「貧乏が悪い」飢餓海峡 Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
貧乏が悪い
確かにそうではあるが、なんでもその所為にするのはいかがなものか。先の殺人についてはどの説をとって良いかは分からないが、放火殺人には関わってなさそうでもあり、船上での同士討ちについては証明はほぼ不可能で、むしろ後の殺人の方が問題で、八重殺しは機が動転した結果かも知れないが、ついでに書生を殺めたのは身勝手極まりなく最も量刑が重い。映画は過去の闇に吸い寄せられ、当人も呆気ない結末を迎えるが、その前に裁くべき罪が目の前にあるだろう。
とはいえ、役者陣は素晴らしく、煮ても焼いても食えない三國、ふくよかで素朴な左幸子、スター街道を駆け上がり始めた高倉健、枯れた伴淳三郎、威厳ある藤田進と見どころ多く、長尺にあって飽きさせない重厚なストーリーである。
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