思えば遠くへ来たもんだのレビュー・感想・評価
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秋田の城下町を舞台にした学園青春コメディに主演する武田鉄矢の個性
3年前の「幸せの黄色いハンカチ」で武田鉄矢というフォーク歌手が、山田洋次監督によって演技者の才能を見出された時は、山田監督の慧眼とそれに応えた武田鉄矢独特の個性の両方に感心せざるを得なかった。彼の持つ洗練されていない田舎人間のしぶとい人生観と直向きさ、そして教育論を語る啓蒙メッセンジャーとしての両面が、今後の日本映画にとって一つのこころの安らぎを感じさせてくれればいいのではないか。
今度の朝間義隆脚本・監督による「思えば遠くへ来たもんだ」は、テレビドラマ『金八先生』で好評だった武田の人気に肖る形の作品になっている。それでも武田鉄矢の個性を認めた上で観れば、充分楽しめる。ただ残念なのは、秋田の城下町を舞台にした基本シナリオから、そこで繰り広げられる生徒と先生の交友が在り来たりのプロセスでしかない点である。これ迄の日本の喜劇映画のパターン化したものを踏襲している。つまり地方文化に対する今日的な作者の思い入れや、教育問題への提案などがあっさりと無視されているのだ。
人間の行為を探る武田鉄矢の、どこか欲求不満な人間の意地。しがない男のユーモアを持ち、同時に真面目過ぎるくらいのシリアスな側面も持つ。それらが、平和で平凡な物語の中でささやかに輝きながら消えていく。もっともっと挑戦して練られて然るべき脚本の映画である。
1980年 8月12日 銀座文化1
けつかグリグリか
良い先生、良い時代。
基本は丁寧で穏やかな口調なんだけど、ちょっとでも舐めた奴に会うとブチギレる熱血教師。短気を筋肉でくるんだような男でしてと自分を語るが、曲がったことが大嫌いな正義漢の人情ドラマ。
ちょっとフーテンの寅さんぽい恋愛模様もある。不登校の生徒マツオを学校に来させるように柔道を通じて説得する。
マツオの美人姉(あべ静江)が感謝して青田と良い感じの関係になるが、見合い話からの青田の消極的な態度に恋は終わってしまう。
見合いを止めて自分と一緒になってくれと言って欲しかったはず。どうか幸せになってくださいと言われたあとの表情がせつない。
短い時間の中、たくさんいろんな事が起きて全然飽きない。
しかしアイツも人類として着々と進歩してきたなぁ。
男女交際は襖を開けてせんと誤解される。とかコミカル描写も多数あっておもしろくみれた。
俺には柔道がある。みたいなラストだったけど、まだまだ続いていく内容。序章といってもいいくらい。まだ清水先生がいるし。
主題歌が良くて心に残った。この曲と少年期は本当に素晴らしい。
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