影の車のレビュー・感想・評価
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1970年の映像資料
「滞在光景」という短編小説が原作のようで「影の車」は短編集のタイトルのようですね。何か意味がある言葉ではないようです。
今見たらまず1970年当時の貴重な映像としての見応えがありました。千葉県千倉の回想シーンは映像加工されており当時は画期的だったのかもしれませんが見づらいし、今となっては貴重な当時の未加工の映像がみたいです。
東京郊外が荒野のようになっておりその中でマンモス団地が立ち並んでいたり、野山の一軒家があったり、当時の車や家電のデザインが可愛かったり映像を見るだけで楽しい。
団地の暮らしが最先端だったのでしょうが今見たら自然豊かな古民家の方が憧れるな。
ストーリーは身勝手な男女が子どもや妻を苦しめたというだけのものに見えました。
昔の子役は棒読みが多いようでケンちゃんも例外ではなく迫力はなく。山中車に置き去りにされるケンちゃん気の毒でした。昔は子どもを野放しすること多かったけど崖から落ちたり遭難したりしたらどうするのか。そして怒らず寝てたフリをしちゃうのが子ども特有でまた辛い。
妻はアートフラワーの講師でかなりアクティブで夫の話は聞いておらず休日も生徒が家に入り浸るでは不満が募るとしてもその不満を妻に伝えることはなく。
岩下志麻さん演じる小磯泰子は幻の存在みたい。幼なじみの男性と再会したからと相手が既婚でも自分に子どもいても当然のように家にあげる。憧れの幼なじみと再会した!ならまだ分かるけど説明なし。
夫に死なれ息子抱えた保険外交員の大変さはあまり感じられず悠々とした態度。人がいない野山に住み日頃息子がひとりぼっちでネズミしか遊び相手がいなくても気にしてない。情事を息子に見られることも気にしてない。シュールだし主人公は実はキツネに化かされてるのでは?と思えたほど。
話はなかなか進まずもう少し展開あったらよかったなと。ケンちゃんは主人公に恨みはあっても、ナタは朝のルーティンをこなそうとしてただけだった可能性も。とりあえずトラウマ決定な感じ。
結論としては「6歳の男の子には殺意がある。母の男を殺したいほど憎む」でよかったのでしょうか?
自分に同じ経験あるなら「子どもがいる女性と付き合うと子どもが苦しむからやめよう」とはならなかったのか?
加藤剛さんの演技力は素晴らしいが映画館に観に行くにはちょっとどうかなと思わせる。2時間ドラマならいいかなという感じでした。
「頑是ない」
妻の啓子と二人暮らしの浜島が、幼馴染の泰子と出会う。泰子は夫を亡くし、六歳の健一と暮らしをしていた。啓子と味気ない暮らしをしていた浜島は、泰子と親密になっていく。だが、浜島は健一が懐かないのが気になる。彼には、健一の気持ちがわからないでもない。
どう見せるかという違いはあるものの、松本清張原作の物語は基本面白いと思います。今回も、まさか、という展開でした。「わからないでもない」どころではありませんでした。
小川真由美は悪女役のイメージがあり、啓子も何をかやらかすのか、と思ってしまいました。
シャロンテート殺人事件と3億円事件が、主婦たちの話題に。二つの事件は同じころだったんですね。
子どもの時の記憶と大人になっての行動は別もの。成長しましょう
フランス映画?と錯覚するほど洒落た音楽は芥川也寸志。若くて美しい岩下志麻と加藤剛のカップルだからぴったり。ミニスカートが流行っていた時期。加藤剛は休日だからといってよくわからない服でなく、仕事の時と同じスーツにネクタイだからよかった(妻に内緒のことしてるからいつも仕事服なのは仕方ない)。加藤剛が故郷の町や海、幼い頃の家の様子、母親などを追想するときカラー画面が複層的になり、強烈でありつつ曖昧な面白い効果を出していた。
1970年の映画。郊外に団地がニョキニョキできて自動車も沢山走ってどこもかしこも人がたくさん。旅行代理店にはひきもきらず客が来る。加藤剛の妻(小川真由美。さっぱりした明るい妻で適役!)は団地の家で主婦たちに造花(あれがいわゆる香港フラワー?)のフラワーアレンジメントを教えている。だから昼間も夕方も生徒でいっぱいで夫が落ち着ける雰囲気も空間もない。主婦たちはヴァイタリティの塊で話のテーマで時代がわかる!シャロン・テート殺し、三億円事件!
細部は笑える箇所もあるし楽しいけれど、話の流れが遅くて長いなーと思った。後で上映時間を確認したら98分!その倍ほどの長さを感じた。子どもの気持ちがどれだけ重要でも演技がまだできない子どもを長々と映すのはあまり効果がないと思った。
一級品の映画
傑作である。原作松本清張・製作三嶋与四治・監督野村芳太郎・脚本橋本忍・撮影川又昂・音楽芥川也寸志・主演加藤剛といえば、砂の器(1974年)という不朽の名作を放ったチームだが、同じチームで4年前に作ったのがこの作品である。「少年であっても殺意を抱いて殺害行動をとることはある」というのが主題のサスペンスドラマである。加藤剛には、子供のころ、母と関係を持った「おじ」を、母を奪った男として嫌悪し殺害したという過去がある。倦怠期を迎えた加藤剛は昔なじみの岩下志麻と偶然再会し男女の関係になるが、岩下志麻には6歳の息子健一がおり、自分がかつての母と関係を持った「おじ」と同様の立場であることに気付く。「疑えば目に鬼を見る」ということわざ通り、現実が実体験のデジャヴと化し、とうとう健一の首を絞めてしまう。芦田伸介演じる刑事の取り調べで加藤剛を断罪する内容がこの映画のストーリーをうまく説明しているのだが、それは見かけ上であって、健一の、母を奪った男への不満は描かれてはいるがはたして殺意があったかどうかまでは全く描かれないままなのだ。刑事は「頑是ない子供に殺意などない」という一点張りで、健一が殺そうとしたという加藤剛の供述を信じない。加藤剛はついにかつて「おじ」を殺したことを供述してしまう。健一は何事もなかったかのように加藤剛が居なくなり以前の日常に戻ったところで映画は終わる。果たして健一に殺意はなかったのか、加藤剛の単なる被害妄想だったのかは明らかにされないまま余韻を残して映画は終わるのである。映画を見終わった観客は否が応でもここに視点を置かされるという、まさに橋本忍の面目躍如たるものがある。あなたは同じ状況に置かれたらどういう対応をとるのですかと映画は問うているのである。回想シーンの映像美、美しい音楽、テンポのいい演出、加藤剛・岩下志麻の美しさ、一級品の映画とはこういう映画を言う。
真面目な会社員が妻との会話がギクシャクの為、未亡人の幼馴染と不倫する映画
案外良かったが、無理筋、又は、用心不足も少し感じられた
あらすじ、及び、映画の要点
1=幸雄から見て健一(6歳)の不審な行動
①首吊りに見えたロープ → ブランコを作成
②殺意を感じた包丁 → 木材を削った
③饅頭皿に混在した殺鼠用饅頭 → 故意か、偶然か不明
④寝てたらガス漏れ → 故意か、偶然か不明
2=スーツ着て、会社のバッジ付けて、何度も訪問は、用心不足
3=隣室に6歳の子供が寝てるのに性交は、用心不足
4=落ちたら死亡確率高い所での釣りにしては用心不足
ロープの種類や取り付けた位置も用心不足
子どもだから…
最近、ハマっている野村芳太郎監督の作品。
ぶっちゃけテンポは悪いが、なかなか考えさせられる作品でした。
やはり「子どもだから殺意はない」とは限らない。これまで母と暮らしてて急に見ず知らずの人が住み始めて嫉妬し受け入れたくない感情は、ある意味、殺意と紙一重になる。
親自体にも問題があるように見える。
自分たちが愛し合うために子どもを車で放置。はっきり言ってありえない。子どもが寝静まってわざわざ子どもから見える所で性行為。これもない。とにかく見方によっては大人に振り回される子ども視点の映画としても見られる作品。
終盤の事件は説明がある訳ではないが、主人公の子どもの時に殺したのに“事故”によって処理された事件という過去が、そうさせたのでしょうね。
子どもの殺意が湧くまでのドラマをもうちょっと描いてほしかったが、98分と短い時間でそれなりに濃く、そして深い作品でした。
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