劇場公開日 1965年11月27日

「初めての東宝特撮への挑戦」大怪獣ガメラ あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0初めての東宝特撮への挑戦

2020年2月23日
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鑑賞方法:DVD/BD

1954年のゴジラから11年もの間、怪獣映画は東宝特撮が独占してきた
米国のレイ・ハリーハウゼンがダイナメーションと呼ばれる人形をコマ撮りアニメーションで動かした数作に怪獣が登場する作品はあるが、その他には海外でも国内にも怪獣映画の競合は無かった
東宝特撮はそれ程に無敵だった

しかし11年も経てば、東宝特撮に対抗しようという動きは当然でるだろう
東宝特撮だけに美味しい思いをさせるのは悔しい
特に劇場主は映画会社に対策を要求したはずだ

それが本作が生まれた動機だろう
とにかく怪獣映画をだす
対象は?

ゴジラなどの東宝特撮をこれまで観て来たのは誰か?
団塊の世代は20歳代
怪獣映画はもう卒業してるだろう
だから狙うのはその上の30歳代だ
彼らの子供が小学生になってきた頃だ
ならば彼らが子供を連れて怪獣映画を観に来れるものを撮れば良い

このように企画が作られたのは間違いない
大人も楽しめるストーリーでありながら、子供も退屈せずに怪獣登場シーンを楽しめる
むしろ子供を狂言回しにしてストーリーを進行させ子供に自分達の怪獣映画であると思わせる
これがガメラのコンセプトと言える

カメをモチーフに、火を噴かせる、甲羅の手足の部分からロケット憤炎を出して回転して空飛ぶ円盤となって飛んでいく
眠りを覚ました理由こそ原爆だが、ゴジラのようなメッセージ性を持たせる意図はさらさらない
荒唐無稽なほど良いのだ
アトランティス伝説を持ち出したのは、ずっと後年の平成ガメラで活きることになる
脚本の高橋二三の腕は確かで大変に面白い

肝心の特撮はゼロベースではなく、怪獣映画ではないものの、特撮要素のある作品は大映でも何本か作られていた

とはいえ、東宝特撮のスタッフにノウハウを聞いて作られたとのことで、テイストは東宝特撮とあまり変わらない
むしろほぼ同じ
厳密には東宝特撮に一日の長はあれど、一般観客からすれば大した違いではない
白黒作品であることを割引いても遜色ない出来映えだ

東宝特撮のノウハウを大映のスタッフに教えることを黙認した円谷英二の器の大きさには感動する

しかし日本の特撮技術は逆に同質化競争になっていくのだ
怪獣映画といジャンルに限定され、同じ特撮技術のルーツを持つ特撮映像で競争を繰り返していけば、粗製乱造に陥いることになるのは火を見るより明らかだ

その事の危険に気付くのは、なんとこの大映だった
自社の独自性をもった特撮とは何か?
それを大映はすぐに答えを出してくるのだ

それは翌年1966年4月ガメラの次回作大怪獣決闘 ガメラ対バルゴンの併映作品だ
タイトルは大魔神である

超ひさびさに観て改めて気がつきました
ガメラの24時間足止め作戦はシン・ゴジラでの列車爆弾の元ネタだったのですね

あき240