「坂道の夕立は相米らしいけど夕食の買物がどうなったのか気になる」お引越し たあちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
坂道の夕立は相米らしいけど夕食の買物がどうなったのか気になる
相米慎二監督1993年公開作品の4Kリマスター、当時キネ旬の2位で栗田豊通撮影監督の映像が美しくデジタル修復版を作るにふさわしい映画なのだけれど我々「相米世代」にはまっとうなカット割りとカメラワークが綺麗すぎておよそ「相米らしからぬ」映画であった。京都を舞台に可愛らしい関西弁がじゃりン子チエを想起させる世界一不幸な小学6年生レンコがとても良くて「子ども映画の巨匠」相米の面目躍如に「こちらあみ子」の森井勇佑監督も多大なる影響を受けたと述べている。そしてなんといっても桜田淳子の母役が素晴らしくこれが芸能活動の最後となったことが残念。対して調子のいいアル中ダメ親父を演じる中井貴一がミスキャストなのと後半のレンコの琵琶湖畔山中での彷徨シーンがあまりに長すぎてもったいない。エンドロールは相米の相米映画に対するセルフオマージュでやっとそれと分かる爪痕を残した。
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