劇場公開日 1978年10月7日

「【”我が子に親である事を否定された男。”今作は野村芳太郎監督が急増する子への虐待に警鐘を鳴らし”親になるなら、自覚と責任と覚悟を持て!”と言うメッセージが重く響く社会派作品なのである。】」鬼畜 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”我が子に親である事を否定された男。”今作は野村芳太郎監督が急増する子への虐待に警鐘を鳴らし”親になるなら、自覚と責任と覚悟を持て!”と言うメッセージが重く響く社会派作品なのである。】

2025年5月7日
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<Caution!内容に触れています。>

ー 今作は、世間的には印刷会社を営む竹下宗吉(緒方拳)の妻、お梅を演じた岩下志麻さんの怪演が有名であるが、私はこの作品の本質はそこではないと思う。

  竹下宗吉は、子が産めないお梅が居ながら(本来、男であれば、そういう妻こそ大切にすべきだと思う。)、料理屋の菊代(小川真由美)と良い仲になり、7年間で利一、良子、庄二と3人の隠し子を作っていたが、商売が上手くいかなくなり、菊代に逃げられお梅の元に、連れ子を連れて戻る。

  今作では男としてダラシナイ宗吉を演じる緒方拳の演技が凄いのである。

  自分の子は可愛い。けれども、妻に言われて何とかしないといけないという、アンビバレンツな状況下で苦悶する弱く愚かしい男を、見事に演じているからである。ー

  ラストで、警察の取調室で宗吉に能登の海岸の崖から落とされながら、奇跡的に助かった利一は優しい婦人警官(大竹しのぶ)の問いかけにも口を開かず、けれども怒りの籠った眼を見開いている。

  そこに、警官に連れられて現れた宗吉に対し、利一はキッパリと言うのである。”こんな人、知らない!父ちゃんなんかじゃない!”その言葉を聞いた宗吉の絶望的な顔。

<今作は、親になる資格のない人間の子になった多くの子供達の無念さや哀しさや怒りを代弁した作品であり、名匠野村芳太郎監督の怒りに満ちたメッセージ”子の親になるなら、覚悟を持て!”が響く社会派作品なのである。>

NOBU
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