大怪獣ガメラのレビュー・感想・評価
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60年前のファーストガメラ
少年の姉が避難するときに疎開するなどと台詞が出るところが時代を感じる。東京の風景もモノクロとマッチして楽しい。ガメラがシュールで人気が出たのは円盤のように飛び回る奇想天外さにあったのではないでしょうか?それとあの物悲しい鳴き声が陰影に富むところが感じられます。船員を全滅させたり東京を破壊しまくりますが子供を大切に扱う矛盾した存在です。
北極シーンだけだとウルトラQの大映版みたいですね。
ラストはやや物足りなく感じましたが微笑ましい感じもしました。ゴジラと良い意味で比較したくなります。それはゴジラに負けない怪獣を創り出した大映スタッフの頑張りもあったのだと思いました。
0007 どうやって子供だと認識するのだ?!
1965年公開
もともと大映が東宝に対抗すべく「大怪獣ネズラ」を企画。
本物のネズミを使って群獣のイメージを強めようとするも
ダニが大量に発生。製作中止となり従来の着ぐるみでゴジラに
対抗したのが「ガメラ」
白黒だからこその迫力ある登場シーン。
自動車の急ブレーキごとくの鳴き声
下から出た牙
それから空を飛ぶに回転ジェット(めぇ回らんのか?)
など既存の生物に重きをおいた東宝怪獣とは一線をひいた
特異なアイデアが光る。
しかし肝心の特撮はイマイチで
東京タワーが折れることなくそのまま倒れた~!
カメ80m体長でタワーにくらべてでかすぎん?
などうん?というところあるがそれはご愛敬。
充分東宝にひけをとらない一連のシリーズが
ここからスタートする。
70点
『1000℃にも及ぶ水蒸気でタービンを回す地熱発電所』???
『1000℃にも及ぶ水蒸気でタービンを回す地熱発電所』???
『そこへ行けば、1000℃にも及ぶ水蒸気が吹き出しているのかね』???
『司令官、核ミサイルの発射準備完了です』???
『冷凍爆弾???』
突っ込みどころが多すぎて、日本国憲法も物理学も諸共せず。
こんな映画で育ったのが恥ずかしい。けども僕は見たか見なかったかも忘れた。
やっぱり、大映は『大魔神』だねぇ。
評価しようがない。
しかも、生物学的に
『なぜ亀が二足歩行するんだ!?』
って我が亡父は言っていた。
追記 演技をしている俳優さんが恥ずかしげもなく、真剣に演技しているのが哀れに感じる。
このZ計画なるものは、現在の月面着陸と高層エレベーター計画と酷似している。勿論、人類の叡智では不可能でリスクがあり過ぎて、見返りが少ない計画である。もし、万が一失敗すれば、人類の滅亡に繋がりかねない。
『核廃棄物を月面へ』と言った計画なのである。近年それが明らかになるであろう。
あっけなく旅立ったものよ
それでこの後は「宇宙大怪獣」ガメラとなるのだね。幼い頃観たのはガメラが正義の味方になる宇宙生物との対戦物が中心だったので、あちこち斬られて痛そう、ガメラ可哀想、でも海中で休んだら元に戻るんだ、丈夫〜、みたいな印象しか無かったが結構悪役として破壊しまくってるんだ。
この時代にしては核使用へのハードルが低く見えるのが少し意外であった。船越英二、60年代ですでに初老感が出ていて驚き。
火を噴き回転し空を飛ぶ巨大な亀の怪獣ガメラのオリジナルにある映画愛
1965年(昭和40年)初公開のこのガメラ映画第一作を田舎の小さな映画館で観たのは、私が小学2年生の時でした。ゴジラ映画に対抗した日本の新たな特撮怪獣映画を胸躍る気持ちで夢中になって楽しんだ記憶が、約58年の時を経て蘇ります。しかし、おぼろげながら記憶に残っていたのは、倒された灯台から落ちる俊夫少年をガメラが掌で受け止め命を救うシーンだけでした。今回懐かしく観て一番の驚きはカラー作品ではなく白黒映画だったことです。同時期の東宝ゴジラ映画がカラーなので、てっきりこの大映ガメラ映画もカラーと思い込んでいました。これは当時の私が白黒でも違和感なく観ていたことを意味します。今日のように色鮮やかなカラー作品が当たり前の時代ではなかったことを改めて痛感しました。そして第二作の「大怪獣決闘ガメラ対バルゴン」からカラー作品になったのは、この作品の大ヒットによるものと想像がつきます。その後第三作「大怪獣空中戦ガメラ対ギャオス」第四作「ガメラ対宇宙怪獣バイラス」第五作「ガメラ対大悪獣ギロン」と続けて昭和のガメラシリーズを小学校時代観ていくも、日本映画の斜陽に伴い田舎の映画館が閉館されたことと、子供向け映画への関心が薄れたことで、第六作以降は未見で終わりました。
しかし、今回見直して感心したのは、特撮技術の工夫や努力が予想以上に感じられたことでした。冒頭の謎の飛行機と追跡するアメリカ空軍のバトル、北海道に上陸して灯台を破壊するシーン、そして東京タワーをなぎ倒した後で火の海と化した石油コンビナートで荒ぶるガメラなど、ゴジラ第一作を意識したシーンも含め見応えがありました。35万キロの放電に耐える地熱発電所のシーンにそれを最も感じます。そしてガメラの特徴で異彩を放つのは、炎を吸い取ることと、四つの手足の穴から炎を噴射して高速回転をしながら円盤のように飛ぶことです。冷凍作戦によってひっくり返ったガメラが、そのまま餓死するだろうと安堵する人間たちの期待を絶望に変える、このアイデアは今観ても斬新です。また石油コンビナートの炎を絶やさないために石油搭載の貨物列車を突撃させる作戦は、「シン・ゴジラ」のクライマックスを彷彿とさせるものです。冷凍作戦と併せて共通するものがあり興味深く感じました。
ただし、作戦の立案から実行の展開が早くて、次から次へと編み出されるものが都合よく描かれてしまい、ストーリーに重みがありません。灯台守を父に持つ俊夫少年がガメラへの最終攻撃のアメリカ軍の核ミサイルを止めるくだりは、どうして内陸の危険な地熱発電所に家族皆いるのか意味不明です。核ミサイルを使うのも大胆無謀極まりなく、子供の時は亀に強い愛着ある俊夫少年と見えたかも知れませんが、今観るとその執拗な愛情が大人たちを困らせ迷惑を掛けるだけにしか見えません。子供向けを意識し過ぎて、子供に甘いストーリーになってしまっています。行動に子供らしい可愛げがもっと欲しいと思いました。演じた内田喜郎少年は撮影当時11歳の小学6年生ですから、キャラクター設定が幼過ぎたと言えるでしょう。それと自衛隊の軍事機密である冷凍爆弾がすぐ提案されたり、アメリカとソビエトの共同研究のZプランが日本の大島にある不自然さもあります。良く言えば奇妙奇天烈なストーリーを意図した怪獣映画の強行突破の勢いと潔さ。理屈では説明不可能です。
演技面では、名優船越英二の主演で大分救われていると思いました。この方の演技には品があり、また安心して観ていられます。カメラマン役の山下洵一郎は、他に若尾文子と共演の「越前竹人形」で知りました。姉桜井信代役の姿美千子も、市川雷蔵と共演の「剣鬼」で観ています。勿論このガメラ映画を観て大分経ってからの話です。脇役の常連と言ってもいい、左卜全、浜村淳、吉田義夫の三名は芸歴も長く、それぞれに面白いキャラクターをこの作品でも表現しています。面白かったのは、浜村淳の村瀬教授がガメラのことを“奴さん”呼ばわりするところでした。まだ完全に正体が分かっていないであろう怪獣にそんな言い回しは可笑しいですし、当時の言葉使いも偲ばれて笑ってしまいました。
見直して長短の両方を感慨深く認識することになりました。それでも当時の子供にとって、この映画はゴジラ映画に並ぶ娯楽作品として充分満足した映画なのです。そのために制作した大人たち映画人の努力は、子供向けと揶揄される偏見を乗り越えて真摯に立ち向かい結果を導き出したのです。今そのことに心から感謝する自分がいます。そのため星も考慮しました。
7歳の私なら、星は★★★★です。
衝撃の作戦によるラスト
◯ガメラ初登場
正義の怪獣ではない頃のガメラ
平成以降には無い炎を吸収する性質
エネルギーを求めて東京を蹂躙
白黒なので怖い
◯回転飛行
ゴジラ等にはないガメラ最大の特徴
最初に思いついた人頭おかしい
◯衝撃の作戦によるラスト
作中では亀の性質を利用した作戦など、
様々な作戦が展開される。
その中でも予想の斜め上を行くZ計画は衝撃的。
(ある意味オキシジェンデストロイヤーよりすごい)
△クソガキ
ガメラ名物のクソガキは初代から健在。
ガメラは友達と言い張り傍若無人の限り
△街破壊シーンが少なめ
東京を破壊するシーンがもう少し見たかったかも。
ポスターにある新幹線を持ち上げるシーンはなし。
△古代設定は生かされていない。
アトランティス出身の設定が最初にあるだけ。
平成ガメラファンからすると物足りないかも。
ガメラは止まらない...トシオも止まらない!!
「大映だってゴジラに負けない特撮作れるんですけおおお!!」というパワーが先走って有り余った怪作にして快作。いやもう終盤、涙流して笑っちゃった...こんな大昔にとんでもないジェットコースタームービーがあったもんだ。さながらウルトラマンタロウの濃い部分を10話分ぐらい濃縮して見たようなエキセントリックさ、エネルギッシュさ。この振っきった勢い、嫌いになれるわけが無い。そりゃ成功に結びつきますわ。
いやまぁ、B級グルメ的な判断での大好きなんで、星は少しだけ控えめにしておきます。でもニッッコニコで見終わったのは事実です。内心は星5あげたい 。
物語は北極に端を発する。
紆余曲折があって(ほんとにいきなりややこしいいきさつがある)氷塊に堕ちた核爆弾。その熱エネルギーを(たぶん)吸収し、アトランティスの言い伝えにある伝説の巨大ガメが姿を現す...!
文字通り原子爆弾をも含めた地上のあらゆる熱エネルギーはガメラの餌に過ぎず、おまけに空飛ぶ円盤さながらに高速飛行能力まで備えた完全無欠の大怪獣。その上空腹になれば無差別破壊を辞さない60m級の暴れん坊に、世界中の頭脳集団が頭を抱えるハメに。
実際、中盤までのガメラの被害は洒落にならないえげつなさが前面に出ており、現実での災害を捉えたであろう資料映像のインサートが安上がりながらも笑えない生々しさを出している。逃げ遅れた人々に直に火を噴く容赦ないカットまである。確かにここだけならゴジラにも増して怖いかも...って思ってしまう。
しかし決着が近づくにつれどんどんギャグ漫画じみた大味さを大特撮でもってお送りされるんだから色んな意味で堪らない。
視聴する子供たちの目線として、亀をこよなく愛するも周りの不理解に苦悩するトシオ少年というキャラが出てくるのだが(実際当時から亀は子供に人気の動物という認識があったっぽい)、ガメラに一度命を救われたことで自然とガメラにも情がわく。その後殆どのシリーズで踏襲されることになる「ガメラと子供たちの強い絆」の幕開けなのだが...本作に限って言えばまぁ割と一方通行な気がしないでもない。この後先述の大惨劇が挟まるわけで、これで「ガメラは本当は良い奴なんだ!」って泣きつかれても...うぅ〜ん...?
しかしガメラと同じくらいトシオ君も誰にも止められない。ガメラに会うためなら餌の列車に紛れ込むわ船に密航するわ...この手のキャラクターって上手く感情移入できる見せ方なら同情を誘うか、失敗例ならイラつかせるかどちらかだと思うのだが、この子はこう、突き抜けすぎてて...もうここまで来たらどうなっても本望だろうから好きにするがええ!という気持ちになってしまう。
最終作戦、人類に残された唯一の「ゼットプラン」でもって迎え撃つべく、世界一丸となってガメラに炎の餌を巻き、プランの待つ島へおびき寄せる。嬉しそうに火柱を吸いながら海を渡る姿に、あんなに怖かったガメラがチョロ可愛く見えてくる。またガメラが島に上がるか上がらないかの駆け引きが...そんな畳み掛けるような偶然ある?!って凄すぎて笑っちゃう。そして最後は...伝聞で知っていたとしても、是非あなたの目で見てくれ。投げっぷりがサイコーだから。ドラえもんの栗まんじゅう回かよ。
初代ゴジラが常に重々しいメッセージと切り離せない記念碑作であるのに対し、こちらは良くも悪くも、悪くも良くも、99パーセント娯楽に振り切ったことが分かるパニックモンスターものだが...これが昭和期では一躍大映を代表するスーパーヒーローになったり、平成初期を代表する名作特撮映画に繋がったりするんだから世の中何でも作ってみるもんである。って書くと何だか見下したふうに取られそうだが、メチャメチャクライマックスまでの瞬間最大風速がすごかったのも事実だし、ネタ的な評価抜きにしても映像の迫力はモノクロ映画であることすら忘れさせるほどに派手だったんで、...あまり頭を使って観るものでもないのでレビュアー様方の全体的な温度が低いのもわかるが...これもまた正しくエンタメだと僕は断じる。いやもう本っ当、こういうの大好き。
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私事ですが、一個前に見たディズニーの「ウィッシュ」云々が色んな意味で尾を引いてて...怒りに満ち満ちた文なのに過去一で伸びちゃったもんだから「次、何見ても感想言いづらいな...」とか、「大して嫌いでもない映画を、承認欲求のために大袈裟に悪く言うようなひねくれ者になっちゃったらどうしよう...」などという気持ちでいたのだが、この吹っ切れた痛快作がYouTubeでの無料公開という形で目に飛び込んできてくれたおかげで、全てがちっぽけに思えてきた。ガメラは子供の味方だが、今日に限っては僕の味方だった。
エゴが招きエゴが追放した怪獣
平成ガメラがそんなに面白くなかったからそもそもそんなに期待してなかったけど、ガメラのビジュアル以外特筆すべき点がほとんど見当たらない作品だった。50年代くらいの作品だろうとタカを括っていたのに65年製だというから驚きだ。ミニチュアセットを用いた特撮シーンはそこそこの出来だが、それ以外のシーンでは製作予算的な問題があられもなく露呈してしまっている。ただ、やはりガメラの凡庸なようでいて唯一無二なビジュアルとそこからくる存在感の強さは見ものだ。頭と四肢を殻の中に引っ込めて火を噴射させ、回転花火の要領で空高く舞い上がるガメラの姿は一度見たら忘れられない。飛行形態の美しさという点ではライバル社東映のゴジラをゆうに凌ぐ。まあ、ゴジラの飛び方があまりにも酷すぎるからなんだけども(『ゴジラVSヘドラ』参照)。原爆の惨禍から生まれたという出自や人間のエゴイズムによって忌避され退治されるという顛末は戦後スペクタクル映画の王道を征く怪獣だが、それにしても火星に追放とはあんまりにも気の毒だ。初代ゴジラとは違って人間に対する良心があるような描写があるにもかかわらず人間たちから容赦なく攻撃を受け続けるガメラに思わず肩入れしたくなってしまう。ちなみに第2作ではガメラを閉じ込め火星へ向かうロケットが隕石と衝突し、逃げ出したガメラが再び地球に戻ってくるところから物語が始まるそうだ。『エイリアン』シリーズかよ。
特撮はいろいろ工夫されて作られてるなー、と。
ピアノ線が一ヶ所だけ見れた。実際の映像やらミニチュアやら、とにかくいろいろ工夫されて作り込まれてるなー、と感心。火の量が半端なく白黒でも大迫力。火星に行ったらガメラは死んじゃうんじゃないかとも思って子供の気持ちに疑問。まあ、ゴジラに対抗したガメラがファンを作れたからOK 。
映画は大映
ゴジラに対抗して作られた意図はわかるし、身近な亀を巨大化する事で子どもの人気も出やすそう。あの時代なら亀を手に入れて家で飼って逃げられた子どもは山ほどいるはず(笑)
モノクロ作品で当時としては頑張っている。
火炎放射はホンモノだろうし(笑)
重いテーマは無しにして観る対象を子どもに振り切った感があるシリーズである。
子どもの多かった当時はそれで良かったのだろう。
大人になると細かいツッコミを入れてしまいがちだし…。
名作とお薦めしまくる作品とは思わないが、あの登場シーンの雰囲気は凄いと思う。
近日リマスターして公開されそうだから、劇場で観た人たちの感想を期待したい。
あ、あの子どもには「お前~!エエ加減にせぇ!」と拳骨くれてやりたい。
大怪獣ガメラの始まり
ちょっと前に観た平成ガメラ三部作が面白かったので昭和の方にも手を出してみました。うお!白黒だ!!
よくよく考えるとカメを大怪獣にしようって発想スゴいですよね!子供の頃から当たり前のようにいるんであまり考えたこともなかったのですが、そもそもこのガメラを思い付いた事自体がスゴいです。更に空を飛ぶとか!普通の思考じゃ考えも付かないです。
甲羅を背負っているだけあってガメラさんメチャメチャ丈夫です。でも、自衛隊の砲撃が効かないからってアメリカ軍に要請して核爆弾を撃ち込む⁉️あれ?非核三原則って当時は無かったんですっけ?
ガメラさんガンガン東京を壊していきます。おバカそうなパリピの若者が容赦なく踏み潰されるシーンにはちょっと笑ってしまいました。おー、東京タワーも倒した‼️って東京タワーの周りに大きい建物が何もない⁉️こういうシーンって当時がわかって面白いですね。でもZプランで石油を海に流すのは当時でもありなんでしょうか?環境破壊って認識は全くなかったのかな?
なんだかんだで白黒なだけに妙に迫力があってとてもガメラが不気味でした。ゴジラに負けじと頑張って作ったんだろうなぁって事が伺えて、なかなか面白かったです。
火を吹き、空を飛ぶ! ゴジラと対するニュー怪獣スター、ここに誕生!
本作のレビューはガメラ生誕50年の2015年に一度書いているが、その時はシリーズ纏めてと今後の怪獣映画への明るい期待について…というちょっと変わった切り口でのレビューだったので、改めて。
同時に、正直ガメラシリーズはゴジラシリーズほど詳しくなく愛着薄いが、何とか頑張って、これから追い追いシリーズレビューを。
という事で、1965年公開の記念すべき第1作目。
時は怪獣映画ブーム真っ只中。
東宝の怪獣王に対抗すべく、各映画会社こぞって挑むも、ことごとく不発。
そんな中で唯一、シリーズ化と人気を築き上げ、対する事に成功。
その魅力を、内容と共に。
北極のエスキモー集落を訪れた日本の動物学者・日高博士ら調査団。目的は、彼らの伝説でアトランティスに居たという巨大なカメの話を聞く為だった。
その時、国籍不明機が米軍機に撃墜される場を目撃。その機は原爆を搭載しており、大爆発を起こす。
氷の大地が大きく割ける。原爆の影響によって、氷の下から、エスキモーが恐れる“アトランティスの悪魔の使者”が目覚めた。その名は…、
ガメラ!
今となっちゃあ“正義のヒーロー怪獣”や“守護神”のイメージあるガメラだが、初出現時はゴジラと同じく恐怖の怪獣。何だかちょっと新鮮。
しかし、北海道で灯台から落ちそうになった子供を助けるシーンがあり、早くも後の片鱗が垣間見える。
北海道から日本に上陸。地熱発電所を襲う。
火を好み、火をたっぷり食らう。
平成ガメラはプラズマ火球だが、昭和ガメラと言えば、火焔放射。
よって、自衛隊の火器攻撃はかえって仇になる。
原爆で目覚めたので、原爆も通用しない。
硬い甲羅はミサイルをも跳ね返し、撃つ手ナシの無敵の大怪獣!
が! 火に強いという事は、寒さに弱い。
冷凍爆弾でガメラの動きを封じ、その間に通常爆破でひっくり返す事に成功。
カメはひっくり返れば動く事が出来ない…のは、普通のカメのみ。
頭手足を引っ込め、回転して空を飛んだ…!
大映にだって優れた特撮技術があり、『釈迦』などそれを駆使した特撮大作も作られている。
「ならば、何故怪獣映画が作れない…?」
「ゴジラのような怪獣映画を!」
当初はネズミの怪獣の予定だったが(特撮ファンなら知っている幻の企画『大群獣ネズラ』!)、色々トラブル続きで制作中止に。
そこで、当時の大映社長・永田雅一の鶴の一声。
「カメの怪獣を飛ばせ!」
そして誕生したのが…、
火を吹き、空を飛ぶ。
陸海空全て活動範囲。
それでいてヒロイックな面も。
松竹ギララや日活ガッパとは一味違う、この魅力!
ゴジラと人気を二分する怪獣スターになったのも頷ける。
昭和シリーズの中心的存在となった本編監督の湯浅憲明は、特撮映画をちょっと冷めて見ていたとか。ピアノ線が見える、火や煙が出ていない。…
でも実際にやってみて、その難しさを痛感したという。
そんな苦労や試行錯誤、元々の高い特撮技術もあって、特撮シーンはなかなか。クライマックスの東京襲撃シーンなど、白黒の映像も相まって、堂々たる見せ場になっている。(ちゃっかりゴジラより先に東京タワーを破壊している)
火焔放射は実際の火を使用、回転ジェットはアニメーションなど、スタッフのアイデア駆使した特撮表現もユニーク。
怪獣映画としては王道だが、人間ドラマ部分ははっきり言って、1954年『ゴジラ』に遠く及ばず。
チープでツッコミ所多々。
その最たるは、ガメラに助けられたカメ好きの少年。
「ガメラは本当は悪い奴じゃないよ!」と一見大人たちに訴え続ける純真な子供のようだが、攻撃や危険な場に忍び込んだり、邪魔ッ!!
挙げ句の果てに、あんなにガメラを助けようとしてたのに、ラストはあっさりと「ガメラ、さよなら~!」って、何なんでしょう、この子…。
さて、撃つ手ナシの人類は、日本・アメリカ・(当時の)ソビエトなど国境を越えて立ち向かう。
人類の叡知を集結させた“Zプラン”。
火でガメラを誘導し、あっという間に伊豆大島に作られた巨大カプセルの中にガメラを閉じ込め、宇宙へ飛ばす事に成功。
人類の勝利!
しかし、ガメラは再び帰って来る。
恐怖の怪獣としてではなく、我々がよく知る魅力を伴って。
本作のガメラもいいが、でもやっぱりガメラは、ヒーローで守護神の方がしっくり来る。
初めての東宝特撮への挑戦
1954年のゴジラから11年もの間、怪獣映画は東宝特撮が独占してきた
米国のレイ・ハリーハウゼンがダイナメーションと呼ばれる人形をコマ撮りアニメーションで動かした数作に怪獣が登場する作品はあるが、その他には海外でも国内にも怪獣映画の競合は無かった
東宝特撮はそれ程に無敵だった
しかし11年も経てば、東宝特撮に対抗しようという動きは当然でるだろう
東宝特撮だけに美味しい思いをさせるのは悔しい
特に劇場主は映画会社に対策を要求したはずだ
それが本作が生まれた動機だろう
とにかく怪獣映画をだす
対象は?
ゴジラなどの東宝特撮をこれまで観て来たのは誰か?
団塊の世代は20歳代
怪獣映画はもう卒業してるだろう
だから狙うのはその上の30歳代だ
彼らの子供が小学生になってきた頃だ
ならば彼らが子供を連れて怪獣映画を観に来れるものを撮れば良い
このように企画が作られたのは間違いない
大人も楽しめるストーリーでありながら、子供も退屈せずに怪獣登場シーンを楽しめる
むしろ子供を狂言回しにしてストーリーを進行させ子供に自分達の怪獣映画であると思わせる
これがガメラのコンセプトと言える
カメをモチーフに、火を噴かせる、甲羅の手足の部分からロケット憤炎を出して回転して空飛ぶ円盤となって飛んでいく
眠りを覚ました理由こそ原爆だが、ゴジラのようなメッセージ性を持たせる意図はさらさらない
荒唐無稽なほど良いのだ
アトランティス伝説を持ち出したのは、ずっと後年の平成ガメラで活きることになる
脚本の高橋二三の腕は確かで大変に面白い
肝心の特撮はゼロベースではなく、怪獣映画ではないものの、特撮要素のある作品は大映でも何本か作られていた
とはいえ、東宝特撮のスタッフにノウハウを聞いて作られたとのことで、テイストは東宝特撮とあまり変わらない
むしろほぼ同じ
厳密には東宝特撮に一日の長はあれど、一般観客からすれば大した違いではない
白黒作品であることを割引いても遜色ない出来映えだ
東宝特撮のノウハウを大映のスタッフに教えることを黙認した円谷英二の器の大きさには感動する
しかし日本の特撮技術は逆に同質化競争になっていくのだ
怪獣映画といジャンルに限定され、同じ特撮技術のルーツを持つ特撮映像で競争を繰り返していけば、粗製乱造に陥いることになるのは火を見るより明らかだ
その事の危険に気付くのは、なんとこの大映だった
自社の独自性をもった特撮とは何か?
それを大映はすぐに答えを出してくるのだ
それは翌年1966年4月ガメラの次回作大怪獣決闘 ガメラ対バルゴンの併映作品だ
タイトルは大魔神である
超ひさびさに観て改めて気がつきました
ガメラの24時間足止め作戦はシン・ゴジラでの列車爆弾の元ネタだったのですね
ゴジラより先に東京タワーをぶっ壊した!
ガメラ・シリーズ第1作。
サンテレビ「アフタヌーンシアター」で鑑賞。
ゴジラと人気を二分する、ガメラの記念すべきデビュー作です。当時は特撮怪獣映画の黄金記で、各映画会社がこぞってブームに便乗しており、多くの作品が生み出されていました。
大映も参戦し、口から火を吐く、両手両足を収めて回転しながらジェット噴射で空を飛ぶ、動物性を強調して四足歩行であるなど、ゴジラには無い特徴を持つ怪獣が誕生しました。
ガメラを語る上で外せない要素として、いちばんに子供が挙げられるでしょう。ガメラは常に子供の味方。本作は人類とガメラの戦いが描かれるので悪役扱いですが、灯台から落ちた少年を救う場面もあり、その片鱗が垣間見えました。
昭和シリーズでは作品を経るごとに子供目線を重視した作風が顕著となりました。後の平成三部作などでもそれは踏襲されていました。「怪獣映画を観るのは主に子供」と云う信念を徹底したからこそ人気を獲得し続けているのかも。
そのためかシリーズを通して、他の怪獣映画でよくあるような、科学者が怪獣を倒す決定打を発見すると云うような、大人が活躍する場面が殆どありませんでした。子供が着想したアイデアを大人が実行する、と云うスタンスでした。
本作ではまだ大人の活躍が目立ちましたが、Z計画のとんでもなさは子供が思いつきそうなユニークさがありました。科学考証を度外視し子供に夢と希望を与えるようなファンタジーに徹した作風は昭和シリーズ全てに通底しています。
本作の白眉は、なんと言ってもガメラの東京上陸シーン。その迫力はゴジラ・シリーズに負けていないと思いました。猛烈な火炎放射によって街は火の海に。本家のゴジラより先に東京タワーをぶっ壊すと云う偉業を達成しました。身長差273メートルを腕力のみで倒壊させるなんてすごい馬鹿力です。
ゴジラ・シリーズと比較されるのは宿命かもしれませんが、「二番煎じではないか?」と云う前評判を跳ね除けるかのように、本作は大ヒットを記録しました。以後、大映が倒産するまで毎年1本のペースで続編が製作されることになりました。
[余談]
それにしても俊夫くん、えげつない子供です。自分が捨てた亀のチビがガメラになったのかもしれないぞ、と時系列を完全に無視した思い込みをするし、ガメラの家をつくるんだと言って石ころをいっぱいリュックに詰めて来るし(足りるわけないだろ)、ガメラに突入する石油タンクに掴まってニコニコするのはいいけれど、助けに来たおじさんを手こずらせて爆発に巻き込まれそうになるし。頭を叩きたくなりました(笑)。
「ガメラは友達なんだ!」ととんでもない行動力で大島まで密航する気合いには危うく敬服しそうになりましたが、その後の行動にめちゃくちゃ腹が立ちました。大島に誘き出されたガメラに「来ちゃだめだ!」と一喜一憂していたにも関わらず、翌日には大好きなガメラを宇宙に追放するためのZ計画の施設を「すごいだろぉ!」とさも自分がつくったかのように姉に自慢しているんですもの。お前は二重人格なのか!
と、なんだかんだ書いて来ましたが、このような部分がやけに気になってしまうのは、童心を忘れてしまったと云うことの証明みたいに感じて、切ない気持ちになったことも事実。私も大人になったと云うことなのかしら。そう云うことであるならば、俊夫くんの方がまだマシなのかもしれません。
[以降の鑑賞記録]
2019/06/27:アマプラ(シネマコレクション by KADOKAWA)
※修正(2023/12/04)
なぜ火が好きなのか・・・
エスキモー部落にまで“冷たい戦争”の波が押し寄せている。当時の世界状況をよく描写してある冒頭部分。もちろんソ連を想定してあるんだろうけど・・・あくまでも某国だ。アトランティス大陸の悪魔の使者ガメラ。エキスモーに伝わる伝説の怪獣だ。日本船ちどり丸は座礁、乗組員も消えてしまったのだ。
新潟県でも目撃。見たのはおじいさん役の左卜全。そして北海道。灯台守も息子である小学生の俊夫くんは飼ってた亀を捨ててこいと叱られるが、そこで巨大なガメラと遭遇。灯台から落ちそうになった俊夫くんをガメラが助けてくれるのだ・・・あれ、もしや子供好きなのか?その後俊夫くんは捨てた亀のチビがガメラになったのだと信ずるのだ。
地熱発電所を利用してガメラを倒すことはできないのか?東大の動物学者日高(船越)は35万キロワットの電流で退治できないものかと試すもダメ。自衛隊の攻撃によって裏返し作戦が成功。しかし引っ込めた手足から火を吹き、円盤となって飛び去ってしまう。
東京タワーをも壊したガメラが次に現れた場所は石油コンビナート。火が大好きなガメラは腹を空かして世界各国で餌を漁っていたのだという。そして、伊豆大島で開発中のZ計画。アメリカ、ソ連をはじめ、国境を越えた世界の科学技術を結集したプランを利用することとなる。火を使ってなんとかおびき寄せる科学者たち。そしてガメラは火星へとロケットに積まれ打ち上げられる・・・
アメリカ軍に要請して核ミサイルを撃ち込んでもらうとか、自衛隊が熱帯地方での戦争を想定して冷凍爆弾を開発してるとか、初代ゴジラとは時代も違うが、自衛隊が戦争することを容認しているかのような内容。最終的にはZプランという平和的な解決法を取るので印象は薄くなってるけど、やはり時代がそうさせたのだろうなぁ・・・
善玉のような悪玉ガメラ登場
北極海で核爆発があり、全長60mのガメラが登場する。
どうせ亀なんだからひっくり返してしまえば、なんて思っていると空を飛んでしまう。
こんなロケットがあるわけないと思うが、米ソ協力なので・・・。
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