劇場公開日 1968年12月19日

「邦画エイリアン最恐にして深作SFベスト!」ガンマ第3号 宇宙大作戦 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5邦画エイリアン最恐にして深作SFベスト!

2022年2月8日
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鑑賞方法:VOD

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東映特撮1968年の作品。
時々当たり外れの差が激しい東映特撮。『怪竜大決戦』は面白かったが、『海底大戦争』は…。
こちらは『海底大戦争』と同じ日米合作で、未来の宇宙が舞台の完全SF。何やら珍品の匂いしたが、何の何の!
これが面白い!

22世紀。巨大遊星“フローラ”が地球と衝突の危機。国連宇宙センターからの命を受け、宇宙ステーション“ガンマー3号”は核爆弾を仕掛けフローラを爆破する任務に当たる。
作戦は成功、フローラは粉砕された。が…
フローラで見掛けた謎の緑の粘液が宇宙服に付着。やがてそれは成長~増殖し、クルーたちに襲い来る…!

星が地球に迫り来る!…というのはこの時すでに東宝で『妖星ゴラス』があったが、本作ではあくまで前座。メインは謎のグリーン・モンスターの方。
ハリウッド作品的に言えば『アルマゲドン』×『エイリアン』を、僅か77分の尺に収め、手頃にかつ面白味やスリルやSF特撮の醍醐味もあって、何とお見事天晴れ!

今見れば特撮は多少チープさを感じるかもしれない。
が、ステーション内のセットやメカニックやエイリアンのデザインもなかなかで、本格的な“SFムービー”になっている。
ドラマ部分も大人向け。主人公と因縁あるライバルのドラマはサブ的ながら見応えあり。
キャストはオール外国人で、吹き替え。
日本の特撮SF映画というより1960年代のハリウッドの特撮SF映画を見ている気すらした。

宇宙ステーション内で繰り広げられるクルーたちとエイリアンの闘い。
鳴き声は奇妙だが、このエイリアンが思いの外脅威的。
電力で成長。あちこちに電力が通ってる宇宙ステーション内はこのエイリアンにとっては最適の成長の場。
不気味な造型。電力蓄えた触手で攻撃、あらゆるものを焼き切る。
最も恐ろしいのは増殖力。どんな細胞レベル、血の一滴からでも増殖。成長速度も我々の常識は通用しない。
何だか見てたら、邦画のエイリアンの中では、ひょっとして最上級の脅威なのでは…?

たった一つの粘液から、あっという間に増殖。群れを成して。
こんな奴らがもし、地球で増殖したら…?
ここで食い止めるしかない。
ステーションもろともエイリアンを大気圏突入で燃焼させる決死の作戦に出る…!

監督は深作欣二。
まだ『仁義なき戦い』を手掛ける前。
やくざ映画の他にも様々なジャンルを手掛け、SFも本作以外に後年に『宇宙からのメッセージ』や『復活の日』など。
深作SFではその2本の方が有名かもしれないが、個人的には面白さは本作!
良き拾い物であった。

近大