「ヒーローと好敵手」大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ヒーローと好敵手
シリーズ3作目。1967年の作品。
ゴジラで言えば、キングギドラ。ガメラ最大のライバル、ギャオスのデビュー作。
昭和シリーズでは『~対大悪獣ギロン』に亜種として再登場、平成3部作でも『1』と『3』に登場、2006年の『小さき勇者たち』にも登場。
その人気のほどが窺える。
コウモリをモデルにしたシャープなデザイン。何処か悪魔的なものも感じさせつつ、ガメラ怪獣の中ではやはり一番カッコいい。(レギオンも捨て難いが…)
必殺技は、どんなものも真っ二つにする超音波メス。ガメラの腕も切り裂く。
夜行性。獰猛で、人間を食らう。
空も自由自在に飛べ、何と言ってもガメラと繰り広げられる空中戦。
…と、魅力たっぷり。その特徴や性格は平成版にも引き継がれている。
他にも、(ネタバレだが)断末魔の超音波メスとか、電車を襲って乗客を食らうとか、明確ではないが人間の環境破壊で永い眠りから目覚めたと思わせる説明描写もあり、改めて見ると、一新したとは言え細かい点で平成版はオマージュもちらほら。
90分弱ほどの尺で、ガメラとはたっぷり3回戦。
1回戦は、超音波メスでガメラを散々いたぶり、ギャオスの勝利。
2回戦は、タイトルにもなっている空中戦。闘いの場は海へ。ガメラはギャオスの足に食らい付き離さない。間もなく日の出。寸前、ギャオスは自らの足を切断し、逃げ去る…。引き分け。(この足を自ら切断するのも平成でお披露目)
そして、決戦のクライマックス…。
その合間合間にも、街襲撃や人類の対作戦。
ほぼギャオスがメインと言ってもいいくらい。
ガメラは本作から完全に正義の味方、子供たちのヒーローに。助けた子供を背中に乗せて飛ぶ“サービス”も。
子供をも襲おうとするギャオスのヒールさに対し、ガメラの魅力が際立つ。
ヒーローが持つべきものは味方と等しく、好敵手である。
人間ドラマ部分は、前作がアダルトな作風になって子供客にそっぽ向かれてしまった為、子供を主要人物とし、良く言えば分かり易いソフトな作風、悪く言えば取って付けたような平凡な内容。
とは言え、次作からの少年SF漫画のような完全子供向けまでにはならず、森林開発を巡る大人たちの人間のエゴも描かれ、まだギリギリ大人向けと子供向けの“中間”を保っている。
尚、本作から遂に登場、昭和ガメラお馴染みの“ガメラマーチ”!…ではなく、こちらは“ガメラの歌”なので、お間違いのないよう。
それぞれ魅力を際立たせたヒーローガメラと好敵手ギャオス。
陸海空での闘いと見せ場を、特撮を駆使して。
話も作品的にも怪獣映画の王道。
“ライバル”の本多猪四郎監督が本作を絶賛したという逸話も。
昭和ガメラの中で、最も“昭和ガメラ”らしいと言える快作。