劇場公開日 1986年4月12日

「人間の本質に迫る骨太な題材ながら、役者たちの熱演、深作監督の快調な演出で、娯楽性と見応え満点の文芸映画!」火宅の人 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5人間の本質に迫る骨太な題材ながら、役者たちの熱演、深作監督の快調な演出で、娯楽性と見応え満点の文芸映画!

2012年4月28日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

知的

深作欣二監督、緒形拳&実力派女優陣豪華共演…これで面白くない訳がない!

タイトル“火宅の人”とは、火に包まれた家の如く、煩悩や苦しみに包まれた人という意味で(確か合ってるハズ?)、緒形拳演じる主人公を表した、なるほど天晴れなタイトル。

男と女の腐れ縁というか、男と女の生々しい姿、男の駄目姿、女の逞しさ…等が、時にユーモラスに時に哀しげに描かれていた。

主演の緒形拳がとにかく巧い!
「復讐するは我にあり」「楢山節考」等での硬派な名演が印象深いが、「鬼畜」にも通じる駄目男振りもリアリティたっぷり。
何を演じても巧い、数年前に亡くなられてしまったのが本当に惜しまれる。

三者三様の女優陣は誰もが印象深いが、とりわけ原田美枝子は圧巻の一言。
最近は優しい母親等脇が多いが、本作では大胆な濡れ場やヌードシーンに体当たりで熱演、若い頃から名女優だったんだなぁと改めて感じた。
また、いしだあゆみ演じる、貞淑そうに見えて実は肝が据わってる女房も印象深い。

今はこういう映画はあまり作られない。
昔は良かった…とはあまり言いたくないが、今また、こういう人間の本質に迫る骨太な映画が作られて欲しいものだ。

近大