鬼畜のレビュー・感想・評価
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自虐的亡国論!こんな奴は世界中探してもいない。
初見当時は貧困による家族の崩壊として考え、日本映画の傑作ぐらいに考えていたが、こういった映画が日本映画を非ぬ方向へ向かわせたと言えるかもしれない。
こんなバカ親父は世界中探してもいない。しかし、所謂、浪花節や浪曲の世界。いわば、配給会社の歌舞伎とも通じる日本文化の負の遺産なのかもしれない。こう言った文化を負の遺産として、徹底的にブザマに描くなら、認めたいが、涙を誘おうと姑息な手段を優先する。はてして、妹や産んだ母親はどうなったか?また、従業員の無責任な態度と、旦那が留守中に何もなかってのか?何故、こんな倒産間近の中小企業に丁稚でいるのか?また、この事件は1957年の事。故にこの鬼畜親父の経歴が実におかしい。幼少の頃は戦争に行っていたはずだ。つまり、原作には無い人格で、この映画は作られていると思わざるを得ない。つまり、出鱈目。涙を誘う出鱈目なのだ。
子供の健気な姿を売り物にした商業的浪花節映画だと判断する。そして、その流れは所謂リベラリストの後ろ盾で、日本映画の主流になったと考えられる。『PLAN75』や『万引き家族』もその流れを継いでいる。
『へそでお茶を沸かす』そんな話である。コメディーと言える。
残念ながら、中産階級出身の大学出た演出家に、赤貧を経験した事のある程過酷な人生が理解できるとは思えない。目の付け所は良くても、リサーチが足らなくて、配給会社の思惑を大いに忖度してしまっていると思われる。
我が弟の大好きな映画で、初見は上野の松竹で見た記憶があるが、なんで東尋坊まで行くのだと思った。だから、東尋坊へ行ってみたが、勇壮な崖だと思ったが、行ったのは夏だったので、東尋坊本来の過酷さは無かったと思われる。残念ながら、ここから、人を突き落とす気には絶対になれないと感じた。日本海の西の果てに沈む優しい夕日が、僕自身を包んでくれていたと感じた。
子どもは見ちゃだめ
とんでもなく恐くて凄い映画だった。人間の業そのものを描いてるというか、重くのし掛かるような。
不協和音の音楽が耳に残り、緒形拳の殺意と戸惑いに満ち満ちた表情は一度見たら忘れられない。撮影当初は渥美清が役を張る予定だったというが、緒形拳の眼光は気弱な男が鬼畜に変貌していく様を完璧に表現していた。
本作は小道具と情景が印象深い。蓋の壊れたオルゴールや畳部屋に通じる階段。東京タワー、展望台、新幹線、断崖の原っぱ、禍々しい夕日など。どれも変鉄のない日常的なものだからこそより恐ろしく記憶に残る。これは川又昂の功績とも言える。小さいときに見たらきっとトラウマになって悪夢に魘されたろうな。もっと早く見たかったけど。
子どもには絶対に見せたくない映画だが、子を持ち育てる親ならば、一度は見てほしい映画。
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