怪談 蚊喰鳥

劇場公開日:

解説

宇野信夫の原作を、「非情の男」の共同執筆者・国弘威雄が脚色し、「大菩薩峠 完結篇(1961)」の森一生が監督した文芸怪談映画。撮影も同じく本多省三が担当。

1961年製作/78分/日本
配給:大映
劇場公開日:1961年7月5日

ストーリー

江戸下町、蓮華寺の墓地裏。常盤津の師匠菊次は、年下の情夫孝次郎に夢中だったが、孝次郎の方は菊次を金ヅル程度にしか考えていなかった。菊次の揉療治に呼ばれる按摩辰の市が菊次に恋いこがれていた。むし暑い夏の一夜、菊次は生気のない辰の市に肩をもませた。やがて、辰の市と瓜二つの按摩徳の市がたずねてきた。兄の辰の市は菊次にこがれ死にをしたという。とすると、先刻の辰の市は。菊次は気味が悪かった。以来、徳の市は足しげく菊次を訪ねてきた。孝次郎は、徳の市が大金をためこんでいるとにらむと、菊次をそそのかして徳の市を誘惑させた。しかし、図にのった徳の市は菊次の家に入りびたって旦那然としている有様。たまりかねた孝次郎は、菊次と一緒に徳の市を手荒く叩きだした。やがて、また徳の市が現われる。こうなったのも兄のたたりですと言って語るところによると、辰の市は死際に菊次への贈物として五十両を彼に托したが、その金を着服していたという。ために亡霊に悩まされるので、その金を菊次に渡すというのだ。徳の市は手許にある二十両をまず二人に渡し、残る三十両も仲間への貸金が戻り次第帰すといって、その代りに孝次郎に金の受取りと菊次をゆずるという証文を書かせた。これでまた徳の市の態度は横暴になった。残額の三十両などもともと払う気がなかった。孝次郎と菊次は徳の市を殺す計画をたてた。死体は近々埋めることになっている寺の空井戸ときめ、徳の市の好物の鯰のスッポン煮に毒を入れた。盲目の悲しさ、毒の入った鍋を自分一人が食べているとは分らない。孝次郎と菊次はあばれる徳の市を絞め殺した。死体を井戸へ投げこんで孝次郎と別れ家に帰った菊次が見たのは、アザのある按摩が睨んでいる姿だった。菊次は魂を失ったように井戸の方へ吸い寄せられていった--。翌日、孝次郎は井戸は埋めないで掘りさげることになったと聞き、夜、死体を処分するため井戸の中へ降りていった。そこには徳の市の死体と折重なって菊次の死体があった。あわてて逃げ出そうとする孝次郎、その時上からのぞいたのは、うらめしげな按摩辰の市の顔だった。孝次郎は悲鳴もろとも井戸の底へ転落した。翌朝、意外な人物が登場した。孝次郎に五両貰って按摩に扮した役者が現われたのだ。菊次と手を切る必要があった孝次郎は、彼を徳の市を井戸へ投げこんで帰った菊次の前へ出没させたのだった。次に孝次郎自身が彼を幽霊と見まちがえたのである。

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