劇場公開日 1965年1月15日

「「レ・ミゼラブル」と対比されることが多いようだけど」飢餓海峡 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「レ・ミゼラブル」と対比されることが多いようだけど

2019年7月12日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

 人助けをして、感謝されながらも最後には殺されるといった流れは社会派ドラマに多く影響を与えているような気もする。本作の場合、聖人のような人物がいない。警察だって疑ってかかるだけで、理解してあげようなどという気持ちは全くない。極貧の生活を経験しなければ理解できないとか言ってた刑事もいたけど、当てはまるのは伴淳の家庭くらいか?唯一の理解者とされている左幸子にしたって、彼が犯罪を犯していることはうすうす想像してたが、恋は盲目と同じく金を与えてくれたため崇拝していただけだ。

 貧困というテーマがあるにも関わらず、映像ではさほど感じられない。むしろ序盤に出てくるイタコの映像や恐山や雷鳴など、精神的な強迫観念のみが強調されている。これが伏線となっているかと思えばそうでもないのが残念。また、警察絡みでの細かなツッコミ場所が多いので完成度は高くないようにも思う。それでも秀作。

kossy