイメントとしても超一級の作品。
「レイバー」を起用しての描写は極力少ないが、特車二課第二小隊の隊長、後藤喜一を主役にし、物語の主軸は第一小隊隊長の南雲しのぶにしている事。また影の主役となる柘植行人と物語の起伏を生む荒川茂樹の使い方が絶妙。
本来の主役となる野明や遊馬と言った第二小隊の活躍は少ないし、前作に比べてパトレイバー感は薄い。
でもパトレイバーの持つ世界観を醸し出しながら、押井守色が全面で出ていても満足度がかなり高いんですよね。
また、クライマックスの埋め立て地に向かう最終決戦での軍用無人レイバー「イクストル」の無機質かつ圧倒的な火力での迫力と恐さは今作の数少ないレイバー戦での見応えを表していると思うんですよね。
前作とは方向性が違っているので一概に比べるのはナンセンスですが、後の実写版「THE NEXT GENERATION パトレイバー」としての基本ベースにもなってる程の緻密な設定は前作と双璧を成すぐらいに大スクリーンで観る価値のある作品ではないでしょうか?
ストーリーは1999年、東南アジア某国でPKO部隊として日本から派遣された陸自レイバー小隊が反政府ゲリラ部隊と接触、本部からの発砲許可を得られないまま一方的に攻撃を受けて壊滅し、たった一人の生存者として生き残った柘植行人とそのシンパのテロリスト達が一発のミサイルから起こす東京での「戦争」を描いた作品で、いちいち細かくていちいち面白いんですよねw
サスペンスドラマとしても一級品で自衛隊のクーデターと言うテーマは初期のOVA版の「二課の一番長い日(前・後編)」でもモチーフにされてますが、こちらの方がスケール感は数倍面白い。
また、幻の新橋駅と言う「旧新橋駅」をモチーフとした考察もマニア心をくすぐる感じw
声優にも随所に拘りがあって、荒川茂樹役の竹中直人さんや柘植行人役の根津甚八さんが抜群。
荒川の出番は後藤隊長と同じぐらいに出番は多いので、台詞も多数ですが、竹中直人さんの声優としての技量の高さをまざまざと感じられます。
また、荒川の台詞がカッコいいんですよね。
ストレートに表現せず、独特の言い回しで含みと深みを持たせた言葉は芯を突いていて、名言の数々は台詞だけでもこの作品の緊張感と完成度を言い表してます。
また劇中でテレビなどのニュース番組の内容が映されているシーンでも現役アナウンサーが声優として出演している事や自衛官や民間人等は「声優による上手すぎる演技」を払拭する事で現実感や臨場感を強調する為の措置が取られていたんですが、今回のサウンドリニューアル版ではそこはプロの声優で再収録されているのを上映してますが、でも全然違和感無いです。こう言う拘りなんかがてんこ盛り。
個人的に最も好きなのは空爆の証拠映像となる「思ひ出のベイブリッジ」と遊馬と野明が特車二課に復帰する車の中のシーン。引退した榊元整備班長、通称オヤッさんの元にシゲさんをはじめとする弟子の整備班員が集結するシーン。整備班のブチヤマの食料買い占めシーンですかねw
個人的には前作よりもサウンドリニューアル版での違和感が感じられないのが良いんですが、4DXの特性の良さを感じられても28年前の作品ですし、4DXの特性に無理矢理合わせた感じは正直否めない。また金額が3,000円と言う高額な価格に似合うかと言うとちょっと疑問点が付きます。
それでも劇場で観れた事にはやっぱり感動。
押井守独自の「都市論」と東京に「戦争」という状況を作り出し、毒ガス攻撃や治安出動、縦割り行政とセクショナリズム、在日米軍、破壊活動防止法、デジタルメディアの信憑性等と言ったその後現実世界で問題になる多くの要素が含まれている10年どころか20年は早かった作品で今見ても遜色無し。
個人的には昨今のアニメ作品とは一線を画する感じで他の邦画・洋画作品と並べても対等に「勝負」が出来る稀有な作品ではないかと思います。
見ていない人がいれば劇場での鑑賞は稀になっていますが、是非DVDでも見て頂きたい、超お勧めの作品です。
良い作品だけど
良い作品だと思うし、好きなんだけど、パトレイバーじゃないのかな~という感じ。
当時、レンタルで見て面白いけどなんかもやっとしたのは多分、これが理由なのかな。
第二小隊自体がほとんど出てこないし。
自衛隊機が迫るシーンとか好きだけど、パトレイバーとしてやらなくても良かったのかなと思います。
前作に比べて4DX向きでは無いかもしませんね。
水のしぶきは池袋グランドサンシャインよりユナイテッドとしまえんの方が派手な気がします。
メガネ吹かないと見られなかった(笑)
よかった
公開当時、お金をケチってレンタルビデオで見て映画館で見なかったことを後悔した記憶があり、それ以来多分2回目。1作目の映画の方が面白かった印象があったのだけど、やっぱり1の方が物語にダイナミズムがあって面白い。どっちも、ほぼいないも同然の敵と戦う話。
当時流行った「終わりなき日常」みたいな空気が前提となっており、それ以降、2回の大震災やオウム事件、原発事故、現在進行形のコロナなど有事に政府の対応は後手後手になっている現実に直面していて、自決しなかった柘植はこれらを見てどう思うのだろう。こんなにひどい状況でも政財界と政府は癒着して中抜きばかりしている。
アクションが少ない。レイバーが戦うのは地下道でタチコマみたいなのと戦う場面だけで、しかもエレベーターのところは省略。ノアはほとんど見せ場なし。
雰囲気たっぷりの会話は芯をくっているのかどうか、噛み合ってるのかよく分からない。後藤の抜けた感じがいい。
時代の違いは感じるかな
コロナ禍のこの状況でしばらく4DX作品を見てないこともあって久しぶりに4DX体験をしたく、また作品評価が高い事もあってこの度初鑑賞。
アラサーのためリアル世代ではなくその為この作品の公開年に観たこともない。
比較的ノーマルなアニメ作品は好きな方だが、リアル世代ではなく特に強い思い入れもないという事もあってか可もなく不可もなくといった感想。まぁそれなりには楽しめたが時代の違いは感じたかな。
というのも柘植の動機とか最初から最後までベールに包まれていたのに捕まるシーンはあっさりしているのがイマイチ楽しめなかった。
前作はHuluで見たが、もちろん前作を見るに越したことはないが今作は今作で初めて見てもまぁ見られる作品であろう。
4DXが無性に利用したくなり今回はそれを最優先にした為個人的には満足はした。
作品自体初見ということもあってか物凄く作品とマッチしていたかは別として、4DXを楽しむのを優先するのであれば最低限以上は楽しめる作品ではある。4DXは比較的好きな方だがボヘミアンは4DXを楽しむ事においては全くダメだった。そのような事は確実にないと人にも勧められる。
この時代の作品の声優さんはそれぞれ特徴ある声で分かりやすくそして聞きやすいのがいいよね。声だけでどのキャラか瞬時に理解できる。
メインではないとはいえ古川さんやら千葉さんやら馴染みのあるアニメの声優さん達の声を聞けるのはやはりテンション上がる。
カミソリ後藤、ふたたび!
パトレイバー、最高です。
4DXは、パトレイバーにあってます。
カミソリ後藤の復活…竹中直人の怪演…押井監督の冴え、最高でした。
98式イングラムは、活躍しません。
Part3も4DXで観たい!!
第二小隊最後の戦い。 正しい資質よ、永遠なれ!
警視庁警備部特車二課第二小隊の活躍を描くロボットアニメ『機動警察パトレイバー』シリーズの、劇場版第2作。
横浜ベイブリッジ爆破に端を発するテロ事件に、特車二課の面々が立ち向かう。
監督は前作から引き続き押井守が務めている。
陸上自衛隊幕僚監部調査部第二課別室に所属する陸上自衛官、荒川茂樹の声を演じるのは『私をスキーに連れてって』『シコふんじゃった。』の竹中直人。
パトレイバーの世界は作品ごとにパラレルであるとされているが、1998〜99年が舞台であるという設定は共通している。
しかし、本作で描かれている時代は2002年。
他のどの作品より時系列が後ということもあり、お馴染みのメンバーは後藤隊長、南雲隊長、シゲさん、ヒロミちゃんを除き散り散りになっており、また「バビロンプロジェクト」の完了により都内からレイバーが少なくなった為レイバー犯罪も減少し、レイバー小隊は益々無用の長物となっている。
映画全体に流れるのはそこはかとない無常感。「あぁ、これまでの楽しい祭はもう終わってしまったんだ…」という雰囲気に満ちている。
この空気感はファンであればあるほど耐えがたい哀しみとして胸に迫ってくるでしょう。
だからこそ、終盤にお馴染みのメンバーが後藤隊長の下に集い、事件に立ち向かう場面は燃える!!
「祭りの最後にドデカい花火を打ち上げたるでっ!」という感じで、めちゃくちゃワクワク!!
前作はエンタメ重視でギャグも多めな、『パトレイバー』の劇場版らしい作品だったが、本作はそれとは方向性が全く異なる。
『パトレイバー』のロボットアニメ的な要素を極限まで薄くして、その分非常に押井守的な、安穏としている日本社会に対し問題を提起をするかの如きポリティカル性をぶち込んでいる。
基本的には会話劇であり、結構重要なポイントもセリフで流したりするため、集中していないと今どういう状況なのか、何故こうなっているのかよくわからんという事態に陥ってしまう。
何本か押井守作品を観ていれば「まぁこんな感じだよねー」と受け止められるが、押井守に耐性がないライトなパトレイバーファンにとっては凄く退屈する作品かもしれない。
何やらごちゃごちゃしているが、要約すると自衛隊内部の過激派によるクーデターの話。
戦争から目を逸らし続けることで獲得した平和の虚構性であるとか、警察内部の権力争いとか、クーデターは手段では無くそれ自体が目的であるとか、そんなややこしいあれやこれやを鍋にぶち込んで哲学的なワードとリアリティのあるアニメーションでぐつぐつ煮込むとこの映画は出来上がる。
個人的にシビリアン・コントロールがどうだの、米軍の政治的介入がどうだのというポリティカルな物語にはあまり興味がない。
ただ、パトレイバーのキャラクター達の活躍が見たいのである。
とはいえ、ポリティカルな問題を扱うことでこれまで脇役だった後藤隊長や南雲隊長を主役に据えることが出来、その結果従来の作品とは一味違う、パトレイバーの世界をより拡張するような独特な作品が出来上がっていることは事実。
パトレイバーファン=後藤隊長ファンと言っても良いと思うので、後藤さんの有能ムーヴを堪能できるだけでも本作は一見の価値がある。
個人的に本作で一番好きなのは、オープニングで野明が試作機のテストをしている場面だったりする。
驚異的な作画のクオリティもさることながら、遊馬と野明の関係が進展したことをさりげなく描いていた点が良かった。
野明の耳にピアスがある!これまでの野明なら絶対にしなかった筈なのに…これはつまり、ってことですよね。上手い演出だなー。
時代設定的にも話の内容的にも、パトレイバーの最終回といって良いでしょう。
ややこしいし難しいけど、クライマックスとして申し分のない作品だった!!
陸幕調査部の荒川の扱いがなんか中途半端で、結局何がしたいのかよくわからないとか、ラスボスである柘植に魅力がないとか、そもそもたった1人で、しかも数年でクーデターを起こせるほどの戦力を揃えられるのか?とか不満点、疑問点もあるが、個人的にはかなり好きな作品です!
憂う者たちの“TOKYO WAR”
「機動警察パトレイバー」劇場版シリーズ第2作。
DVDで鑑賞。
マンガ版は既読、OVAとテレビシリーズは未見です。
憂国のテロリストが仕掛ける東京での仮想戦争―。重厚なリアリズム演出が光り、押井守監督が「機動警察パトレイバー」で本当に描きたかったのはこれなのかもしれないと納得させられるような、骨太ポリティカル・サスペンスでした。
パトレイバーがクライマックスにならないと本格的に登場しないので、ロボット・アクションが好きな方は、もしかすると「物足りないなぁ…」と思われるかもしれません。
作画が第1作よりも劇画的になったことで、作品のリアリティーに一役買っているように思いました。戦車などの兵器群の描き込みもリアルで、本物感が満載でした。
二・二六事件を彷彿とさせるような雪景色と戒厳の風景が眼前に展開されている中、日常生活が変わらず営まれていると云う不気味さが、画面からひしひしと伝わって来ました。
仮初めの平和を、何も考えずにのうのうと享受している日本国民に対し、東京に戦争状態を現出させ、果たして戦争とはどう云うものなのかを容赦無く提示してみせました。
平和と戦争は紙一重、危うい均衡が辛うじて保たれているだけであり、ちょっとしたきっかけで容易く箍が外れてしまうことを知らしめるために、今回のテロを決行した…。
首謀者・柘植行人の思想には、押井監督の憂いが籠められているのかもしれないな、と思いました。
※リライト(2021/02/14)
※鑑賞記録
2021/02/14:DVD(サウンドリニューアル版)
この頃も音響が悪かったなあ
押井守は自己流が行きすぎていて勝手なことばかりするので、事実上アニメ界を干されてるのか
自分から愛想がつきてアニメ界を去ったのか詳しくは知らないが。ただ、やっぱり奇才な人だと思うので、最近のはしにも棒にもかからないような単なる商売人のアニメ作家と仕事したいと思わないのは事実なんだろな。
このパトレイバー二作目、やっぱり分かりにくいわけだが。何がいちばんわからないかって、柘植という人物の目的がわからない。
戦争を思い知らせたかっただけならやりすぎだし、クーデター計画でないなら手間をかけすぎる。
クーデター計画とむかしは考えてたので、すぐに連想する映画として
「皇帝のいない八月」
というのがある。これは本当に自衛隊が二つに割れて国家転覆を企むのでエグい場面も多いし人もかなり死ぬ。
ところが、パトレイバー二作目のこれはほとんど全く人が死なない。あえて死人を出さないような作戦をとっていると言える。
戦争に怯える恐怖を味あわせてやる、というところか。
「戦争?もう始まってるよ」竹中直人演じる公安の不気味な男が言うが、時代が違う今どう受け止められるかわからない。
むかしはそういう言葉に揚がった、アゲアゲ〜
正体不明機が勝手に飛んでいるのが確認され、三沢基地と小松基地にスクランブルがかかり、発進するが正体不明機は突然レーダーから消える。燃えるじゃない〜
普段歩いてる渋谷や新宿の街を戦車が通っている。燃えるじゃない〜(笑)
いや今の時代笑えないって。
戦争をしている国と戦争によって発展を遂げていく国同じだろ、みたいに言ったのは後藤だっけ?
その意味するところはいまいち判断しずらいが(いろんな解釈ができそうだが)
現代に訴えてくるテーマとしては重い。
ところで、後藤と刑事課の松井の連携は今回も冴えてますね。
「また松井さんと組んでなんかやってるんでしょ」とあきれて言う南雲がいいです。
南雲しのぶ、今回の主役。はっきり言って感情的になると言わなくていいことまで上司に言ってしまう、ちょっと暴走してしまうところもある人だが
最後、柘植との再会に何を思ったか。
見所はたくさんある。と思う
訂正
竹中直人演じるのは荒川とかいう公安じゃなくて
陸幕調査部別室とかいうこれは架空の部署かな?ウィキ情報
考えてみれば公安の人間が単独で動いてればあからさまに怪しいしなんか変だな〜と書いてて思いました。
こういう難解さが若い人に敬遠されんかな…
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