「自由と人権を求めた女性映画の記念碑的な傑作にある、木下監督の強い意思」女の園 Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)
自由と人権を求めた女性映画の記念碑的な傑作にある、木下監督の強い意思
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戦後の日本映画を支えた名匠木下惠介監督の「二十四の瞳」「日本の悲劇」に並ぶ傑作。終戦からまだ10年も経たない時代の閉塞感を背景に、自由と人権を主張した社会派ドラマの力作にして、女性映画としては日本映画の最高峰の一本。高峰三枝子の残忍な寮母役を始め、新しい生活を求める岸恵子の新鮮な魅力、財閥の令嬢ながら家柄に反抗する久我美子の清楚な佇まい、そして男子学生との交際に活路を見出せず自殺してしまう高峰秀子の演技力と、女優陣の充実度が見事。厳しく張り詰めた木下演出と共に、それら人物配置と役割のドラマ展開が無駄なくラストまで運ばれる脚本の完成度が、この上もなく高い。戦後民主主義の過程の中のひとつの時代を知る価値がある。そして、それが分かり易く描かれている主張の明確さ。「二十四の瞳」の抑えた反戦思想に対して、こちらは木下監督の熱い意欲がストレートに映像化されている。名作「二十四の瞳」に隠れて余り話題に挙がらないのがとても残念ではある。
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