狐の呉れた赤ん坊(1945)のレビュー・感想・評価
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刀を赤ん坊に持ち換えて
暴れん坊だけど気のいい川越人足・寅。街道に出る狐を退治に行こうとしたら、そこには捨てられた赤ん坊が居て…。
製作されたのは1945年。終戦の年。
GHQの厳しい検閲で、チャンバラ時代劇が作れず、苦心の末作られたのが、この人情時代劇。
チャンバラだけが時代劇ではない。ましてや、当時の人全員が刀を持ってチャンバラをしていた訳でもない。今以上に義理人情があった時代。
山中貞雄の名作「丹下左膳余話 百萬両の壷」と共に、人情時代劇を定着させ、時代劇の可能性を広げた作品と言えよう。
赤ん坊を育てるハメになった寅。最初は嫌々、悪戦苦闘だったが、次第に情が沸く。酒も喧嘩も博打も止め、子供の為にひたすら奮闘。元気に育った子供を誉められると大層嬉しそうな顔をし、粗相を犯した子の身代わりになろうともする。
二人は擬似親子。どうして擬似親子は、実の親子以上に親子の在り方を訴えられるのだろう。
昔も今も、この設定は見る者の心を温かくする。
やがて、大名の子である事が分かって…。
ずっと一緒に居るか、子供の才を信じ送り出すか。
ここが擬似親子の辛い所だが、最後は清々しく爽やかな感動。
主演は大スター・阪東妻三郎。実生活でも役者として大成する子供たちを育てた父。粗野だがお人好しの寅を好演。
そして愛くるしい子役は、何と何と何と、津川雅彦当時5歳!
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