「胃にもたれる重さと暗さ」飢餓海峡 こまめぞうさんの映画レビュー(感想・評価)
胃にもたれる重さと暗さ
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見終わってまずは長かった~。
ひょんなことから事件に巻き込まれて運命を狂わされてしまった男が三国錬太郎。
復員兵でオドオドしてる時期と、後半に財をなして登場するときと顔つきがまったく変わってしまってるのがすごい。
たったいちどの出会いから男女それぞれのたどった人生を描いています。
娼婦をしながらもまるで少女のように一途に三国のことを思い続け、故郷の家族のために文句もいわず働いた女。
純真さがあまりにも哀しく切ない。
そして、男もたったの一夜ではあったが女の優しさに感謝を表して大金を置いていった。
そう、別に彼はもともと悪い人ではなかった。
なのに再会した時には彼女の気持ちを疑ってついには手にかけてしまう。
再会したときには彼は地位を手に入れていたから、それを手放すのが怖かったのだろう。
とんでもなく貧乏で、まさに千載一遇のチャンスを手にしなかったら決して裕福な生活の望めなかった育ち。
人間は鏡のように自身を相手に投影してしまうから彼は女が信じられなかったのだろう。
それでも彼は根本的に悪い人間ではなかったはずだ。
はたして自分が同じ立場に立たされていたならどうだったろう?
最近は逆パターンが多いくらいですが、ちょっと前は事件がおきても、犯人について周りの人は『あの人がそんなことするなんて信じられない』とよくコメントしていた。
人間は一元的な生き物ではない。まさによく顕れてる映画だと思う。
ところで自分がまさに、舞台になるところの出身だから、イタコ、やっぱ慣れないと妖怪みたいな気がしちゃうもんですか。
あれは後ろ暗いからそう見えたのかな?
ハハハ…。
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