劇場公開日 1970年6月6日

「子供の排除的行動の変遷に、男性の不安感・恐怖感を徐々に盛り上げる一貫性が欠けた印象が…」影の車 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0子供の排除的行動の変遷に、男性の不安感・恐怖感を徐々に盛り上げる一貫性が欠けた印象が…

2025年3月14日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

「張込み」「ゼロの焦点」「砂の器」等の
監督野村芳太郎と脚本橋本忍コンビの
作品の一つで、
山田洋次、山本薩夫、黒澤明の話題作が
キネマ旬報でワンツースリーだった年に
第7位に選出されていた。

今回、まず印象的だったのが、
岩下志麻の艶っぽさ。
代役のシーンが無くとも
変わらなかったであろう、
男性の私には穏やかではない
艶めかしい彼女の演技には大変驚かされた。

そして、自分のことと置き換えた場合、
妻に関心をもたれることが無い日常の中で、
偶然出会った学生仲間が
優しい未亡人だったら、
多分同じ道をたどるかも知れないと
思わざるを得なかった。
しかし、問題はその継続性で、
一般論としては、妻との関係を清算しない
中での未亡人宅への通いは、
子供との問題が無かったとしても、
いずれ破綻の道を歩まざるを得なかった
と思われるので、
果たして自分だったら、とも。

さて、この映画への評価だが、
松本清張の原作は未読なものの、
短編を膨らませた結果なのか、
子供の、通ってくる男性への排除的行動
の変遷が長過ぎると共に繰り返し感が強く、
男性の不安感・恐怖感を
徐々に盛り上げる一貫性が欠けた印象
を受けてしまったのは、
野村+橋本コンビ作品としては
少し残念に思える再鑑賞となった。

KENZO一級建築士事務所