「父との拳法、母との憲法」お引越し uzさんの映画レビュー(感想・評価)
父との拳法、母との憲法
クリックして本文を読む
冒頭、お見合いした末に先に使った醤油を、元の場所に戻さず自分の手元に置く賢一。
これだけで冷え切った関係が伝わってくる。
離婚に頑ななのは母の方で、父は流れに任せている。
レンコ目線からすると、両親とも大好きだが精神年齢の近い父の方により懐いている印象。
それがなずなを静かに苦しめる。
2人ともレンコを大事には思っているが、なずなのそれには少し賢一への当てつけも混ざってるような…
解釈の分かれそうな含みの持たせ方が非常に上手い。
ユキオと和歌子のカップルや、サリーちゃんとの関わりで男女の機微を少しずつ学んでゆくレンコ。
なんとか両親を取り持とうとする中で、溜まっていたものが理科室で噴出。
それに連鎖するように、浴室籠城の場面でなずなも爆発し、皮肉にも状況は悪化の一途を辿る。
無理矢理の琵琶湖旅行でも、好転することはない。
この辺までは良かったのだが、夜の竹林を彷徨うあたりからのファンタジー展開は個人的にはマイナス。
行きと帰りの違いは分かりやすいが、なずなはレンコに対しては基本優しかったし。
賢一との家族関係がどうなるかも読み取れない。
ミノルくんやサリーちゃんがもっと見たかった。
サリーちゃんとのビンタ合戦の中で、余計な一言によって一発もらうミノルくんには爆笑です。
演技や髪型などとは違い演出に古さはなく、田畑智子の表情(特に最後)など芝居の見所も多い。
終盤に毛色が変わらなければ好みだったのだが…
その後と楽屋裏を合わせたようなエンドロールは新鮮で、とても面白かった。
コメントする