「文芸エンターテイメント」火宅の人 散歩男さんの映画レビュー(感想・評価)
文芸エンターテイメント
檀一雄原作・深作欣二監督86年。
70年代に実録ヤクザ映画で一時代を築いた深作監督は、80年代にはオールスター映画や文芸大作に抜擢されることが多く、今考えるとそれは違うだろうという方向性なのだが(90年代にまたバイオレント映画で気を吐くのを見れば明らか)今作はどうか。
面白い!無頼派の原作を上手く自身の得意なエンタメに引き寄せ、役者の魅力を引き出し、見どころもちゃんと作ってる。
大雨の中いきなり家に帰ってくる妻のシーン。愛人と悶着し部屋で大暴れする一連のシーン。どれも見事ですわ。
緒形拳のリアリティある優柔不断さ、ズルさ、弱さの演技が素晴らしい。原田美枝子・松坂慶子のおしみの無い裸体良し。しかし最後はいしだあゆみがさらってしまう。
正直深みはないが、文芸エンターテイメントとして完成度の高い作品でした。
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