男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼けのレビュー・感想・評価
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ここにも『世襲』があるんだね。恥ずかしくないのかなぁ?
『お兄ちゃんが人を騙したり、嘘ついた事無いんだから』って、それは嘘でしょ。
やはり、『龍野』と『大知貴和子さん』と『千年女優の岡田嘉子さん』だけが価値ある事かなぁ。
【“真っ赤な牡丹の絵”寅さんの漢気が見事に表現された逸品。宇野重吉演じる絵画の大家の飄々とした姿や芸者ぼたんを演じた太地喜和子の魅力が横溢した作品。今作はシリーズ中でも実に粋な逸品なのである。】
■寅さんはとらやの皆と、満男の小学校入学祝をしようとするがいつものように喧嘩して、駅の飲み屋で呑んでいる。そこで出会ったルンペン風の初老の男が無銭飲食で捕まりそうになる姿を見て、代わりに金を払いとらやに連れ帰る。
だが、男はとらやを宿屋と思っていたが、勘違いに気付きとらやの皆が自身の鰻代まで払ってくれた事を知り、一枚の絵をさらさらっと描き、寅さんに神保町の店で売って来てくれと頼む。
寅さんは、渋々その絵を持って行くがナント7万円で売れ、ビックリ仰天。その男は日本絵画では高名な画家、池ノ内青観(宇野重吉)だった。
そして、寅さんは青観と彼の生地である播州龍野で再会し、市役所の人達(中には、寺尾聡がいる。親子共演である。)に市内を連れまわされ、夜は座敷に呼ばれる。
そこで、出会った明るい芸者のぼたん(太地喜和子)と、意気投合して飲み明かす。
そして、寅さんはぼたんに軽く“そのうち、所帯を持とうな”と冗談を言って別れるが、ぼたんは且つて悪徳な男(佐野浅夫)から200万円を騙し取られていた。
ぼたんは、東京まで出て来て、タコ社長と共に男に抗議をしに行くが軽くあしらわれる。
怒った寅さんは、池ノ内青観に”でっかい絵を描いてくれよ。”と頼むのだが、断られる。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作は、寅さんと池ノ内青観との交流を軸に、不幸ながら笑って暮らすぼたんの関係性と物語構成がとても良き作品である。勿論、青観を飄々と演じた名優宇野重吉の姿と、残念乍ら早逝されたぼたんを演じた太地喜和子のひまわりの様な明るさと、抱え込んでいる悔しさ、哀しさを讃えた演技が見事な事も、作品に余韻を与えている。
・又、登場シーンは僅かだが、波乱の人生を送られた昭和初期の名女優である岡田嘉子さんが、青観と何か関りのある役で出演しているのも風情がある。詳しくは語られないが、推測するに、播州龍野の旧家のお嬢さんで青観と若き時に恋仲だった人ではないかなと思いながら観ていた。
<私がこの作品がとても好きなのは寅さんシリーズの中でも、二人の男(寅さんと青観である。)の漢気が、タイプは違えど実に粋に描かれているからである。
寅さんが、播州龍野を再び訪れた時に、ぼたんが寅さんを家に招き、見せた大輪の真っ赤なぼたんの画。勿論、青観が描いたモノである。
ぼたんは、売れば高値間違いなしの画を”絶対、譲らへん!”と言い、その姿を見た寅さんは青観が住む東京に向けて、暴言を詫び手を合わせて感謝の念を示すのである。
名優が集った、素晴らしき作品である。勿論、脚本を書いた山田洋次監督の手腕には、他の作品と同様に脱帽する作品でもある。>
シリーズ第17作‼️
全50作からなる「男はつらいよ」シリーズの中でも個人的には五本指に入る、大好きな作品‼️今回はヘンな老人、実は日本画の大先生・青観と寅さんの交流‼️そして一目惚れした美人芸者・ぼたんがアコギなお客に詐欺に遭った事を知り、寅さんは彼女のために一肌脱ごうとする・・・‼️まずはシリーズ恒例の寅さんの夢のシーンは、なんと「ジョーズ」もどきのホラー・パニック‼️そういえば公開当時「ジョーズ」が世界的なブームになってたんですよね‼️そして旅先から柴又へ帰った寅さんを待ち受けるのは甥っ子・満男の入学式騒動‼️そしてとらやを宿屋と間違えた宇野重吉さん扮する日本画の大先生・池ノ内青観がもたらす騒動‼️うなぎの代金6000円を600円と勘違いする寅さん‼️青観の絵をめぐる寅さんとタコ社長の大ゲンカ‼️そしてひょんな事から兵庫で再会した寅さんと青観‼️この二人の関係は過去作の中でも描かれてきた「寅さんとインテリ」のホントに理想形‼️どんなに相手が偉い人でも本音で向き合う寅さんはホントにステキです‼️そんな青観役の宇野重吉さんと、かつての恋人・志乃役の岡田嘉子さんが交わす龍野の静かな夜の会話は、名優二人による素敵なハーモニーで、この作品を気品高き名作にしてくれてます‼️そして太地喜和子さん扮する兵庫県龍野の芸者ぼたん‼️気っ風が良く、寅さんが「所帯を持とう」などとジョークを言えるピッタリの相性‼️ホントに太地喜和子さんハマり役です‼️浅丘ルリ子さんのリリーに次ぐお気に入りのマドンナですね‼️寅さんがそんなぼたんのために借金を取り返しに行こうとする場面の寅さんの口上のシーンは胸アツな名場面‼️「ぼたん、きっと仇は取ってやるからな!!あばよ!!」‼️そしてそして寅さんと青観の友情、寅さんとぼたんが想いが結実するラストシーン‼️寅さんが手を合わせ、青観に感謝‼️その余韻‼️ホント忘れられません‼️
「先生...勘弁してくれよ。俺がいつか言った事は悪かった。水に流してくれ、この通りだ。先生、ありがとう。本当にありがとう。」‼️
宇野重吉と岡田嘉子
久しぶりの寅さん鑑賞。
ぼたんを騙した男への怒りを捲し立てる寅さん。寅さんはいつも心の内を代弁してくれる。そして作品全体から、汗を流して働く人達への愛を感じる。
今回一番引き込まれたのは、宇野重吉と岡田嘉子が演じる再会と別れのシーンの美しさ。短い時間の中で、ふたりの過去からこれまでの生き方までををありありと想像させる。あたかも寅さんの中に往年の名作を一本取り込んだ様。
改めて寅さんの良さを感じるとともに、自分の根っこに戻ってくるような感覚。また観たいと思わせる作品だった。
冒頭ビックリ
いつももふざけたオープニングだけど、こんなシュールな展開があるか?
超ビックリしてスタート。
本編
宇野重吉懐かしいっ〜寺尾聰若け〜
は置いといて、今までと違う話の展開でなんか感動しました。良かった。
寅さん今回フラれたっけ?
日本喜劇映画の白眉。宇野重吉と大地喜和子に渥美清の演技合戦の、完成された人情譚
日本喜劇映画の歴史に残る”寅さんシリーズ”の中で、その範疇を越えた傑作である。まずストーリーの構築度が高い脚本の巧みさ、次に円熟し安定した山田洋次監督の演出の見事さ、そして名優宇野重吉、女優大地喜和子の演技と互角に対決する渥美清の真剣な演技があった。ここには、マンネリに陥った山田監督も渥美清の寅さんもいない。枯淡の自然体に到達した演技で魅せる宇野重吉と寅さん。メリハリの効いた演技と天真爛漫な個性を輝かせる大地喜和子と寅さん。その演技比べの面白さと見応えが、日本映画としてとても貴重と思えて感慨深く、感動的でさえあった。
宇野重吉の役は日本画壇の第一人者池ノ内青観であるが、どうも奥さんの尻に敷かれて家にいるのが嫌そうで、またその風体で家庭で浮いているようだ。だから夜は場末の酒場で独り寂しく酒に酔うことでしか息抜きがない。しかも、みすぼらしい格好をして酔い潰れているので店の者に手荒く扱われている。それを目にした寅さんが情けを掛ける発端から、物語は意外な展開を見せる。
とらやに来た青観は、とらやの人たちに遠慮なく注文を付けて困らせ、見かねた寅さんが注意する。ここのところの脚本の引き付け方の上手さ。そして、旅館と勘違いしていた青観が紙に絵をかいて寅さんに手渡すところの謎掛けの面白さ。神田の大雅堂という古本屋で換金するのだが、大滝秀治演じる店主と寅さんのちぐはぐな駆け引きがいい。7万円に驚く寅さんと、この金額で謎の老人の正体を明かす脚本の上手さは特筆ものだ。観客は、寅さんと一緒になって、それからの話を楽しむことが出来る。一見うらぶれた風体の青観と面白可笑しく付き合う寅さんとの妙味は、青観の生まれ故郷で続けられる。そこに現れる観光課長桜井センリと係員寺尾聡との定番のバカ騒ぎが面白い。それが、青観の初恋に纏わるエピソードを更に味わい深くするテクニックになっている。数奇な運命をたどってきた女優岡田嘉子の存在感が映像美に昇華されている。この晩秋の趣を帯びた宇野重吉と岡田嘉子の場面の感傷に、他には比較できない特質を感じてしまった。それは、日本映画そのものの郷愁と言っていいかも知れない。短いシーンだが印象に残る名場面だ。
それに対して、芸者ぼたんを演じる大地喜和子の生命力溢れる、溌剌として女性の色気を健康的に溢れ出す演技と存在感も素晴らしい。寅さんの存在を危うくするほどの明るさ。この貴重さも指摘したい。
物語の後半は、芸者ぼたんが悪い男に200万円騙し取られた事件の顛末を描き、寅さんと青観とぼたん三人の人としての在り方を浮き彫りにする。いつもの様に親身になって心配するとらやの人たちの優しさと、金銭問題に詳しい社長の珍しい出番。最後の頼みの綱として青観の家を訪ねる寅さんが、ぼたんの為に今度はキチンとした絵を描いてくれと懇願する場面の緊張感。お金の為に芸術を売ることは出来ない青観と、それを一応理解はするが情に厚く脆い寅さんとの仲たがい。そして、ラストは、人の世の本当の優しさを一枚の絵で見せる映画演出の大団円。人それぞれの立場や性格を物語の起承転結に上手に絡ませて、大きくは世代の違いも入れながら人情譚を完結する脚本の見事さは、名落語に匹敵する面白さと技の冴えを思わせる。味わい深い名演の宇野重吉と豪快な笑いで間を与えない女傑大地喜和子の存在感により、日本喜劇映画の傑作として後世に語り継がれるべき作品である。
1978年 4月3日 郡山松竹
これぞ昭和映画の真骨頂‼️
ここまでの寅さんシリーズで最高傑作と私は思う。
序盤は定番化しているお茶の間のドタバタ。
これまでは寅さんの恋〜失恋を軸にマドンナ役が入れ替わっての各作品という、いわゆる女優売出し的な感が否めなくなっていた。
まぁ、それは仕方がない。
これだけ国民的映画に成長すれば、商用的にならざるを得ない事も分かる。
それが前作で極まり、私自身もこのシリーズを途中で投げ出す決心をするまでのつまらないレベルになっていたからだ。
しかし、本作はどうだ。
寅さんの恋物語は本作の軸にしつつも、本線ではなく、昭和の人情が溢れ、それでいて寅さんシリーズの定番はあちこちに描かれていて、筋書きの流れが素晴らしい。
全スタッフで考え直してもう一度寅さん映画を一から作り直すような作品に仕上がったように見えたのは気のせいなのか。
今回のキャスティングにおいて宇野重吉そんの存在感はハンパなく見事なまで。恐れ入った。
各キャラの名ゼリフもこの作品から生まれた瞬間も垣間見え、納得度の高い珠玉の一作ではないだろうか。
「人生に後悔はつきものじゃないかしら」
響いたね〜😊
寅さんシリーズ初の⭐️4です‼️
本連作中、最高傑作。
何度観たろう。
テーマをお金とするこれ程鮮やかな物語を知らぬ。
本連作中、最高傑作。
終盤唐突に動き出す本筋から小さく確かなどんでん返しのラストに至る物語量の正しさに毎度泣く。
寧ろ老画家の成長譚なのも心地好い。
また観る。
一生の宝物
以前は退屈と感じた
寅さんのストーリー。
子供の頃の当たり前が
あたりまえにはない事を
知る年齢になって、
よいものをよいと
わかるようになりました。
いつの時代も
人を動かすのは情熱。
画家が寅さんへ誠実を示した
牡丹の花は美しかった。
おすすめ。
太地貴和子が良い
今までそんなに良い女とは思っていなかったが、この作品では可愛さと綺麗さが凄い。2023/1/4に再度鑑賞。この回では珍しく太地貴和子に振られてはいない。2023/7/30に再再度鑑賞。彼女が事故死していたとは知らなかった。長生きして欲しかった。寅さんの映画の中では何度でも観たくなる作品。
ここ数作品はテキトーとも思えるような脚本が多かった男はつらいよシリーズだったが、このシリーズ17作目はちゃんとした人情噺で、ラストにはちゃんとオチもある良作だったと思う。
BSテレビ東京で映画「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」を見た。
劇場公開日 1976年7月24日
渥美清48才
倍賞千恵子35才
マドンナは太地喜和子33才
太地喜和子は秋野太作の元配偶者。
48歳でスナックのママが運転する乗用車が桟橋から海に転落する事故により死亡。
ゲストは宇野重吉62才
宇野重吉は日本画の大家。ちょこっと筆で書いた落書きのような絵が10万円くらいの価値になるという。
太地喜和子は兵庫県たつの市の芸者。悪いやつに数百万円をだまし取られる。
ここ数作品はテキトーとも思えるような脚本が多かった男はつらいよシリーズだったが、このシリーズ17作目はちゃんとした人情噺で、ラストにはちゃんとオチもある良作だったと思う。
62才の爺さんだが宇野重吉がかっこいい。
満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。
岡田嘉子の台詞が注目の名シーンです
シリーズ絶頂期の名作
脂が乗ってるってのはこのこと
冒頭の夢は前年大ヒット洋画のJAWSのパロディだけど短め
本作の目玉はなんと言っても、岡田嘉子が出演していること
ちょいと数分の会話のシーンと、車がすぐ脇を通り過ぎる時に車窓越しに見かけた姿、遠目で手を振る姿、後ろ姿で走り去る車を見送る姿のシーンの2回だけの登場ですが、彼女の正体を知らない人でもただ者ではないぞ!この老婦人!というオーラを放っています
この女性、実は戦前の大スターで舞台に映画にと大活躍したひと
なんと人気の絶頂期に不倫関係の演出家の男性と手に手をとって旧ソ連に樺太から吹雪のなかを国境を越えて亡命したひと
彼女36歳、第二次世界大戦がはじまる前夜1938年1月のことです
その4年前の1934年昭和9年の大ヒット曲「国境の街」を地で行く驚愕のスキャンダルです
♪橇の鈴さえ寂しく響く~のあの名曲です
ところが亡命後の運命はどうであったか?
すぐさまスパイとして二人はソ連当局に逮捕され、拷問の末に嘘の自白を強要させられて、それがもとで彼は共産主義者で日本共産党の密命を帯びての亡命であったにも関わらず銃殺に処されます
彼女は3年間収容所に入れられた後、KGBの前身のスパイ機関の監獄に5年入れられ、戦後の1947年にようやく釈放されます
第二次大戦の戦中と戦後処理の期間まるまるですから、何らかの対日工作のスパイ活動に従事させられていたのかも知れません
その後も帰国できず、モスクワ放送のアナウンサーとしてソ連に留まります
48歳の1950年、モスクワで結婚します
お相手は、一兵卒として敗戦を迎えシベリア抑留の末、バロフスクでアナウンサーをしていた戦前の映画俳優です
彼は11歳年下で、彼女の子供役の子役として出演したこともあった旧知の間であったそうです
結局、その彼も1971年に病死、翌年70歳の1972年にその遺骨を抱いて帰国します
本作の出演はその4年後の事、74歳の姿なのです
その彼女に山田洋次監督はこんな台詞を話させます
人生に後悔はつきものじゃないかしらってと言わせるのです
ああすりゃよかったなあという後悔と、
もう一つは、どうしてあんなことをしてしまったんだろうという後悔
この女性の運命を知っているといないとでは、この台詞の強烈な破壊力は存分に伝わらないかと思います
それが池ノ内青観大先生と彼女の演じる志乃という女性との若い日の運命の選択が残した強烈な傷跡を雄弁に語るという仕掛けなのです
そしてそれが、静観が何故不幸な結婚生活を長年耐えているのか、寅さんに出会った時、何故飲んで放浪していたのかの説明にまでなっています
志乃が今も住む故郷の龍野旅行が決まって、どうすべきか苦しんでいたのです
申し訳ない、僕はあなたの人生に責任がある
僕は後悔しているんだ
そう彼はその台詞の前に彼女にこう言います
普通に考えると彼のした選択を謝っているように聞こえます
しかし、それに彼女はどないして?と聞き返します
岡田嘉子の運命が、何故聞き返したのかをこのように考えてさせてしまうのです
彼がした選択ではなかったのでは無かったのかと
志乃がした選択を彼が阻止する勇気が無かったことを静観は謝っていたのだと思わせるのです
じやあ、仮にですよ、あなたがもう一つの生き方をなすとったらちっとも後悔しないですんだと言い切れますか?
志乃のこの台詞は、先の二つの後悔のことのうちの、ああすりゃ良かったなあのことであり、静観の後悔の事を言っているのでは無いでしょうか?
つまり、どうしてあんなことをしてしまったんだろうは志乃自身の後悔だったのだと
岡田嘉子自身の強烈な運命がこの会話と激しく共振して、そんなことまで連想をさせるのです
結局彼女は10年後の84歳の1986年にソ連に戻ります
1992年89歳でモスクワで亡くなったそうです
その日本帰国の10年の間、彼女は結構女優としての仕事を日本で残しています
冷戦期間中の帰国と女優活動、ゴルバチョフの登場と共にソ連への帰国は、その日本帰国後の10年間も実のところソ連情報機関に操られていた活動であったのかもと邪推すると一層悲しい運命です
そんなことはさておき
寅さん、洒落で所帯を持とうとボタンと意気投合しますが、もちろんこれはノリ
終盤にまた所帯を持とうと言ったじゃねえかと彼女を再訪するのは、実のところ200万円の事もあり、行き掛かり上捨て置けずに言葉通り責任果たすつもりだったようです
これが実は静観の僕はあなたの人生に責任があるとの言葉に繋がってもいたのです
でも結局のところ、彼女を好いてはいても、義務感のようなものです
本当に心から愛したのはリリーさんだけのようです
芸者ぼたんを演じられる女優は太地喜和子しかいないと思うほどのピッタ...
芸者ぼたんを演じられる女優は太地喜和子しかいないと思うほどのピッタリのイメージだった。そしていつにも増して人情感溢れる寅さんだった。
結構毛だらけ猫灰だらけ
正月も明けたけど家に戻るのを先延ばしにしてぬくぬくと実家で過ごす。子どもを寝かしつけてリビングに戻ると父母がBSで寅さんを観ていた。なんとなく一緒に最後まで観る。寅さんの妹が息子の学校で寅さんの妹だということで笑われたといって家で泣いているあたりから観る。寅さんは親がテレビで観ているのをところどころ観たことしかなくて、途中からだったけど一番長くちゃんと観た。寅さんが、無一文だと思ってたおじいさんには優しく、おじいさんが有名な絵描きだと分かった途端におじいさんで儲けようとするところが面白かった。200万円をおじいさんに絵を描かせて売っ払って作ろうとするのはめちゃくちゃ過ぎて少しもやもやしたけど、牡丹の話とおじいさんの話が合わさって終わるのは良かった。おじいさんが昔の恋人に会うところと、同じ頃寅さんたちが賑やかに宴会している場面でカメラが外から宴会場を撮る形に切り替わるところ(宿?の人が窓を閉めると宴会場の音が小さくなる)がしみじみと記憶に残るような感じで良かった。
大地喜和子さん、好きな女優さんです。
おかえり寅さんに、牡丹をみて
また観たくなった!
宇野重吉と寺尾聡が共演してたんやね。
48歳で亡くなったんやね。
弟分の秋野太作の奥さんの時もあったんやてね。
この作品大好き!
寅さん
リリーと牡丹
大変やな!笑笑
画伯と芸者と後悔について
"男はつらいよ" シリーズ第17作。
Huluで鑑賞。
冒頭の夢は「JAWS/ジョーズ」のパロディーでした。
寅さんが居酒屋で知り合った小汚ない老人。てっきり貧乏ジジィだと思っていたら、有名な画伯だったことから一騒動。いつもならばサイドストーリーは本筋にあまり関わって来なかったのに、後の展開にきちんと絡んで参りました。
龍野方面へ旅に出た寅さん。偶然その画伯・青観も絵の依頼の取材旅行でこちらに来ており、一緒に回ることに。宴席についた芸者のぼたんと知り合いになった寅さんは、所帯を持とうと空約束。そこから物語が大きく動き出しました。
社会派の要素が組み込まれていました。いつの世にも悪いヤツはいる。狡猾な手段で弱者を苦しめる。世はお金が全てと言わんばかりに無いところから無理矢理絞り取っていく。
相手の元へ殴り込もうとした寅さんでしたがそれでは敵の思うツボ。画伯に助けを求めたものの断られてしまう。寅さんは成す術も無く、失意の内にまたもや旅の人となりました。
人間、必ずなんらかの後悔を抱えて生きている。後悔にずっと苦しめられている人もいる。ああすれば良かったなとか、こうすれば良かったなとか、考えることは多々あれど、そう云ったことも引っ括めた上で人生なのかもしれない。
後悔先に立たずとは上手いことを言ったものだな、と…。しかし、後悔したからこそ、その後の生き方をどうすべきか考えられると云う面があるんじゃないかなと思いました。それ次第で、後悔を取り返せる日が来るのかもしれません。
[以降の鑑賞記録]
2020/07/25:BSテレ東「土曜は寅さん!4Kでらっくす」
※修正(2024/04/19)
ぼたんの花
シリーズ17作目。
48作ある中でも、最高傑作の一つに挙げられる。
まずOPの夢は、家族を喰い殺した人喰い鮫に車船長が闘いが挑む…!
本作の前年に大ヒットした『JAWS』のパロディー。
たまにこういう大ヒット映画のパロディーもある。
続く序盤エピソードは、
満男が小学生に。
寅さんもちょうど帰って来て、叔父さんの真似事をしようとご祝儀を包む。
ところが学校で、満男が寅さんの甥ってだけで笑い者に。
勘弁ならない寅さん。
笑う方も悪いが、これまで笑われるような事をしてきた寅さんにも否がある。
せっかくのめでたい場がいつもながらの喧嘩に。
寅さんは憂さ晴らしに酒を呑みに出掛ける。
とある飲み屋。そこで寅さんは、無銭飲食しようとしたしょぼくれた爺さんと出会う。
きっと家に帰っても居場所が無い可哀想な爺さん…。
同情した寅さんは、とらやに連れ帰って暫く世話する。
ところが!この爺さんが横柄でワガママし放題!
とらや一同、怒り爆発寸前。
さすがに寅さんが注意すると、この爺さん、とらやを宿屋と勘違いしていたようで。
迷惑掛けたお詫びにと、ある事をする。
画用紙に筆で落書きのような画を描き、これをある店に持っていってくれ、と。
渋々持って行ったら何と!その落書きみたいな画が7万円で売れた!
実はこの爺さん、人間国宝級の日本画家の大先生。名は池ノ内青観。
一生遊んで暮らせる!…と、ウハウハの寅さん。
しかし、先生はすでにとらやを去り…。
「何で帰した!?」…お金や画を巡って、またもや大喧嘩。
青観を演じるは、大名優の宇野重吉。
前半のだらしない爺さんぶりから一転、滲ませる威厳さはさすが。
宇野氏の息子は、これまた名優の寺尾聰。
度々親子共演しており、本作でも。
故郷である兵庫県たつの市を訪れた青観。
そこでばったり旅の最中の寅さんと再会。
寅さんが加わった事で、青観の堅苦しい帰郷は呑めや唄えやのどんちゃん騒ぎに。
寅さんは気っ風のいい芸者・ぼたんと出会う。
明るく、ノリ良く、寅さんも「所帯持とう」と気軽に冗談言えるほど。
勿論本作のマドンナであり、いい女の魅力を存分に発揮した太地喜和子は多くの賞を受賞した。
故郷の町を一人歩く青観は、昔馴染みらしき老女と会う。
演じるは、まるで映画のような壮絶な人生を送った岡田嘉子。
まるで自身の人生を振り返るような台詞が印象的。
柴又に帰ってもたつの市での贅沢が抜けきらない寅さん。
そこへ、ぼたんが訪ねて来る。
再会に喜ぶ寅さんだが、ぼたんが東京を訪れたのには訳が。実は…
以前、男に200万もの大金を騙し取られたというぼたん。それを少しでも帰して貰おうと。
普段は明るく振る舞ってるが、本当は誰かに苦しい胸の内を明かしたいくらい苦労を背負っている。
にしても、その男が本当に悪どい!
貧乏人から苦労して貯めた大金を騙し取り、自分も会社が潰れて無一文だが、法の網の目をかいくぐり、贅沢三昧の暮らし。訴えようにも、法を完全に縦にしている。
シリーズにこれまで登場した事ないくらいの悪人。
世の中、本当にこういう悪人が居るのだ。
金や法が絡み、無知な寅さんにはどうしてやる事も出来ない。
だけど、何とかしてやりたい。例え、ぶん殴ってでも。
そんな時寅さんは、思い付く。向かった先は…
青観の家。画を描いてくれと頼み込む。
が、青観は金の為に画は描けないと断る。
それを聞いて寅さんは…。
本作はズバリ、お金。お金があれば幸せなのか…?
貧乏人にとって、お金を稼ぐ事は一苦労どころではない。それこそ、200万なんて大金(本作は1976年だから、今だったらどれほどの大金だろう…?)、見た事すら無い。
「200万って積み上げたら、富士山くらいの高さになるのか?」…とは、お金に疎い寅さんを表したユニークな台詞。
確かにお金はあった方がいい。貧乏人は喉から手が出るほど最も欲している。
でも、本当にそれが全てか…?
お金に代えられないものだってある。いや、実際、ぼたんの周りにはあった。
寅さんやとらや一同。赤の他人の自分の問題を、こんなにも親身になって心配して良くしてくれる人たちが。
単なる綺麗事…と、言いたければ言えばいい。
それでもやはり、こういう人情に溢れた人たちが居て欲しい。
ラスト、ぼたんの元に思わぬ“プレゼント”が。
それは絶対売らず、一生の宝物にし、依然お金の問題を抱えながらも、いつも通りの自分たちの生活を送る。
寧ろそれは、お金に打ち勝ったように思えた。
このラストもいい。
色んな意味で、シリーズ最高傑作の一つと言って過言ではない。
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