「カメ対刃物」ガメラ対大悪獣ギロン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
カメ対刃物
シリーズ5作目。1969年の作品。
前作で遂に子供向けSF漫画と化した昭和ガメラだが、本作ではさらに。
だって、さらば地球よ。宇宙の他惑星へ!
毎夜望遠鏡で星ばかり見ている明夫くんとトムくんは、UFOを目撃。翌朝着陸地点に行き、UFOを発見。
ドアを開けたままの無用心なUFOの中へ。張りぼてのようなUFO船内を勝手にいじってると、2人を乗せたまま離陸してしまう…!
UFOはあっという間に宇宙の彼方へ。あわや隕石と衝突!…の寸前、ガメラが僕らを助けてくれた!
いつの間に子供の為なら宇宙にまで活動の場を広げた“宇宙怪獣”ガメラ…?
そしてUFOは、ある惑星に着陸。
まるで廃墟と化した惑星。
この惑星には、何故かギャオスが棲み付いている。銀色の身体で宇宙に居るから、“宇宙ギャオス”というナイスネーミング!?
危うし明夫くん&トムくん!
そこを助けてくれたのが、勿論僕らのガメラ!…ではなく、
ギロン!
トカゲ、コウモリ、イカ…これまで動物ベースだったが、ギロンは何と、出刃包丁!
“全身が武器の凄い怪獣!”という発案で誕生。
もはや怪獣の原型は何でもあり!
でも、確かにインパクトはガメラ怪獣でも随一。
インパクトだけではなく、強い。
ギャオス対ギロン!(ちなみに、昭和ガメラシリーズでガメラ以外の怪獣対怪獣は本作のみ)
結果は、ギロンの瞬殺&圧勝!
まず、ギャオスの超音波メスをナイフヘッドで跳ね返し、足を切断。低空飛行してきた所を、ナイフヘッドで翼を切断。そしてトドメは、頭を切断! 細かく捌いて食べようとするが、ギャオスの肉はメチャクチャ臭くてギロンのお口には合わないというオチまで!
にしても、あんなに強敵だったギャオスが…。まるで、人造人間登場前にトランクスにあっさり一刀両断されたフリーザの如く…。
それもこれも、新怪獣ギロンのお膳立て。
ナイフヘッドに加え、手裏剣という隠し技も!
これにはガメラも苦戦。昭和ガメラシリーズでは、ギャオスやバルゴンと並んでガメラを苦戦させた強敵と言えよう。
そのインパクトと強さから、平成の『ガメラ2』の敵怪獣として候補に挙がったのは事実。
また、生物を原型とせず、無機質で、宇宙怪獣…これらレギオンに影響与えたとか与えてないとか。
ギロン、ギロン、ギロン、レギオン、レギオン、レギオン…。名前も似てるような、それとも単なる偶然…?
ま、ギロンが魅力だけで、後は…。
地下へ逃げ込んだ明夫くんとトムくんは、2人の美女宇宙人に助けられる。
だが本当は、ギロンを操り、2人を食べ、地球を侵略して地球人もお腹いっぱい食べようとしていた怖~いお姉さんだった…! その内の一人は、『~対ギャオス』で優しかったお姉さん…。
明夫くん&トムくん対怖いお姉さん宇宙人は、もはやコント。「バックは出来なくなったけど、一周して戻って来たのさ!」という台詞に大爆笑! あ、その安っぽい衣装も。
ギロンや怖いお姉さん宇宙人もある意味インパクトあるが、等しいくらいキョーレツなのが、主人公の明夫くんとトムくん。だって…
UFOを目撃しても発見しても、宇宙に飛び出しても隕石にぶつかりそうになっても他惑星に着陸しても、ギャオスやギロンや怖いお姉さん宇宙人に襲われても、全く動じない!
近所から連れてきたような素人演技&棒読みが成せる業!
で、怖いお姉さん宇宙人の野望は脆くも崩れ、
一度は敗れたガメラもギロンと再戦。鉄棒大回転からのウルトラC級の荒業でキメ、勝利!
真っ二つに壊れたUFOを火炎噴射(弱)で器用に溶接・修理。
そして明夫くんとトムくんをUFOに乗せ、無事地球に送り届けたのでありました。
強いぞ、ガメラ! 凄いぞ、ガメラ!