ガメラ 大怪獣空中決戦のレビュー・感想・評価
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公開からもう30年経ちますが、全く色褪せない特撮映画を超えた日本映画の傑作ですね。
新文芸坐さんにて「新春平成ガメラ4Kまつり三部作一挙上映!」『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995)『ガメラ2 レギオン襲来』(1996)『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』(1999)を3作品連続鑑賞。
『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995)
幼少期に鑑賞した『宇宙怪獣ガメラ』(1980)が過去のアーカイブを使用したかなりお子様向け作品だったため、本作の製作が決定した際も過度な期待は無かったのですが、予告編を観てあまりの出来の良さに度肝を抜かれ劇場に駆け込んだ記憶がありますね。
平成ゴジラシリーズも『vsビオランテ』(1989)のリアリティ路線から軌道修正、大仰なSF要素がより濃くなった時期で、ギャオスとガメラが文明の発達したアトランティス大陸の古代人が生み出した人工生命体という設定が、高速回転で空を飛んでも説得力十分で大人の鑑賞に堪える怪獣映画に昇華、『うる星やつら』『機動警察パトレイバー』でも才能を発揮した伊藤和典氏の脚本が秀逸でしたね。
本編パートの演出も特に日本テレビの現役キャスター、アナウンサーが実在のニュース同様に原稿を読み上げる様が真実味をおびて良く、特撮パートも屋外のオープンセットで撮影しているのでアオリでの巨大感や、自然光を取り入れて抜けのいい空気感が『ゴジラ』シリーズと比べて新鮮な驚きでしたね。
公開からもう30年経ちますが、全く色褪せない特撮映画を超えた日本映画の傑作ですね。
古くても少しチープでも愛せる映画
わあ、ありがとー。
平成三部作を見直して① ギャオスの群れが襲い来る!
久しぶりに見直したんですが、やっぱり面白い!
ニ十年近く前の作品なんで、特撮等の面でややガッカリというところも多少ありますが、当時はこれでも大満足だったんですよ。あの頃の衝撃が蘇える気がします。(それにしても登場人物、みんな若!自分も年とるわけだよな~)
今回見直したときに、気付いたんですが、この作品空の映像(見上げる映像)が多い気がします。人間目線と言う感じで、巨大怪獣を見上げてるんでしょうか。空中決戦という舞台にもちょうどいい撮影法なのかもしれません。そして、そこに映っている空が実にいいんです。
監督の話ではオープンセット(屋外)での撮影だそうです。つまり、ミニチュアセットの空は通常、絵が多いみたいですが、この作品は本物の空なんです。やっぱりリアルなんですね。
そして、やはりスゴいのが防衛庁の全面協力です。自衛隊、大活躍!
政治のしがらみがあって、ギャオスじゃなくて、ガメラを攻撃するという、すっとこどっこいがありましたが、ストーリーを盛り上げて良かったんじゃないでしょうか。
肝心な事を忘れてました。平成のガメラ映画復活にギャオスを登場させたのは、最高の選択だと思いました。ゴジラシリーズが往年の人気怪獣を復活させたように、やっぱりガメラの敵役もこの怪獣でないと!
そこに加えて、ガメラもギャオスも古代文明の人工生命体と設定したのは説得力があります。自然界の生き物にジェット噴射が着いているのは、昔から不自然だと思ってました。
すっかり忘れてたんですけど、エンディングが爆風スランプの歌でした。ここにも時代が感じられます。
タイトルなし
怪獣 VS 怪獣作品では群を抜く出来♪ 俳優陣のキャスティングも◎
対怪獣同士の作品では出色の出来です。
ガメラの出現、ギャオスの捕獲など理にかなった演出が、無理なく物語を進め、あっという間に見終わります。
俳優陣も小野寺昭さんのよいパパ風自然な演技、中山忍・伊原剛志のひたむきさ、螢 雪次朗のコミカル感、役人=本田博太郎・軍人=長谷川初範の存在感 等々キャスティングも適材適所で申し分ありません。
唯一、スティーヴン・セガールの娘である藤谷文子が、ガメラと意思疎通出来る共鳴体になってしまうところが、当初違和感がありますが、そういう設定と受容下さい。
そして当時の本物のニュースキャスターがニュース映像で出演しているシーンもリアルです。
戦車・トラック・ヘリ・艦船など、自衛隊が本物で撮影協力しているシーンも搭乗してる方も本物の自衛隊員?など、考えながら見入ってしまう♪
ガメラの着ぐるみ感がやや気になりますが、暗いシーンでごまかしたCGハリウッド作とは異なり、ハッキリ見せてくれている事をむしろ英断に感じる。
「ゴジラ-0.1」の制作費1500万ドル(約20億円・ハリウッド作は10倍以上)が低すぎるのに、すごいクオリティと驚愕している海外ファンが多いですが、本作は恐らく5億未満の制作費です。
その点を甘受してご視聴を♪
今作は平成ガメラ3作のうち1作目(1995年)ですが、昭和ガメラシリーズの「大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス」(1967年)も傑作ですので、機会あれば♪
災いと希望
夢中になって観ていた子供の時分でも、東宝のゴジラに比べて大映のガメラはかなり子供向けで、怪獣のフォルムもネーミングも稚拙な印象が強かった。
尤も火を吹き、回転しながら飛び立つガメラだけはとても格好良くもあり、愛らしくもあった。
そして平成の時代に甦ったこのシリーズ一作目。
改めてこの映画が東宝の制作であることが感慨深い。
劇場公開された時はまだ小学生だったが、昭和シリーズよりも遥かに洗練された作品であることは当時も感じていた。
プルトニウムを積んだ輸送船が謎の漂流する岩礁と接触する。
さらに長崎の小島では島民と新種の鳥の調査に向かった研究チームが消息を絶つ。
この二つの謎をそれぞれに海上保安庁の航海士光森と鳥類学者の長峰が追う。
特にギャオスが姿を現すまでの流れが恐怖心を煽り、まるで『ジュラシックパーク』のようだと初めて観た時に感じたことを覚えている。
体長は15メートルほどだが、島民を襲うギャオスのフォルムが歪で不気味だ。
反対する長峰の声を無視して政府は三体のギャオスを捕獲し、保護する方針を示す。
ギャオスは捕獲のために福岡ドームに誘導されるが、時を同じくして海上からガメラが出現する。
ガメラがギャオスを追って現れたことは明らかだ。
三体のうち一体はガメラに叩き潰されるが、残りの二体は夜空へと飛び去っていく。
そしてガメラもまた円盤状のフォルムになり、ギャオスを追跡するために飛び立つ。
ガメラの出現により福岡の街は破壊されてしまった。
政府はギャオスを保護するという方針を変えずに、ガメラこそ人類の脅威であると捉え、その駆除に乗り出す。
しかしその後、ガメラはギャオスから逃れる光森と長峰を身を呈して庇おうとした。
そして岩礁から発見された石板には「最後の希望・ガメラ、時の揺りかごに託す。災いの影・ギャオスと共に目覚めん」と記されていた。
光森はガメラは人類の味方であると確信するが、政府は碑文の内容を真に受けず、自衛隊に攻撃を受けたガメラは海底で傷を癒すために眠りにつく。
そして信じられない速度で成長するギャオスは人を襲い続け、都心に姿を現す。
エンターテイメントとして楽しめる作品だが、政治に対する風刺や環境破壊に対する強いメッセージを持った作品でもある。
古代人は行き過ぎたテクノロジーによりギャオスを生み出し、滅亡することになった。
そしてこのままでは人類は同じ過ちを繰り返すことになる。
政府がギャオスに対して完全に打つ手が失くなった時に、満を持してガメラが現れる。
最後の決闘場面は目まぐるしい展開で、今観ても十分に見応えがある。
怪獣映画はCGだけでは出せない味もあるのだと改めて感じた。
細かい部分までリアリティーが追求されており、また怪獣が人を襲うという恐怖が生々しく感じられる作品だ。
福岡にガメラとギャオスが出現したというニュースを見て、東京にも来ないかなと浮かれていたカップルが後に東京に飛来したギャオスの犠牲になってしまうのはとても辛辣だ。
ところどころミスキャストはあるものの、シナリオの面白さは怪獣映画の中でもピカイチで、やはりガメラのフォルムは愛嬌があって好ましい
日本怪獣映画の最高傑作のひとつ
神話‼️
これぞ映画ファンが本当に観たかった "シン・怪獣映画" ‼️高度経済成長を経た現代の日本に怪獣が出現したらどういう事になるのか❓国民、国家、自衛隊、メディアの反応‼️ゴジラシリーズやウルトラマンで描かれてきた怪獣プロレスによって、どういうリアルな事態が発生しているのか❓特に面白かったのは、ギャオスに対する自衛隊の作戦‼️福岡ドーム、今はPay Payドームにギャオスを閉じ込める作戦なんですが。光に弱いギャオスをヘリコプターで誘導。ギャオスが餌である大量の肉を食っている間に、開閉式の屋根を閉めようとする。それに気づいて襲いかかるギャオス。後ずさる中山忍さん。ライトフラッシュと麻酔銃のW攻撃でギャオスを捕獲、逃げた一羽を博多湾から出現したガメラが一撃で仕留める‼️なんかガメラと自衛隊の連携作戦みたいでカッコいいですよね‼️そして藤谷文子さんの少女が勾玉を使ってガメラとテレパシーというかシンクロ出来るという設定。ギャオスが古代文明が作り出した生物兵器であり、手に負えなくなった彼らが対抗策としてガメラを生み出した、という設定も面白いです‼️ ギャオスが列車の車両を襲うのも、キングコングやゴジラへのオマージュだし、夕暮れをバックにギャオスが壊れた東京タワーに巣を作るビジュアルも素晴らしいですね‼️そしてラスト‼️対峙するガメラとギャオス。一瞬の静寂。次の瞬間、放たれるガメラのプラズマ火球とギャオスの光線‼️粉々になるギャオス‼️「あばよッ」とばかりに飛び去ってゆくガメラ‼️これは「椿三十郎」だー‼️スゲーッ‼️
【”超古代文明が産み出したモノ。”シンゴジラもビックリの本格的怪獣映画。金子修介が監督である事にもビックリである。やるじゃん!金子修介監督!】
■太平洋上で巨大漂流環礁が発見された頃、九州の姫神島で謎の人間消失事件が発生。
調査に訪れた鳥類学者・長峰真弓(中山忍)は、そこで巨大怪鳥を目撃する。
一方、巨大環礁に上陸した海上保安庁の米森(伊原剛志)と保険会社の草薙(小野寺昭)は、環礁上にあった石板の碑文を解読する。
◆感想
・軽ーい気持ちで観たら、この作品、実に面白いし、良く出来ている。
・ギャオスが人間を捕食するシーン等は、ヒッチコックの”鳥”である。
・美しき中山忍さんが、愚かしきギャオス捕獲を指示する政府高官(本田博太郎)を一括するシーン等も、大変宜しい。
・アトランティスとか、勾玉などを出しながら、ガメラと草薙浅黄(藤谷文子)の思想がシンクロしていたり、福岡ドームでギャオスを捕獲しようとしたり、ナカナカである。
・東京タワーをぶち壊し、折れた部分に留まるギャオスの絵なんかも、良い。
<いやいや、金子修介監督、やるじゃないの!面白き、平成怪獣映画である。支持。>
今や超有名な人も、今となっては懐かしい人も。そこは楽しめる。いやに...
従来のミニチュアワークと光学合成の特撮から、CG とデジタル合成の特撮への変革を、この平成ガメラ3部作が推進したからこそ今日の日本の特撮界はあるのです
平成ガメラシリーズ3部作の第1作
日本の特撮映画、怪獣映画の最高峰の作品での一つです
1954年の最初の「ゴジラ」に次ぐものでしょう
あとは比肩できるものは「シン・ゴジラ」ぐらいです
平成ガメラシリーズも「シン・ゴジラ」も「シン・ウルトラマン」も特撮は樋口真嗣監督です
この本作もいわばシン・ガメラともいえるものでそれは共通している事です
シン・ウルトラマンも、シン・ゴジラも原点は本作にあると言えると思います
1995年3月11日公開
本作は、撮影している最中からラッシュをみた撮影所のスタッフからこれは凄い映画ができそうだと評判になり、公開されるやオタクの特撮ファンだけにとどまらず、怪獣映画なんてといつもは小馬鹿にしているようなうるさがたの映画評論家の先生方まで絶賛の嵐を巻き起こしました
なにしろ1995年度キネマ旬報年間ベストテンに入っているほどなんです
もちろん大ヒットしました
3部作という構想は当初は無かったといいます
しかし本作がこれほどの素晴らしい完成度を示して成功すれば 、自然と続編と言う話になります
そして2作目も高いクオリティを示し大ヒットになります
それなら、普通3部作だろうという風になって言ったそうです
つまりそれほどに作品自体に勢いがあり、スタッフにも勢いがあり、観客もまそれを多いに支持した作品シリーズだと言うことです
平成ゴジラシリーズは、本作公開のの9ヵ月後の1995年の12月に最終作が公開されて終了しました
ハリウッド版ゴジラが製作される為でしたが、実際のところコンテンツ疲労というべきものだったと思います
いや特撮技術の敗北だったのです
1993年の「ジュラシックパーク」のCG による恐竜の映像は日本の特撮を完膚なきまでに打ちのめしたといえます
「スターウォーズ」や「未知との遭遇」が黒船なら、「ジュラシックパーク」は太平洋戦争に敗れたようなものです
逆立ちしても勝てない
それがハッキリしたのです
ジュラシックパークを観たなら、もうチープな着ぐるみの怪獣映画なんか馬鹿馬鹿しい
内容もマンネリ化して変わり映えしない
大人向けなんだか子供向けなんだかわからない
誰も満足しない映画を惰性で撮り続けていたのです
コンテンツ疲労そのものです
それなら映画化ライセンスを売り渡した方が、ゴジラというブランドを永続させるための戦略として当然の事です
しかし、CG とデジタル合成の特撮技術の発展は始まったばかりだったのです
ここで日本の特撮界が諦めていたなら今日の日本の特撮はなかったのです
本作がそれを救ったのです
従来のミニチュアワークと光学合成の特撮から、CG とデジタル合成の特撮への変革を、この平成ガメラ3部作が推進したからこそ今日の日本の特撮界はあるのです
第1作の本作は、何もないところからどうすれば良いものを作れるのか
第2作では、一部CG とデジタル合成を取り入れ、第3作では日本の特撮もCG とデジタル合成で特撮をやれるようにしたのです
それこそが平成ガメラシリーズの最大の功績であり、意義であり価値であると思います
中山忍のヒロインの美しさ、東京の都市破壊シーンの説得力、破壊シーンされた東京タワーに巣をつくり夕焼けのなか佇むギャオスのシーンの絵
どれもこれも語り草ですが、何よりも本作が日本の特撮界に与えたインパクトの巨大さをまず語るべきだと思います
キネマ旬報年間ベスト10になったのはそこまでいれての評価なのだと思います
この平成ガメラシリーズにかかわった95人ものスタッフのインタビューが、2009年に発売されたブルーレイに特典映像として収録されています
彼らが平成ガメラシリーズを経験したことが今日の日本の特撮の土台になっていることがハッキリと分かると思います
ぜひこちらを全員分ご覧になるべきです
もちろん本編の金子監督、特撮の樋口真嗣監督のインタビューも収録されています
最後にかなり長文ですが、この樋口真嗣特撮監督の証言を引用させて頂き多ますます
特撮ファンなら大変に重要な証言だと分かると思います
まだCG やデジタル合成が主流になる遥かに前の時代の事です
ガメラを作る直前、私は自分たちの作れる特撮の可能性について考えてばかりいました
どうして日本の特撮はリアルな説得力が無くてちゃちなんだろうか?
アメリカからやってくる特撮のような画はなぜ作れないんだろうか?
10年近く特撮の現場に参加しているうちに、「スター・ウォーズ」や「未知との遭遇」と同じクォリティのものは到底作れない事も判ってきたのです
ミニチュアワークに依存せずに、合成を中心とした画作りがリアルな説得力に繋がるのは判っていたけれども、それを実現するための予算を獲得する事はまず無理でした
ところが、「ターミネーター」彗星の如く現れた監督が作り出した「エイリアン」の続編を見て、「モンティ・パイソン」のメンバーが監督したファンタジー映画を見て、驚きました
撮影規模から類推するに決して潤沢な予算が投入されているとは思えないのに、ミニチュアワークのみで臨場感と説得力を獲得しているのです
おこがましい表現ですが、「フレンドリーな特撮」
ーつまりこの程度のなら自分たちが与えられるであろう予算規模でも成立するのではないか?
技術ではなく画面構成や色調表現、ライティングでカットのリアリティは飛躍的に上がるのではないか?
あとはどうやってその試案を検証するか?
そんな事を悶々と考えていました
そんなに時に舞い込んだのが森田芳光監督の「未来の思い出」1992年の映画の特撮でした
主人公の恋人を乗せた旅客機が嵐に突っ込み、あわや墜落、でも危機一髪脱出する、というシチュエーションを、綿で作った雲海とピアノ線で吊ったミニチュアで撮影しました
雲のフォルムを自然に再現し、丁寧にライティングするやり方はジェームズ・キャメロンやテリー・ギリアムの映画で学んだ方法です
しかし、その旧態依然とした方法に依頼した本編スタッフの全員が懐疑的だったので、テストフィルムを撮影して観てもらったのです
それから彼らのミニチュアに対する、特撮に対する不信感は払拭され、私たちはそのやり方に対して自信を深めました
それが始まりだったののかもしれませんが、特撮を試せるチャンスはなかなか訪れません
アメリカで製作する「ウルトラマン」の現場に立ち会い、アメリカとはいえ予算が無ければ日本よりも条件が悪くなる事を身を持って味わい、帰国した時点で「ガメラ」の企画を脚本の伊東和典さんから聞きます
それまでの閉塞感を打開する最後の機会だったので、今まで同じ意識を抱いていたスタッフを集め、生まれて初めて制作会社、大映に売り込んだのです
「我々に、特撮をやらせて下さい」
あれほどまで積極的にアプローチしたのは、あとにも先にもあの時だけです
現状に対する不満と大胆な行動力のなせる業だったなと思います
面映ゆいですが、あれこそ「若さ」だったのでしょう
あの時期でないとできない仕事だったし、あの時期に出会えて良かったと思います
いまでもひたすら感謝です
「すごい」映画ではあるけど・・・
「シン・ウルトラマン」の公開が近いため、監督の樋口真司さんが参加した作品の中でも評価が高い本作を視聴。
結論から言えば、確かに「すごい」映画であったことは事実だ。30年も前に撮られたとは思えないような大迫力の特撮カットは、特撮オタクはもちろんそうでない人も必見のクオリティである。着ぐるみ特撮によって、リアルに、生物的に撮影された怪獣の姿にはかっこよさ、恐ろしさを強く感じた。
その一方で、やはり30年前だなあと思わせられるような、あからさまに合成の跡が見えたカット、ミニチュア感が拭いきれないカットも多く、正直2022年に見てしまっては見劣りするところがある。
しかし最大の問題点はストーリーの、特にガメラと交信する少女にある。そもそもこの役者さんの演技からして棒読み感が否めないという問題があるのだが、そもそもこのキャラクターが作品に必要だったかといわれると非常に疑問である。ガメラ映画シリーズを通して、子供たちとガメラの絆という要素があることは把握しているし、それゆえに必要なキャラクターであることはわかるのだが、それにしても本当に必要だったのか?という疑問は拭いきれない。その少女との交信でガメラが強くなったというわけでもない。ガメラの出現を預言したりしていたが、なにぶん登場寸前に「ガメラが来る」というだけで、正直別にあってもなくても変わらない程度だ。
とはいえ、それ以外の点においてはストーリーもいい出来ではあると思う。序盤の、海を漂流する謎の岩を調査するシーンにはSF的ワクワク感があって楽しかったし、ギャオスをドームに閉じ込めてしまおうというのはなかなか面白い話で、特撮も相まっていいシーンとなっていた。特撮オタク以外に積極的に進められるほどではないが、それでも一見の価値はあると思う
当時の特撮技術では最高峰だったものの今や
福岡ドームを、怪獣の捕獲に使うという発想が、独創的で、なかなか面白かったのですが、肝心のガメラの存在がいまひとつはっきりしないまま、映画が終わってしまったのが残念です。
そのほか、中山忍さんの好演が意外に光っていたり、特撮技術が、「ゴジラ」に比べればいくらかマシだったり、主題歌のウルフルズがハマっていたりと、好きな映画にしたいところですが、細かいアラが気になって、違和感が最後まで消えませんでした。
特に、現地リポーターが恐怖のあまり、途中から方言丸出しになってしまうところは「あり得ない」演出です。なぜ彼女は逃げようとせずに、リポーターの職務を放棄して伝わらない言葉を選択したのか。「本能的な恐怖に、冷静さを失ったあまりに、本来の正しい日本語を使うという職務を忘れ、博多弁丸出しになってしまった」という演出だそうですが、本能的な恐怖が勝つなら、その場を逃げ出すのが本当でしょう。なぜ、台風のリポーターは雨風にさらされながら、言葉遣いが正しいままなのか考えたことがなかったのでしょうか。
2017.9.10
平成の世に復活したガメラ
ガメラシリーズで人気の高かったギャオスとの対決を現代的考察、リアルで凶暴なモンスターとして復活、ガメラも子どもの味方等と言わない問答無用のモンスターに。
ガメラが東宝で作られ、東宝で公開される事に違和感よりも、よく製作してくれた声が多かったし自分もそうだった。
リアルに人間を貪るギャオスにこの位凶暴でなくちゃ…と納得したが当時の子どもにはここまでの刺激があるとは思わず観に行った子どもたちもいるんだろうな(笑)
セットも火炎放射(火炎弾)も昔のショボさはまるでなく、ゴジラばりに綺麗に作られている。
人間ドラマもソコソコあるし、パニック映画のそれでギャオスをワナに掛ける展開も熱い(笑)、オカルト要素(娘とガメラが同調)する展開はちょっと??みたいには思うが平成三部作には付きまとってくる要素なので我慢我慢。
同じ怪獣ではあるがやはりガメラとゴジラは違う なぁ。
ギャオスとの戦闘は文字通り空中戦も多く、首が回らない等の欠点など無くなったギャオスは強さはともかく、凶暴さは中々のもの。
ラスト、ガメラのタメからの一発はまずまず良かった。
終の文字も鳴き声に合わせて出てくるのは昔のオマージュか?
今見ると。。
今見ると、やはりセットのミニチュア感というか、映像の合成感というか、ニセモノ感っていうのは感じますね。裏を返せば、それだけ特撮技術が進化しているってことなんですが。。
ゴジラは基本人類の敵という存在に対して、人類の味方としての存在・ガメラはなかなかおもしろいですね。ギャオス、ガメラに対する自衛隊の動き、人々の行動、テレビの報道などリアリティがあったと思います。この辺りは、『シン・ゴジラ』のよかった点でもあったので、良い点が継承させていてよかったです。
ただ、ストーリーの中で浅黄の存在意義が何だったのかよくわかりませんでした。なぜ、彼女がガメラとシンクロしたのかも詳しくはわかりませんが(勾玉持ってたからだけ?)、「浅黄がいるからガメラが活動できる」わけでもなく、「浅黄がガメラにエネルギーを与える存在」っていう分けでもなく、ただただ攻撃されたところが一緒に傷ついてるだけの存在という印象で、必要性を感じなかったです。しかも、受けた攻撃全部がシンクロするわけじゃないっぽいし。。
最後に、シン・ゴジラのゴジラを見た後に、このガメラを見るとめっちゃかわいく見えました(笑)
福岡ドームと東京タワー
丁寧に作ってある感じは見受けられた。幼い頃に観たガメラを完全にリメイクしたという監督の思いも伝わってくる。冒頭からのプルトニウムといい、特撮技術といい、どことなく東宝ゴジラシリーズをも想起させる。2001年の金子修介監督のゴジラも似たような雰囲気だった。そして美少女を使うのも特徴の一つ・・・
実際に怪獣が出現したら自衛隊はどう判断するのか?といった描写も少なからずあったり、防衛庁の協力により実際に怪獣が出現したらどうなるのか?ということも考えさせられる。
ギャオスを生け捕りするために福岡ドームを利用するといった大胆な発想に感心したり、東京タワーを追尾ミサイルによって破壊させる驚き。しかし、この折れた東京タワーに巣を作ったギャオスが夕日を浴びて逆光に映るシーンは美しすぎる!ちょっと神がかり。それもあってか、古代アトランティスで生まれたと思わせるストーリーも秀逸だ。さらに数多く発見された勾玉が未知の金属(オリハルコン?)でできていること。古代の神秘を感じるのです。
まぁ、それよりもギャオス内藤対ゴジラ松井の戦いがあればもっと面白いし、そこへ大魔神佐々木が登場すればさらに面白いハズ!プロ野球界に“ガメラ”と異名を持つ選手がいたら、もっと盛り上がったのになぁ・・・
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