男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎のレビュー・感想・評価
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男女の生殖行為を無視している。今までは良かったが
生殖行為を全く無視している。それが今までは良かったが、
30作を超えると主人公の年齢は合わず、ネタも尽きている。つまり、寅さんも年には勝てない。って事である。そして、この霧多布での出来事は既に40年も前の出来事。
まさに古色蒼然♥ だから、言わせてもらう。
僕自身はこの映画を見ると、
“西村寿行”先生原作の
『滅びの宴』を持って北海道道東を彷徨ったのを思い出すって事を。
話の展開が出鱈目ではちゃめちゃだけれども、
結局、若者は東京に出て来ないと生活が出来ないって事を肯定するのか、しないのか。
どっち?
人生の霧の中で
"男はつらいよ" シリーズ第33作。
Huluで鑑賞。
寅さんが釧路で出会った風子。美人であることと気の強い性格であるが故に、いろいろと理不尽な目に遭ったり、様々な偏見に晒されたりと大変な苦労をして来たようです。
一歩道を踏み外せば自分のようになってしまう危うさを持つ風子を、諭して導こうとする寅さんの優しさが沁みました。
寅さんの想いを分かっていながら、まるで呪われているかのように自暴自棄な生き方を選んでしまいそうになる風子。
ふたりの一筋縄で行かない関係がエモーショナル。互いの心を知りながら、上手く言葉に出来ずに擦れ違う。お節介だと拒絶したくなる。だけどどこかでは通じ合っている。
これが大人の機微ってやつかぁ…
[余談]
ラストの熊騒動に大爆笑。
※修正(2023/09/06)
フルート、チャルメラ、オルゴール、人それぞれに音がある。
どことなく色んなキーワードが結びついてしまう作品でした。他にも根室、根暗、さくら。床屋、とらや、テキヤ。もしかしたら渡瀬と渡世人もかけてたのかな。「おいネクラ!ネクラじゃない。さくら」には大爆笑!
タコ社長の娘役で頭の悪そうな美保純。地でいってるのだろうけど、見事にハマっていた。しかし、こんな娘ほど可愛い。「たくさんお金使わせちゃってごめんね」という嫁入りの挨拶が泣かせてくれる。他にも佐藤B作とか渡瀬恒彦とか、当時人気のある俳優ばかりを集めて、なんだか豪華。
中盤での風子との別れ際に「寅さんがもうちょっと若かったら結婚するのに…」と、なんと直接的な表現をする風子。だけど寅さんとしては風子を娘のように扱うのだ。そして柴又に帰ってきてから、風子が金がなくて困ってる話を聞いて新聞広告を出す寅さん。しかしやってきたのはオートバイサーカスのトニー(渡瀬)だったのだ。渡世人同士だからよくわかるとか言って、「風子からは手を引け」などと詰め寄ってしまう…
やがて普通の人と結婚することになって、家族みんなが招待されるが、予想としては寅さんは欠席すると思っていたのに…熊に襲われるというオマケつきだった。振られたわけでもない寅さん。冒頭のタコ社長のように、娘を嫁がせる親みたいな気分だったのだろう。それにしても佐藤B作がストーリー的にものけものにされて可哀そうw
お前は真っ当に幸せになれる女だ
シリーズ33作目。
OPの夢は、
身内を殺され、自身も命を狙われた男が、故郷の港町に帰って来る。ギャング一味に復讐を果たすも、女が銃弾の盾となり、命を落とす。男は女の亡骸を抱え、突然もくもく立ち込めた夜霧にむせぶ。
夢のパターンの一つ、日活ムード・アクション風。
旅先は、北海道。
釧路で、若い女と出会う。
名は、風子。北海道の理容院を転々とする、その名の通りのフーテンの根無し草。
根室の叔母を訪ねる途中だと言う。
今回のマドンナ・風子は、純和風が多い寅さんマドンナの中でもちょっと違うタイプ。
孤高の放浪者で、気も強く、うっすらかのリリーを彷彿。
演じる中原理恵も歴代マドンナの中では珍しいクールビューティー。
気軽に腕を組んで歩いたりするほど、すっかり意気投合。
寅さんは風子に、自分と似た境遇やかつての自分を見る。
商売を終え、また旅立つ寅さんに、風子は一緒に旅に行きたいと頼むが、寅さんは拒む。
理由は、言うまでもない。
柴又に帰って来ても、風子の事が気掛かりの寅さん。
そんな時、とらやを一人の若い男が訪ねて来る。
男は、トニー。サーカスのオートバイ乗り。
風子とトニーは釧路で知り合い、今は東京で同棲。
が、風子は病に伏し、寅さんに会いたがっているという…。
今回はいつもの惚れた恋の騒動と言うより、寅さんの風子への感情は、より深い愛情を感じる。
少なからず恋心はあったかもしれないが、保護者的な立ち位置、かつての自分に似ているこの若い女を何とか助けて幸せにしてやりたい…。
その為には手を上げる事もなく、相手の男に頭すら下げる。
義理人情の渡世人としての寅さんが、カッコ良く、いい男に描かれている。
トニーには、渡瀬恒彦。
キザでアウトサイダーな男の魅力が充分。
おそらく真っ当な人間ではないだろが、決して悪い奴でもない。
とらやを訪ねて来た時、崩れた感じだけどそれなりに礼儀をわきまえていたし、女の頼みでわざわざ連れて来る。
「風子から手を引いてくれ」と言った寅さんに対し、「女の事で指図されたくない」と言い返した台詞はなかなかしびれる。
それでも頭を下げる寅さんに、「兄さん、案外純情なんですね」と、このチョイワル男の善良さを見た。
もし本作がアウトサイダーの若者カップルを描いた作品だったら、風子とトニーはお似合いかもしれない。
でも本作はそうじゃないし、それに風子は突っ張ってはいるが、真っ当に幸せになれる心根の優しい女だ。
渡世人は真っ当に生きられない自分みたいな愚かなろくでなしの成れの果て。俺みたいになっちゃならねぇ。
渡世人、根無し草、アウトサイダー、それぞれの悲哀や生き方がしみじみ描かれてもいる。
マドンナの幸せを願う寅さんは、時々過剰になったりする。
トニーの元からとらやに移り、徐々に回復。再出発をしようとする風子は、今一度トニーと話し合いたいと言う。
もう話は付けたと言う寅さんに怒りをぶつける風子。
風子を心配する寅さんの気持ちも分かるが、風子とトニーの関係はこれは当人同士の男と女の問題。他人が間に入る事ではない。
気まずい別れ。風子はとらやを去る。雨夜の中を…。
本筋はほろ苦く切なくもあるが、サブエピソードや順レギュラーに面白味が。
まず、タコ社長の娘・あけみ役に、本作から39作目まで、美保純が順レギュラーに。実の父親をタコ呼ばわりし、無作法でふつつかな娘だが、晴れて結婚する事となり、白無垢姿で父親に感謝を述べるシーンはジ~ンと。その後、家出騒動や寅さんの旅に同行したりと、結構この時期印象残す。
シリーズ初期に度々登場していた寅さんの舎弟・登が久々に登場。妻子を持ち、堅気の仕事をしている。
冒頭の宿屋で寅さんと相部屋になる根暗なサラリーマンに佐藤B作。男と逃げた女房に会いに遥々北海道までやって来て、寅さんの世話になるが…という、珍エピソード。
さて今回、エンディングも珍しいパターン。
大抵は旅の空の寅さんかマドンナがハガキを送り、近況を伝えるだけの終幕だが、今回は、
風子からハガキが。あの後北海道に戻り、顔馴染みの真面目な男と結婚するという。
寅さんに代わり結婚式に出席する為、さくら・博・満男は北海道へ。
そしたら何と、寅さんも向かっているという。が、クマが出没する峠を越えなければならない。
結婚式場の近くで、クマ出没警報!
そこへ現れたのは、命からがらクマから逃げる寅さんの姿…!
エンディングでこういうコミカルなエピソードや、寅さん・さくらたち・マドンナが集うのは初めて。
たまにはこういうのもいいね。
とてもよかった
中原理恵の顔立ちは癖があって苦手なタイプで、あんまり夢中になれないマドンナだったが、ちょっとしか出番がなかった渡瀬恒彦の退廃した感じがあまりに魅力的でたまらない。サーカスのバイクでは『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ』のライアン・ゴズリングも似たような役どころで被る。そんな彼の魅力に参って健康まで害している中原理恵の気持ちを理解せず勝手に、話を付けに行った寅はやっぱり男女の営みを何もわかっていないと思わざるをえない。
渡瀬恒彦に立腹していたおばちゃんもちょっと変だった。魅力に参ってしまいそうでそれをせき止めるために声を荒げていたのではないだろうか。目の敵にしすぎだ。
そんな渡瀬恒彦が暮らすアパートが風呂なしトイレ共同の四畳半みたいなところで、やたらとリアル。
前回の反省をしたのか寅が完全に恋の舞台から降りていて、中原理恵からおじさん扱いされてもひるまない。
満男がブラスバンド部でフルート。
タコ社長の娘が美保純で結婚式。ところが結婚相手も奥さんも一切出なかった。美保純はいちいち仕草やセリフが決まっていてかっこいい。特に参道を歩くときに舌を出すのが最高だ。
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