喜劇 家族同盟

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解説

血のつながりのないニセ物同士が集まって、ファミリーごっこをしているうちに本物の家族のように結ばれていく様を描く。脚本は「五番町夕霧楼(1980)」の中島丈博と本作品で監督も手がけている「次郎長青春篇 つっぱり清水港」の前田陽一の共同執筆。撮影は「魚影の群れ」の長沼六男がそれぞれ担当。

1983年製作/87分/日本
配給:松竹

ストーリー

ここは横浜の寿町。もう60歳はいくつか過ぎた浮浪者の弦一郎は、港湾労働者の青年・晴男に「息子になってくれ」と言い寄っていた。晴男の兄貴分でサラ金業の幾雄は、この話に興味を持って弦一郎に事情を聞くと、弦一郎は半年前にゴミと一諸に三百万円の大金を拾ったのだが、その金で以前からの夢だった、戦災で亡くした息子と暮したい、たとえ仮の息子でもいい、普通の家庭を持ちたい、というのだ。幾雄は「弦一郎に五千万円の保険をかける。お前が受取人になるんだ。心臓が弱そうだから心臓に負担になるようなことをやればいいんだ」と気のり薄な晴男を承諾させてしまった。息子ができたら連れ合いが欲しいと弦一郎は、ヤリテ婆のナツを選び、さらに晴男に惚れているおカマのキーコが妹に志願してきた。そして晴男は、事情を全く知らない正太郎という子連れの保母・百合子と結婚。これで弦一郎の夢だった“一般家庭”が誕生した。晴男は百合子には銀行員と偽って幾雄のサラ金会社に勤め、百合子の前で弦一郎とナツが“夫婦喧嘩”してみせたり、ごく普通の家庭ゴッコが続けられた。一方いつまで経っても元気な弦一郎に業を煮やした幾雄は、彼を健康の為と称して過激な運動をさせ、あげくはサウナに閉じ込めて虫の息にさせてしまった。間一髪、晴男が気が付いて救けた。晴男は家庭ゴッコを続けているうちにいつしか“ファミリー”を愛おしくなってしまっていたのだ。さて、ナツは近くの演芸場で公演している劇団が子役を募集しているのを知り、正太郎を楽屋へ連れていった。ところが女座長の香山夢之丞は正太郎のことを三年前に捨てた自分の子供だと言い出した。百合子と正太郎も実の親子ではなかったのだ。この家庭ゴッコにも崩壊の時がきた。晴男がサラ金に勤めていることが百合子にバレ、さらに、弦一郎が寝ている百合子に思わずキスをしてしまい、彼女が気づいて大騒ぎとなったことから、晴男と百合子の仲を嫉妬したキーコが全部他人同志だということを百合子にバラしてしまったのだ。その夜のうちに百合子、ナツ、キーコが家を出た。翌日、今では百合子を深く愛してしまっている晴男は百合子の姿を求めて走りまわった。そして、彼女が正太郎を夢之丞に託し、この町から去ろうとするところで出会った。「正太郎は俺たちの子だ」晴男は百合子を連れて再び夢之丞に会いに行き、頭を下げて正太郎を返してもらった。その頃、家では、家庭が崩壊したのを知らない幾雄は「俺も仲間に入れてくれ」と、酔っ払って押しかけ、弦一郎とともに酔いつぶれていた。途中で目覚めた幾雄は、弦一郎を殺すのは今がチャンスと石油をまいて火をつけようとするが、気が変わって、再び寝てしまった。だが、くすぶっていた火はたちまちのうちに燃え広がり、弦一郎だけが駆けつけた晴男に救出され、幾雄は焼死してしまった……。数日後、中村川に浮かぶダルマ船に、以前のように暮らす池田家の人たちの姿があった。彼らは、本物の家族も及ばぬ親密さで結ばれているようだった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

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