「残酷な現実の前でも失われない熱」キッズ・リターン トニーさんの映画レビュー(感想・評価)
残酷な現実の前でも失われない熱
この頃の北野武作品は私にとってはほかのどの映画より特別なものがあります。
この作品はDVDで見ましたが、きっと劇場で見ることができていれば、上映が終わってもしばらく動けなかったかもしれません。
一般的なストーリーは、人の成長が描かれていくものですが、この映画では主人公2人は最初から最後まで馬鹿なままです。ちょうど映画の最初と最後が同じ構図で描かれているように、本質的な部分が最初から最後まで変わっていないのです。
この映画の不思議な魅力としてこんなバッドエンディングでなぜ胸が高鳴り興奮するような気持になるのかということにあるのかと思います。絶望的でも賢くなってたまるかといった大人に対するアンチテーゼとそのエネルギーが、退廃的な中に不意に湧き上がる希望のようなもとしてラストシーンに凝縮されていて、胸を打つものがありました。
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