ガメラ 大怪獣空中決戦のレビュー・感想・評価
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『怪獣見るんだったら映画館で見な―』
……そら私だって映画館で怪獣が見たいさ!でも映画館にはいま怪獣がいないんですよ!!と本作で飛び出す名言に対してそんな思いがこみ上げてしまった訳ですが、それはともかく、なんでも今年はガメラ生誕60周年という事でのリバイバル上映だそうです。ガメラってまだ60歳なんですね。意外と若いし、それじゃこの映画の時って30歳だったんですか!?正に働き盛りだったんですね!!
この作品を監督した金子修介氏も特技監督を務めた樋口真嗣氏も未だに映画界で活躍されているは喜ばしいのですが、日本映画界において“特撮”はもはや風前の灯火であります。「ゴジラ-1.0」(23年)のヒットはまだ記憶に新しいのですが、かの作品はVFX作品であり特撮ではなかった訳で、それを維持するのに必要な人材も予算も子供も需要ももう残り僅かという絶滅危惧種“特撮”。その一つの到達点ともいえる本作を今回は劇場で鑑賞です。
なのですがえらい盛況ぶりです。連休中の映画館、日に1回の上映という事もあるのでしょうが、いくら歴史的な作品とはいえ30年前の特撮怪獣映画にこんなに人が入るとは思いませんでした。入場する時も退場する時も「ギャオス、ギャオス」とはしゃぐ高校生くらいの男の子2人組に、「前に観たのはいつだっけ?」などとオタク談議に花を咲かせる成人男性たち。微笑ましい感じの若いカップルに、何をしでかしたのか「そんなんだったらもう二度と連れてこないからね!」とお母さんに怒られているキッズ……もうねコレですよ、コレ!この雑多な感じが特撮怪獣映画を映画館で見るという事なんですよ!本編開始直前の暗くなった場内に慌ただしく駆け込んできて席を探す人もいれば、上映中も至る所からガサゴソと袋の中のお菓子を手繰る音が絶え間なく聞こえてくるのです。普段ならそりゃ殺意の一つも湧くところですが、特撮怪獣映画を見ているこの時だけはそれら全てが肯定されるんですよ!人出の少ないレイトショーでほぼ貸し切り状態の上映に甘んじていた昨今の自分を恥じますよね!人に紛れて映画を見る醍醐味が甦るのです!……まぁ初めて観る作品ではない事もその余裕を後押ししているのですが、ザワザワした上映中の劇場だとしても、けたたましく響く怪獣たちの咆哮や爆発音がそれらを搔き消してくれる瞬間の爽快感!!
スティーブン・セガールの娘が何故ガメラと繋がっているのか?その理屈よりも物語的な必然性の方がよくわからないのですが、話の通じなさそうな目付きで人を捕食するギャオスの怖さに、人類の脅威であるギャオスを倒すために戦っているのに自衛隊に迎撃されるガメラの悲しきヒロイズム!30年前の日本を舞台に九州から東京へと転戦しながら激突する、そんな二大怪獣の迫力に加え、平成特撮怪獣映画を代表するヒロインの座は、やはりゴジラと戦った沢口靖子の貫禄に軍配が上がるものの、巨大ペリットに薄手のゴム手袋で躊躇うことなく手を突っ込む中山忍の姿にグッときつつ、北京原人の本田博太郎。あまり特撮のイメージのない風吹ジュンの謎のカメオ出演に、やたら若い佐藤二朗も確認でき、当時のニュース番組でお馴染みの顔だったキャスター達がそのままの役で登場し、怪獣の襲来によって混乱する各種交通網の模様や証券取引市場の様子を伝えてくれ、この壮大な虚構に現実性を加味してくれています。と、見どころ満載の映画なのです。
押井守監督の「機動警察パトレイバー 2 the Movie」(93年)の流れを感じさせる、日本でこういう事態が現実に起きたらどうなるのだろうか?というシミュレーションに基づいた物語展開。防衛出動の判断という部分はサラリとしか触れられてはいないのですが、そもそもそこは今までの怪獣映画がほとんど触れてこなかった部分であり、ここに簡単にでも言及しただけでもう革新的なリアリティを本作は演出していたのです。そして実在の地名が頻繁に登場するのも、観る者の頭の中に「あそこら辺かぁ…」と地図を思い浮かべさせ、現実性を加味してくれているのです。こういう特撮技術によらないリアリティの演出は当然、「シン・ゴジラ」(16年)にも繋がっていく訳で、これらの演出は荒唐無稽な仮定を現実と照らし合わせてあれこれ夢想することの楽しさを教えてくれるのです。
そしてもちろん映像的な演出も抜群です。そもそも特撮とは実際には存在しないものをさも存在しているかのように映像に記録する撮影技術ですが、確かにその点においてはCGを駆使するVFXに比べると不利かもしれません。しかしこの日本で積み上げられてきた“着ぐるみ”“模型(ミニチュア)”“爆発”の特撮三元素(と私が勝手に言っているもの)が最高水準で満たされ、それを用いて抜群のセンスで描かれる二大怪獣の決戦はとてつもない迫力と存在感を帯びているのです。
ガメラもギャオスも表情豊かに(顔は動いてなくても体の動きで表情が見えてくるのです)、ミニチュアで再現された最終決戦地である六本木~秋葉原間の少々古びた建物が高密度で乱立する街並みの中、高速道路の高架や張り巡らされた電線越しにその巨体を見え隠れさせています。本作の同年まで展開されていたVSシリーズのゴジラは身長100mに達していたのですが、ガメラは大雑把に見ても15~20m程度の大きさしかありません。ですが、その分カメラの目線も低くなり、人の手で精巧に作られた模型の中に埋もれるようにして戦う二大怪獣を追うクライマックスシーンはワクワクの連続なのです。そして最後のコンビナートの大爆発・大炎上の思わず笑ってしまう程の迫力。
そういった“動”の演出も見事ですが、やはり本作を象徴するシーンと言えば、ギャオスが東京タワーに巣を作り夕焼けを背景に佇むというシーン。このシーンではあの間延びした調子で流れる防災行政無線放送が都民に外出自粛を呼びかけているのです。私は本作のこの正に“静”のシーンにこそ、日常の中に非日常を現出して見せる特撮の妙を見る思いなのです。
もはや歴史的資料と言っても過言ではない本作。シリーズの他作品も順次上映してくれるのは嬉しいのですが、もっと規模も期間も拡大して欲しいと欲張りな願望を抱きつつ、もし機会があればぜひ劇場で!
タイトルなし(ネタバレ)
ガメラはギャオスを倒すため古代文明が生み出した怪獣で勾玉を貰った女の子が巫女?のようになるって設定が昔の作品と比べて独特だなと思った。
低予算らしいけれど大都市やガスタンクのセットは迫力があった。
シン・ガメラ日本に現わる。 やはりガメラは人類の味方っ!…なの?
人類を守護する巨大生物「ガメラ」の戦いを描く怪獣映画『ガメラ』シリーズを、設定も新たに描き直した平成『ガメラ』3部作の第1作。
水深3,000mの太平洋上で、プルトニウムの輸送船が座礁するという事件が発生。幸いにもプルトニウムの流出は回避されたが、この不可解な出来事の原因を解明する為、当時輸送船の護衛を務めていた海上保安官の米森は、民間海上保険会社の草薙らと共に調査へと乗り出す。
同じ頃、五島列島にある「姫神島」で、野鳥の調査を行っていた九州大学の平田教授が失踪してしまう。平田の教え子だった長峰は、長崎県警の大迫に連れられて島へと赴くのだが、そこには通常では考えられない程巨大なペリットが吐き捨てられていた…。
ガメラ誕生30年記念作品。シリーズ8作目『宇宙怪獣ガメラ』(1980)から15年の時を経て制作された、今なお燦然と輝く日本特撮映画のマスターピースである。
脚本を『パトレイバー』シリーズ(1988-)の伊藤和典が手掛けているだけあり、「巨大怪獣が現実社会に出現したらどうなってしまうのか」という問いをリアルに追求したシミュレーションの様な作品になっている。
官僚や自衛隊、学術チーム、マスコミ、民間人、さらには日経平均株価まで、あらゆる側面からその動向を描く事により、観客を虚実の皮膜へと誘う。偶然にも本作公開の2ヶ月前に阪神淡路大震災が、10日後に地下鉄サリン事件が発生しており、この奇妙な歴史のシンクロニシティは突如として出現し全てを薙ぎ倒す「怪獣」は決して絵空事でなく、実は極身近に存在しているのだという事を我々に突きつけた。正に時代を象徴する一作であると言えるだろう。
怪獣映画には必須な社会問題への言及にも抜かりはない。地球温暖化により古代の怪獣が目覚めてしまうというところから始まり、未来人にとってはプルトニウムも古代人からの負の遺産であるという点ではギャオスと遜色はないという批判も強烈。「姫神島」の描写や“平田"という名の人物など、初代『ゴジラ』(1954)を思わせる点が多い本作だが、その風刺性もしっかりと受け継いでいる。
特筆すべきは特殊撮影のクオリティ。虚実皮膜の真髄とも言えるこの恐るべき特撮は、特技監督・樋口真嗣の名を世に知らしめた。
ハリウッドでは『ジュラシック・パーク』(1993)が既に存在していたとはいえ、日本映画界にはまだ怪獣映画をフルCGで制作出来る程の技術も予算もなかった為、本作ではミニチュアやセット、そして着ぐるみといった昔ながらのアナログな方法が特撮パートに採用されている。今時の映画と比べると流石にチープだが、例えばガメラの福岡上陸や、折れた東京タワーに巣を作るギャオスなど、実物を用いているからこその臨場感は何ものにも代え難い。
CG全盛となった今、この様な手段で大規模な怪獣映画が作られる事はもう無いだろうし、もしかしたら既に技術も失われてしまったのかも知れない。かつての怪獣特撮を今に残しているという点でも、本作はとても貴重な作品である様に思う。
樋口真嗣は後に『シン・ゴジラ』(2016)の監督を務めるのだが、本作のリアルな作風がそれに大きな影響を与えたことは間違いない。両作品ともクリーチャーデザインに前田真宏が関わっている為、怪獣の見た目も近い。『シン・ゴジラ』は記録的な大ヒットを記録したが、その基礎に本作があった事を忘れる訳にはいかない。
怪獣シミュレーションとしての面白さには諸手を挙げられるが、正直なところ『ガメラ』シリーズお馴染みの「子供との絆」の部分がリアルな作風と噛み合っておらず、後半に行くに従ってどんどんチグハグになってゆく。
しかも、当時14歳だったスティーヴン・セガールの娘、藤谷文子がガメラと心を通わせる少女を熱演しているが、これがまぁ下手💦ヒロインを演じた中山忍もなかなかのものだが、とにかく藤谷の演技が酷すぎる為、彼女の出演シーンは全く頭に入ってこない。いくら子役とはいえこれはちょっとあんまり過ぎるぞ😡コネ採用もいい加減にしろっ!!
元々「子供との絆」部分は邪魔なのに、藤谷の演技の酷さのせいでよりそこが悪目立ちしてしまっている。せっかくリブートしたのだから「つっよいぞガーメーラー」的な子供向けな作風から完全に離脱してしまえばよかったのに。
演技の酷さを別にしても、クライマックスの怪獣プロレスはちょっと頂けない。リアルな路線から一気に60〜70年代のガラクタ路線にチェンジしてしまった感じがして、その落差にガクッとしてしまう。
怪獣映画なのに怪獣同士のバトルが1番つまらないというのは本末転倒な気もするのだが、そこは前半の出来があまりに良すぎたから仕方ないか…。
また、シナリオ部分にも疑問が。ガメラは人類の味方だ!的な感じで終わりますが、ガメラのせいで福岡ではめっちゃ死者が出ていたはず。多分、本作ではギャオスに殺された人よりもガメラに殺された人の方が多い。そこを無視して「ガメラがんばえー!」とはならないですよねぇ…。
この点に関しては後のシリーズ作品で言及が為されますが、少なくともこの第1作だけで判断すると、脚本的に問題があるとしか思えない。「怪獣が上陸したら、それだけでこのくらい人は死にます」というリアルさを追求したのだろうが、それなら後半の「人類の味方」的な描き方は不要だし…。このリアルなシミュレーションと子供向けなファンタジーが同居しているところに、リブート第1作目ならではの躊躇と混乱が見て取れる。
怪獣=子供向けという考えがまだ根強かった90年代に、この映画は早すぎたのかも知れない。しかし、本作が種を蒔いたからこそ『シン・ゴジラ』や『ゴジラ-1.0』(2023)の成功があったのだ!
…って『ゴジラ』ばっかりやないかい。『ガメラ』は今年60周年なのに…。新作にはまだ時間かかりそうですかねぇ…?
平成三部作を見直して① ギャオスの群れが襲い来る!
久しぶりに見直したんですが、やっぱり面白い!
ニ十年近く前の作品なんで、特撮等の面でややガッカリというところも多少ありますが、当時はこれでも大満足だったんですよ。あの頃の衝撃が蘇える気がします。(それにしても登場人物、みんな若!自分も年とるわけだよな~)
今回見直したときに、気付いたんですが、この作品空の映像(見上げる映像)が多い気がします。人間目線と言う感じで、巨大怪獣を見上げてるんでしょうか。空中決戦という舞台にもちょうどいい撮影法なのかもしれません。そして、そこに映っている空が実にいいんです。
監督の話ではオープンセット(屋外)での撮影だそうです。つまり、ミニチュアセットの空は通常、絵が多いみたいですが、この作品は本物の空なんです。やっぱりリアルなんですね。
そして、やはりスゴいのが防衛庁の全面協力です。自衛隊、大活躍!
政治のしがらみがあって、ギャオスじゃなくて、ガメラを攻撃するという、すっとこどっこいがありましたが、ストーリーを盛り上げて良かったんじゃないでしょうか。
肝心な事を忘れてました。平成のガメラ映画復活にギャオスを登場させたのは、最高の選択だと思いました。ゴジラシリーズが往年の人気怪獣を復活させたように、やっぱりガメラの敵役もこの怪獣でないと!
そこに加えて、ガメラもギャオスも古代文明の人工生命体と設定したのは説得力があります。自然界の生き物にジェット噴射が着いているのは、昔から不自然だと思ってました。
すっかり忘れてたんですけど、エンディングが爆風スランプの歌でした。ここにも時代が感じられます。
災いと希望
夢中になって観ていた子供の時分でも、東宝のゴジラに比べて大映のガメラはかなり子供向けで、怪獣のフォルムもネーミングも稚拙な印象が強かった。
尤も火を吹き、回転しながら飛び立つガメラだけはとても格好良くもあり、愛らしくもあった。
そして平成の時代に甦ったこのシリーズ一作目。
改めてこの映画が東宝の制作であることが感慨深い。
劇場公開された時はまだ小学生だったが、昭和シリーズよりも遥かに洗練された作品であることは当時も感じていた。
プルトニウムを積んだ輸送船が謎の漂流する岩礁と接触する。
さらに長崎の小島では島民と新種の鳥の調査に向かった研究チームが消息を絶つ。
この二つの謎をそれぞれに海上保安庁の航海士光森と鳥類学者の長峰が追う。
特にギャオスが姿を現すまでの流れが恐怖心を煽り、まるで『ジュラシックパーク』のようだと初めて観た時に感じたことを覚えている。
体長は15メートルほどだが、島民を襲うギャオスのフォルムが歪で不気味だ。
反対する長峰の声を無視して政府は三体のギャオスを捕獲し、保護する方針を示す。
ギャオスは捕獲のために福岡ドームに誘導されるが、時を同じくして海上からガメラが出現する。
ガメラがギャオスを追って現れたことは明らかだ。
三体のうち一体はガメラに叩き潰されるが、残りの二体は夜空へと飛び去っていく。
そしてガメラもまた円盤状のフォルムになり、ギャオスを追跡するために飛び立つ。
ガメラの出現により福岡の街は破壊されてしまった。
政府はギャオスを保護するという方針を変えずに、ガメラこそ人類の脅威であると捉え、その駆除に乗り出す。
しかしその後、ガメラはギャオスから逃れる光森と長峰を身を呈して庇おうとした。
そして岩礁から発見された石板には「最後の希望・ガメラ、時の揺りかごに託す。災いの影・ギャオスと共に目覚めん」と記されていた。
光森はガメラは人類の味方であると確信するが、政府は碑文の内容を真に受けず、自衛隊に攻撃を受けたガメラは海底で傷を癒すために眠りにつく。
そして信じられない速度で成長するギャオスは人を襲い続け、都心に姿を現す。
エンターテイメントとして楽しめる作品だが、政治に対する風刺や環境破壊に対する強いメッセージを持った作品でもある。
古代人は行き過ぎたテクノロジーによりギャオスを生み出し、滅亡することになった。
そしてこのままでは人類は同じ過ちを繰り返すことになる。
政府がギャオスに対して完全に打つ手が失くなった時に、満を持してガメラが現れる。
最後の決闘場面は目まぐるしい展開で、今観ても十分に見応えがある。
怪獣映画はCGだけでは出せない味もあるのだと改めて感じた。
細かい部分までリアリティーが追求されており、また怪獣が人を襲うという恐怖が生々しく感じられる作品だ。
福岡にガメラとギャオスが出現したというニュースを見て、東京にも来ないかなと浮かれていたカップルが後に東京に飛来したギャオスの犠牲になってしまうのはとても辛辣だ。
ところどころミスキャストはあるものの、シナリオの面白さは怪獣映画の中でもピカイチで、やはりガメラのフォルムは愛嬌があって好ましい
「すごい」映画ではあるけど・・・
「シン・ウルトラマン」の公開が近いため、監督の樋口真司さんが参加した作品の中でも評価が高い本作を視聴。
結論から言えば、確かに「すごい」映画であったことは事実だ。30年も前に撮られたとは思えないような大迫力の特撮カットは、特撮オタクはもちろんそうでない人も必見のクオリティである。着ぐるみ特撮によって、リアルに、生物的に撮影された怪獣の姿にはかっこよさ、恐ろしさを強く感じた。
その一方で、やはり30年前だなあと思わせられるような、あからさまに合成の跡が見えたカット、ミニチュア感が拭いきれないカットも多く、正直2022年に見てしまっては見劣りするところがある。
しかし最大の問題点はストーリーの、特にガメラと交信する少女にある。そもそもこの役者さんの演技からして棒読み感が否めないという問題があるのだが、そもそもこのキャラクターが作品に必要だったかといわれると非常に疑問である。ガメラ映画シリーズを通して、子供たちとガメラの絆という要素があることは把握しているし、それゆえに必要なキャラクターであることはわかるのだが、それにしても本当に必要だったのか?という疑問は拭いきれない。その少女との交信でガメラが強くなったというわけでもない。ガメラの出現を預言したりしていたが、なにぶん登場寸前に「ガメラが来る」というだけで、正直別にあってもなくても変わらない程度だ。
とはいえ、それ以外の点においてはストーリーもいい出来ではあると思う。序盤の、海を漂流する謎の岩を調査するシーンにはSF的ワクワク感があって楽しかったし、ギャオスをドームに閉じ込めてしまおうというのはなかなか面白い話で、特撮も相まっていいシーンとなっていた。特撮オタク以外に積極的に進められるほどではないが、それでも一見の価値はあると思う
AIWAの看板とか新幹線の0系先頭車両の姿に感激!
女の子に傷が入る演出に金子監督のフェチズムを感じました。どこかで観たな...と思ったら、ああこれって綾波じゃん!と発見がありました。これが、ガメラ三部作の先頭として、後々の神がかりとか狐付きとか朱雀がどうとかいうのに繋がるんだなあと。
それで面白かったのが政府は前半までガメラを敵扱いして攻撃対象として排除しようとするんですよね。後半にようやくその間違いを認めてガメラを応援しようとする。
もしかしたらCovid19も...と邪推してしまいました。
いや人間の側ではないですね。自然の代表かもしれない。ゆくゆくは自然vs人類になるのでしょう。スーパーXの開発が必要かもしれない。
意外と面白かった人生初ガメラ!
生まれてこのかたゴジラは観る事があっても、何故か全く観る機会のなかったガメラ。AmazonプライムのKADOKAWAシネマコレクションで初観賞してみました。CGがない時代の作品で微妙なのではないかと思っていたのですが、意外と面白かったです。
ガメラを下から見上げるようなアングルで撮っているのがカッコいいですね。そしてあのガメラの飛び方がスゴい!なんとなく知ってたのですが、実際観てみるとインパクトあります。で、足だけ甲羅の中に入れて飛ぶ事も可能なんですね。ガメラさん芸達者やなぁ。
自衛隊が民事に介入していいんですか?とか言うセリフだったり、ギャオスの染色体が一対しかないとかいう設定だったり、子供が観ると難しいんじゃないかと思われる所もあるのですが、その分大人が観た時に面白いので良く作ってあるなっと感心しました。こういうリアルっぽさって大事ですよね。ここからきっと「シン・ゴジラ」のような突き詰めた映画に発展していったのだと思います。
後、富士山の裾野の自衛隊演習場で撮影した戦車のシーンが良かったです。74式戦車が揃い踏みで進んで行く姿はカッコいいですね。ストーリー的には勘違いしてガメラを攻撃してたので残念な扱いでしたが。東京タワー目指してミサイルが飛んでいく描写もカッコ良かったです。東京タワー破壊しちゃいましたけど、その分ギャオスの夕日のシーンに繋がったのでヨシとしましょう。
なんとなくゴジラよりマイナーなイメージのあったガメラですが、ゴジラに負けまいという作り手の知恵と努力が伝わってきて、なかなか面白かったです。平成三部作の残りも楽しみです!
すばらしかった
公開当時は映画館で見なくてレンタルビデオで見てあまりに面白くて魂消た。それ以来で見たら合成がちょっとしょぼかった。当時できたばかりの福岡ドームに閉じ込める作戦とかワクワクする。作戦は完璧なのに遂行で失敗するところが、あり得そう。自衛隊の兵器がガメラにダメージを与えているほど強いのもいい。ギャオスが人喰いなのもすごくいい。藤谷文子のカタコトっぽい日本語が変。
金子監督の怪獣映画は最高なのだが、庵野監督に全部持って行かれてしまった感じがあるのが悲しい。
(追記)
4Kリマスターの上映で初めてスクリーンで見ることができた。おそらく3回目だ。当時の技術でやれることをすべて全力でやりつくそうとしている感じがみなぎっている。SFの枠組みで語ろうとしているところがいいのだけど、それにしてはガメラの目がかわいい。
ギャオスが東京タワーを破壊して折れた部分に巣を作ってるのが夕陽に映える。経済に与える影響が大で、日本経済に大きなダメージを与えているが、今現在日本は怪獣が暴れていないのにコロナとウクライナ戦争で経済が深刻だ。30年間ずっと悪化し続けていてここにきての物価高で最悪だ。怪獣の方がまだ退治すれば回復の目途が立つのでマシな気がする。
藤谷文子のエキゾチックな感じがガメラとの交信には必要だ。交信自体が必要かどうか不明でもある。
久遠の神話
塚口サンサン劇場で開催された「平成ガメラ三部作 重低音ウーハー上映」で初スクリーン鑑賞(通算25回目くらい⋯否、もっとか?)。
監督・金子修介、特撮監督・樋口真嗣、脚本・伊藤和典と云う名トリオが生み出した特撮怪獣映画史上に輝く画期的な作品である。日本VFX界に革命を齎したと大称賛され、今なお色褪せぬクォリティを誇り、まさに「久遠の神話」となった大傑作だ。
テレビ放送を録画したビデオを観倒した。それでも飽き足らず大人になってからDVD(デジタル・リマスター版)を購入し、何度も何度も観た。
そして今回、初めてスクリーンで鑑賞した。迫力倍増且つ感動一入。しかもほぼ満席。上映後には全員で拍手した。オタクの一体感の素晴らしさよ⋯
現実世界に怪獣が出現した時、自衛隊はどう行動し、一般市民はどう反応するのか、かなりリアルにシミュレートされていると思う。日本テレビの本物の報道番組が劇中に登場する点が、リアリティを補強していた(アナウンサーの顔触れが懐かしい)。
特撮のクォリティも素晴らしい。野外にセットを組んで自然光の下で撮影されているため、ミニチュアの街並みがリアルに見える。つくり込みも細かくて、本物感がより一層強調されていた。
画角も、人間が怪獣を見上げている目線が意識されていて、怪獣の巨大感を醸し出すと共に日常に現れた非日常を感じさせる。ゴジラ・シリーズではあまり見られない画角のような気がする。
ギャオスが折れた東京タワーに巣をつくり、夕日をバックに鳴くシーンは屈指の名場面であろう。これまた、怪獣の存在する非日常を強く印象づけると共に、不気味さを醸し出す演出が秀逸だ。
東京全域で展開するガメラとギャオスの激闘が圧巻。飛翔時の合成に難有りだが、それを差し引いてもスピード感があるし、ここまで大規模な空中戦の描写は斬新で手に汗握りっぱなしだった。
「シン・ゴジラ」は本作の系譜を引き継いでいると言っても、決して過言では無い。現実に即したリアリティも去ることながら、樋口真嗣特技監督をはじめとしたスタッフも殆ど共通しているので、両作の繋がりは深いなと、改めて思った。
[余談1]
初鑑賞は3歳。2作目公開を記念した「金曜ロードショー」での地上波初放送を両親が録画してくれていた。当時「ゴジラVSスペースゴジラ」を観て特撮にハマったばかり。絶好のタイミングで観せてくれた親に心からの感謝を捧げる。
[余談2]
本作は「キネマ旬報」ベスト・テンにランクインした初めての怪獣映画である。1995年度の第6位だった。2016年に「シン・ゴジラ」がランクインするまで唯一無二の存在であった。
2009年に行われた同誌の企画「日本映画オールタイム・ベスト100」にも見事ランクインしている。星雲賞や日本アカデミー賞、ブルーリボン賞などの映画賞も受賞していてすごい。
[追記(2019/05/02)]
令和最初の怪獣映画鑑賞となった。サンテレビの「シネマスタジアム」で放送されていたが、そんな時に限って仕事が片づかず、帰宅したのは放送終了後。すでにカラダは本作を観たいモードになっていたので、DVDで鑑賞することにした。
今更ながら感じたことを述べる。ギャオス捕獲作戦が福岡ドームで行われたが、よくよく考えると人を襲って食べる生物を市街地へ連れて来る計画を躊躇いも無く許容出来たな、と⋯。あくまで保護対象の野鳥と云う解釈だからだろうか。
[追記(2020/11/29)]
ドルビーシネマと云う最高のシアター空間で本作を鑑賞出来たことの喜びを噛み締めている。高精細映像で浮かび上がる細かなディテール。立体音響で迫力が増した空中決戦。全てに大興奮だった。映像と音のクォリティーが高くなった分、当時の技術的な粗が目立つようになった瞬間(特に合成画面)もあったが、それを含めて愛すべき作品であり、終生残していきたい特撮遺産だと心の底から思った。
[鑑賞記録]
2016/10/22:塚口サンサン劇場(重低音ウーハー)
2019/05/02:DVD(デジタル・リマスター版)
2019/10/06:Blu-ray(4Kデジタル復元版)
2020/02/12:Blu-ray(4Kデジタル復元版)
2020/07/03:Amazon Prime Video
2020/11/29:梅田ブルク7(ドルビーシネマ)
2021/01/16:Blu-ray(4Kデジタル復元版)
2021/01/28:4K UHD Blu-ray
2021/02/06:4K UHD Blu-ray
2021/05/21:4K UHD Blu-ray
2021/11/19:梅田ブルク7(4Kデジタル復元版)
2022/10/30:Blu-ray(4Kデジタル復元版)
2023/12/10:YouTube(2週間限定配信)
2025/03/14:YouTube(2週間限定配信)
2025/11/21:T・ジョイ梅田(ドルビーシネマ)
2025/11/23:BS12(4Kデジタル修復版)
*修正(2025/11/21)
伝説の始まり。準佳作。
小学生の頃の嫌な想い出が甦る。
一つ歳下の友人達と母とで一緒に見に行ったが開幕すると
歳下の子達は椅子の上でぽんぽん跳び跳ねて遊び始めた。
注意しても「ガメラ出ないからつまんない、説明ばっかで早く出ない」と・・・
当時は早熟だったせいか「コイツ等がガキなだけ」と思っていた。
だが、「子供向け作品における緻密な脚本」の限界という
のもあるのかも知れない。
個人的には当時は大変満足したが子供のツボというのは
本当に難しい。
かのラピュタでさえ映画興業成績は低かった事を思い出す。
あれを今大絶賛しているのは大人達である。
私が小学生の頃は既に評価が定着していたもののなぜ面白いのか?
を的確に説明出来る子は余り居なかったと思う。
多分、雰囲気を楽しんでいただけなのだろう。
平成ガメラ第1作
「シン・ゴジラ」が余りに
面白かったので特撮について調べていると、
「特撮の傑作はむしろ『平成ガメラ』だ!」という
声を聞いて気になったので鑑賞。
ガメラは今まで見たことがなく、
人類の敵だとばかり思っていたら
まさかの味方で驚いた。
現代の環境汚染が
ギャオスを覚醒させたという設定が素晴らしい。
単なるエンターテイメントに留まらず
色々考えさせてくれるあたり、
やはり特撮には初代「ゴジラ」の
血が流れているのだろうか。
破壊された東京タワーに
居座るギャオスがめちゃくちゃカッコよかった。
夕日も相まってホントにカッコいい画になっている。
あの荘厳で不気味な佇まいがたまらない。
しかし昔の特撮には必ずと言っていいほど
大根役者が紛れ込んでいる。
逃げまどう民衆はいいとしても、
メインのキャストが大根だと
シリアスなシーンで冷めてしまう。
お約束な気もするが、なんとかならんのか…
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