「【”旅は行き先を決めてするものではない、と寅さんは言った。”今作は満男が就職試験に落ち続けて、香川の島で過ごす中で、迎えに来た寅さんや島の人達に癒されて再出発をする物語である。】」男はつらいよ 寅次郎の縁談 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”旅は行き先を決めてするものではない、と寅さんは言った。”今作は満男が就職試験に落ち続けて、香川の島で過ごす中で、迎えに来た寅さんや島の人達に癒されて再出発をする物語である。】
■就職活動がうまくいかない満男は父・博と大げんかして家出。たまたま戻って来た寅次郎が迎えにいくことになり、香川の琴島へと向かう。
その島にはヨウコという美しい女性が父の家に戻って来ていて、寅次郎はいつものように一目惚れする。
そして、満男も看護師のアヤと親しくなる。
◆感想
・45作目まで、このシリーズを観て来たがおいちゃんも、おばちゃんもタコ社長も、ドンドン老いて行くのが、ちょっと辛くて暫く鑑賞しなかった作品である。
・だが、寅さんシリーズを久しぶりに鑑賞すると、ヤッパリ良いのだなあ。
・それは、島の人達の東京から来た満男に対し普通に接する姿や、寅さんの満男に対し、無理やり連れ帰るのではなく、”まずは、話を聞こうじゃないか。”と言って微笑む表情である。
そこが、父母である、博やさくらとの違いなのだろうなあ。
博の”昔は、父の事が好きではなかったのに、いつの間にか俺もそういう父親になったのかなあ。”という言葉は、何だかシンミリするなあ。
・満男にとって、寅さんは何でも話せるオジサンであり、心の清涼剤であり、ビタミン剤ではないのかな。
・今作では、年老いた昔は羽振りの良かった男(島田正吾)が妾に生ませたヨウコ(松坂慶子)が登場し、いつものように寅さんは彼女に惹かれるのだが、ヨウコは寅さんにだけは自分の境遇を語るのである。
詰まりは、寅さんとは、誰からも気軽に身の上話を出来る類稀なる雰囲気を漂わせた男であり、矢張り、こんな男はそうそういるものではないよね。
そして、男は寅さんからヨウコの身の上を聞いて”スマンカッタナア”と言って、家の権利書一式をヨウコに差し出すのである。
<久しぶりに、寅さんシリーズを観ると、このシリーズが如何に当時の日本国民に愛されたのか。そして、今観ても古さを感じさせないとても大切な事を、随所で描いているシリーズであるという事に気付くのである。
残りの作品も少なくなってきたが、大切に観て行こうと思ったよ。>