機動警察パトレイバー2 the Movieのレビュー・感想・評価
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日本は幻想からいまだに醒めてない
この映画の公開が90年代前半で、PKOで自衛隊が死ぬところから物語が始まるわけだが、当時のアニメ映画は、現実の社会問題をそんなにダイレクトに反映していたのだと、改めて見直して驚いた。ちょうどPKO派遣問題と憲法解釈問題が大きく議論されていた時期にその議論のど真ん中を行くような内容だ。
日本の戦後の反映は結局アメリカの核の傘のおかげで、世界にある戦争の現実に向き合わずにすんだから達成されたにすぎない。そして、そんな他国の犠牲の上に成り立っているという見立ては強烈に鋭い。この映画の公開から随分月日はたったが、いまだにこの国は世界の現実に向き合うことができていないのではないかと思う。この映画の問題提起は2021年現在も十分に通用するものだ。
映像の完成度も極めて高い。一枚絵で部屋に飾りたくなる美しいショットがたくさんあって見惚れる。
やはりいい
リマスター再上映で鑑賞。
劇場版1作目もエンタメに振り切ったストーリー展開が抜群に面白いが、2のほうはストーリーは所謂押井監督好みの思想、行政、軍事を扱うラインではあるが、なんと言ってもアニメ映画史に刻まれるべき名シーンが多く、それだけで星5なのである。
特筆すべきはやはり冒頭のレイバーの検証機テストシーン。川井憲次の音楽と相まって感動的である。90年代のキッズや青年達の現実世界の“クール”なITへの憧憬(コマンドプロンプトやソフトウェアUI)を、近未来という現実と地続きの舞台設定でブーストさせるあのH.O.S.起動シーケンスだけでもこの映画は傑作と言っていい。ロボットアニメをハードウェアとしての重機とそれを制御する情報技術としてのOSという複合的なロボット工学アニメとして提示したことに当時キッズだった私は感嘆したのだ。
ロボットアニメでロボットが活躍しないアニメ
何十年前に劇場で観た時は主人公の野明、遊馬の出番が殆どない。
主人公は後藤、南雲隊長。
パトレイバーと言うロボットアニメなのにパトレイバーの活躍がない。
なんだ、これ?
でも世間の評判は良いらしい。
今回の4DXで再鑑賞。
パトレイバー映画と観ないで押井守作品と観れば良く出来てると思う。
「正義の戦争」「不正機の平和」
いつも戦争は正義の名前でやって来る。
平和を享受している自分の手も血で汚れている。
主犯の拓殖行人。自分には「告て行く人」と思った。
戦争は正義の名前で起こされるが戦争を起こした拓殖行人は自分の要求をしなかった。
つまり、これは戦争ではなかったのだ。
後藤隊長は言う。「正義の戦争より不正機の平和の方がマシ」
拓殖行人が南雲隊長に送った手紙に聖書の一句があった。
「地に平和を与えんために来たと思うなかれ
我汝らに告ぐ
然らずむしろ争いなり」
人類の歴史は戦争の歴史であり、地上では戦争が無くならない。
聖書さえも平和を否定している。
この映画の後に地下鉄サリン事件、9.11があり如何に自分達の平和が簡単に覆えさせられるのか解った。
私も正義の戦争より不正機の平和方がマシだと思う。
奥が深い作品!押井守ってやっぱり凄い!
この作品でワイバーンを知りました
映画館で上映ということで、久しぶりに『パト2』を観ました。
当然面白いのは知ってますし、なので観に行ったのですが、こんなにおもしろかったとは目から鱗です。
以前は『パト2』をどんな話と聞かれて「南雲さんの恋愛の話」答えていたのですが、
イヤイヤ全然自分の至らなさに恥ずかしくなってしまいます。
大人になってこの作品を観ると、今までは『な~んとなく』としか分かってなくて、そこまで気付かなかったこと、それが意味してることを理解できて本当におもしろかった。
余計な事は語らず、大事な事は画で語る。見応え充分です。
脚本が良くできていて政治と恋愛をうまく噛み合わせた、本当によくできた作品でした。
映画前半部に説明を兼ねてのメカシーンを沢山いれて、後半ドラマパートで、ラストは二課と南雲さんで締める。
南雲さんの恋愛がうまくスパイスになって映画の質を『爆上げ』しているなと感じました。
以前はあまりレイバーが出てこない、面白いけど地味な『パッとしない』作品というイメージだったのですが、ドラマが充分に面白くて「これ別にレイバー出てこなくてもいいんじゃね?」とも思ってしまうくらいでした。
といってもメカは超カッコいいし、見せ方上手いし、これを大スクリーンで観れた事は中二病患者にとってはサイコーでした。あとメカなどの音が凄くよかった。映画館で観れて本当に良かった。
押井さんの良い意味で中二くさいところと、伊藤さんの大人の脚本がうまく噛み合って
「丁度いい感じになっているな~」と感じました。
「これ別にパトレイバーじゃなくても良いんじゃね?」というのは以前と同じ感想なのですが、これをパトレイバーでやる作り手の心意気に感嘆です
今では好きな本作ですが
何度観ても退屈するポイントの無い緊迫感溢れる映画です。
本作は、これまでレンタルビデオ、レーザーディスク、DVD、等々で何度も鑑賞してきましたが、今回、初めて映画館で観る事が出来、非常に満足でした。
後藤さんと南雲さんのやり取りが面白く、緊迫のシーンでは、敵戦闘機に撃墜命令が出るくだりなど、先を知っていても固唾をのんで観てしまいます。
とはいえ、前作のように野明や遊馬の活躍を期待すると肩透かしを食うと思います。
今は何とも思わないのですが、公開当時、この映画にかなりの抵抗感がありました。
当時の不満は以下の通りです。
前作で活躍した特車2課のレギュラーメンバーのほとんどが別部署に異動しており、その割に次世代ものとして新たな主人公が登場するわけでもなし、名前もないモブキャラ的な新人にいつの間にか世代交代。その新人が活躍する場面は一度も描写されません。
主人公のはずの野明も、最初と最後で少しだけ顔見世程度に出てくるだけ。さらにキャラデザインが前作にも増してリアルに寄せられており、レイバー好きの女の子のままでいたくないなどと言い出す始末。ラスボスに向かってパトレイバーで突撃するのも野明ではなく南雲隊長。
本作公開当時、レンタルビデオで本作を鑑賞したのですが、OVA、TVシリーズ、コミックで展開されていたパトレイバーが好きだったので、このように不満で一杯でした。
今観ると、後藤隊長、南雲隊長にスポットを当てた本作も、なかなかいいものだと思えます。
93年当時わからなかった事が、今だと恐ろしく感じるし、気付いた頃には、時すでに遅し
リバイバル上映で観ました。
32年前、当時12歳で観た時の感想は
セリフが小声で長い、レイバーの活躍は少なく、人間ドラマに重点が置かれている。
「大人なアニメ映画」だな。
と思っていました。
大人になって今、観た感想として
パトレイバーの細かいアニメーションの動きに感動。
作品は1993年だが
某スパイ映画やSFの先をゆく映像表現。
(車内で通話する際に
フロントガラスに映しだされる画面等)
93年当時.
テロとか大きな災害とか起きていなかったので、それを予見する様な内容。
「ただ、戦うだけのロボットアニメじゃ
だめなんだよ」と感じた。
人間関係でいうと
今回の主人公は南雲さんと後藤さんと柘植さんの3角関係のお話。
そこに割って入ってくる荒川さん(笑)
所々に人情ドラマ、時代劇や任侠映画の場面的なパロディが入ってる。
平和ボケした日本、そんな国でも守ろうとする特車2課の人達。
劇場版1に引き続き
登場する鳥(何かの象徴か?)
この映画では、
ヘリコプターや飛行船だったけど、
今だったらドローンで簡単にできてしまう。
そう考えると恐ろしい。
2025年現在、
この先の未来を予見する様な作品って
あるのか、探しています。
パトレイバー...?
(おことわり)
本来は「ネタバレ」設定にすべき内容を書いてしまっております。
初回上映から20年以上経過しており、他の複数の方も同趣旨のレビューをネタバレ設定なしで書かれているようですので、既に広く知られている内容ということで、ネタバレなし設定にしております。気になる方は、これ以上は見ずに、閉じていただけますようお願いします。
(ここから本題です)
2025年のリバイバル上映の機会に鑑賞しました。過去まだ見ていない作品と思います。作品名に反してパトレイバーはほとんど全く関係してきませんでした。パトレイバーの世界の登場人物を使った、別作品といっても良いくらいかもしれません。
本作品のストーリー自体は、深いもの・考えさせられるものが描かれ、映画館で見る価値があったと感じました。とはいえパトレイバーという名前がつく限りはメカアクションを期待するところ、完全に裏をかかれてしまいました。
シリアスでぞくぞくする緊張感が前代未聞! けれど、やりたい話にパトレイバーが利用された感じ 柘植と一緒で、単に「東京の街での戦争」を見せたかっただけ
アニメで自衛隊のクーデターをリアルに描く、意欲作。
冒頭、PKOのレイバーから始まり、静かに広がる事件の恐怖、
静止を聞かずに立ち上がる特車2課、要塞への突入というように、話の構造が1作目に非常に似ている印象の第2作。
重い空気が描かれているようなリアルな描写と、作画のクオリティが高く美しい絵柄がとても印象的で、
クライマックスへ向けてのぞくぞくする物々しい雰囲気。
東京の街が’突如臨戦態勢になる前代未聞の緊張感!!
これまでに観たことのない映像世界が描かれています。
監督の押井守は「攻殻機動隊」「イノセント」など、現代のジャパニメーションの旗手の一人として有名ですが、「機動警察パトレイバー」劇場版第一作の監督でもあり、一作目ではまだパトレイバーの世界を優先して作っていた感じでした。
しかし、本作では「タガが外れて」パトレイバーの世界と作品のヒットを利用して、自分のやりたいことをやってる感じがします。
パトレイバーならではの味のような部分(特にコミカルな、仲間たちのフレンドリーな要素)がほとんどなく、別にパトレイバーでなくてもいいのかもしれないとも思えます。
(「うる星やつら2・ビューティフルドリーマー」もこれに近いかも)
また、クーデターに至る部分は、急展開過ぎでリアリティもない。
そんなことある???
本作は、劇中の柘植と一緒で、単に「東京の街での戦争」を見せたかっただけでしょう。
現代にこそ響く。未視聴の方は、ぜひ映画館で!
この作品も擦り切れるほど観てきたが、リニューアル版ばっかり観ていたので、あえてオリジナルを観るのも良いかと4K再上映を鑑賞。
BGMから効果音まで、確かに音響が違う。
これはこれでありかな〜。
ただ、BGMはリニューアル版のほうが好き。リニューアル版は弦楽器の重厚さが桁違い。
映画館で観ると、やっぱり音響が良いのでレイバー内のシーンや建物、トンネル内の反響音等の臨場感が素晴らしい。
オリジナル版でこれなら、リニューアル版はもっとも凄いだろう・・・
フィルマークスさん、次はリニューアル版4K再上映お願いします!
内容については語り始めると長くなるので省くが、いつもながら軍事が好きな人が唸る考証の正確さと物語風のバランスが良い。
また、扱う社会問題の内容も素晴らしい先見性で、この作品を90年代の頭に出したのは凄すぎる。
現代にこそ投げかけるべき内容で、昔から観ている身からすると、まさか時代が逆行するとは、という感覚。
今の時代、黒電話ヘアー、ジェノサイドプーさん、元KGBのハゲ、老いた金髪右翼ジャイアン、居眠りオタクアンパンマンと、各国の頭はミスキャストでいっぱい。
後藤さんや荒川のセリフが刺さる刺さる。
観たことない人は観て欲しいのでこれ以上は語りません!
ぜひぜひ、飛ばし視聴とかいう冒涜行為が物理的にできない映画館で視聴してほしい!
時代は変わったのか、以前よりは高評価が増えている。日本人は変われるのか、それとも劇中に出てくる、「戦争状態に置かれても他人事、下手すりゃ気づいてもいない」群像のままなのか。重大な分岐点だと思う。
今のこの時代に再上映してくれたことを評価したい!
もう少し、見ていたいんですよ
例えば、このクニに、長距離ミサイル基地を造ります。次に、世界地図を見て下さい。分かります?。アメリカ、ロシア、中国、この三大国家に、他国の領空侵犯することなく、直接攻撃できるのが、このクニの地政です。
かつての冷戦時代、旧ソ連は、東京より、中部地方のとある街を、核ミサイルの重要ターゲットにしたそうです。米軍、太平洋方面の潜水艦への通信施設があったからです。
戦争を放棄する。このクニの憲法です。
一方で、世界中の人民を解放するまで、人民解放軍の闘争は永続すると、憲法で謳うクニもあります。
このクニは、戦争を放棄しましたが、戦争は、このクニを放棄しません。
さらに古い話。世界大戦時、中立国だったスイス。さぞ、平和だったのかと、思いきや、領空侵犯する航空機は、同盟国だろうが、連合国だろうが、全て撃ち墜したそうです。食糧、燃料も、極力自給自足。他国に干渉しない、他国に頼らない中立国とは、それほどの覚悟が、求められます。
では、今の私達は?。
ご存知です?。自衛隊には、領土と国民を護る任務があります。しかし、個人の私有財産を保護する義務はありません。つまり、敵対国の地上進攻を阻むためなら、私達の家を取り壊してでも、塹壕を堀り抜きます。住宅ローンが残っていようと、お構い無しです。
このクニが海上封鎖されたら、どうなるか、考えたことあります?。戦争になれば、このクニに、ミサイル撃ち込む必要ありません。機雷バラ撒かれたら、もう終わりです。食糧と、エネルギーを遮断されたら、このクニの世論なんて、2秒で変わりますよ。再び帝国憲法を礼賛する私達が、目に浮かびます。戦わずして勝つと云う言葉がありますが、戦いを決めた時点で、このクニの敗けは濃厚です。
では、どうするのか?。
戦争は、外交政策の一環として、国際法上、認められています。外交なんです。戦争は、その手段の一つに過ぎないんです。だとすれば、私達には、どんな選択肢が必要だと思います?。その選択肢は、いつ、誰が、どのように準備するものだと、お考えです?。このクニを、戦後からやり直すとすれば、皆様は、どんな選択肢を、用意します?。
仕方ない…みんながそう思うと、戦争は始まるそうです。戦争をする大義を探すヒトになるのか、戦争を回避する方法を探すヒトになるのか?。皆様は、どちらを望みます?。
この映画が、その選択肢の一助になることを、願います。
もう少し、見ていたいんです。
このクニの…
惜しい レイバー
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