「東京物語の成瀬監督版みたいなお話です」女の座 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
東京物語の成瀬監督版みたいなお話です
女の座
1962年1月公開
東宝白黒作品
成瀬巳喜男
まことに成瀬監督らしい傑作です
物語はあるようでないようで、それを書きお越しても余り意味はないです
題名の女の座とは?
地位、立場、を
意味しているようで、星座のように宇宙を支配しているのは女の世界だという様な意味合いかと感じました
兎に角、登場人物は女ばかり
高峰秀子の演じる主人公芳子は死んだ長男の未亡人、そこに娘ばかり五人がいる
次々に登場してくるから、誰がどういう間柄なのか理解していくだけで一杯一杯になりそうです
でも女性ならするするとこういうことも読み解けるのでしょう
男はというと、みんなポンコツだらけ
一家の主人の笠智衆が演じる老いたお父さんも突然倒れて、冒頭は危篤騒動から始まります、長男は死んでおらず、他の男連中はなんとも頼りにならないものばかり
女達の周囲をグルグル巡る人工衛星に過ぎないほど
女達はその分、しっかりと生きているのだけれども、その分言いたいことを言わないとならない
それでなんとかこの一家は成り立っているのです
とすると女の座とは歌舞伎座の座というような意味合いだったのかもしれません
死んだ長男の嫁は老いたお父さんとお母さんを親身に映画の最後まで付き添うのに血のつながった子供達は自分たちのことばかりです
だから物語は東京物語の成瀬監督版みたいなお話です
ラストシーン
石川屋の店先を二人の幼女が遊んでいます
あの娘達も大きくなってあの女の座の一員になっていくのでしょう
そして男達は次の世代もヤッパリポンコツだらけで女達がいなければ何にもできない連中ばかりなのでしょう
いつの世も日本の男達はちょっとばかり様子が良くても、実はクズ男だったり、夢ばかりみて生活力がなかったり、大きな期待に弱くも押しつぶされたり、会社から首になったのにこれからどうするのか女房に頼ってばかりのそんな連中ばっかり、情けない
実は女達がしっかりと世の中を仕切って切り盛りしているから日本の社会はなんとかなっているのだということです
身につまされました
すみません
ポンコツ男で