男はつらいよ 寅次郎相合い傘のレビュー・感想・評価
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『お前も可愛げの無い女だね』懐かしい台詞。
最初の夢の中の悪役は吉田義夫さんと言う俳優さんで、僕の世代は『悪魔くん』のメフィストである。懐かしい。
最初にエリザベス二世の訪日のニュースが登場するが、日比谷で映画見た帰りに、エリザベス二世のお姿を見てます。五十年も前なんだね。日比谷で見た映画なんだったんだろう?
リリィさんも『アラシ隊員』の嫁さんでいれば良かったんだ。
この点が少し無理があるね。
青函連絡船も十和田丸じゃん。何回か乗船した。懐かしい。あれから五十年♥
『オシャ、マンベ』ってギャグ懐かしいね。確か由利徹さんのギャグだ。
柴又三丁目って、今は亡き母型のオジキがこの頃位まで住んでいた。懐かしい。
【”リリーさんが、お兄ちゃんのお嫁さんになってくれたらどんなに素敵だろうな・・。”今作は、俺のメロンがない!と駄々を捏ねる寅さんにリリーが一喝がするシーンなど名シーンテンコ盛りの逸品である。】
■青森の小さな町で、寅次郎は仕事も家族も捨てて家出した中年男(船越英二)と出会う。二人で旅していたところ、函館でリリーと再会。意気投合した3人は北海道の旅を続けるが、中年男が夫を亡くした喫茶店を営む初恋の人と再会しながら、それ以上発展しなかったたことをきっかけに、何故か寅次郎とリリーが大ゲンカしてしまう。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作を観ると、つくづく寅さんとリリーは似た者同士だなと思う。
ぶっきら棒に見えて、実は心根は優しく、しかし心の片隅に寂しさを抱えつつ、全国を回る稼業や、気っぷの良い啖呵を切る度胸を持つところなどかな。
・大体、寅さんがいつものように中年男がお礼に持ってきたメロンをおばちゃんが寅さんを勘定に入れずに切り分けてグダグダと拗ねる姿に、いつもならおじちゃん、おばちゃんやさくら夫婦が情けなさに涙ぐむのだが、今作ではリリーが一喝するシーンなどは今までにないパターンであり、且つ可笑しいのである。
・その後、リリーがキャバレーに出勤した後に、雨が降って来た時に、とらさんは何気なくとらやの唐傘を持って駅までリリーを迎えに行き、二人で身体をくっつけ合って帰るシーンも名シーンである。
・久方振りに今作を観て思ったのは、エリートサラリーマンの中年男を演じた船越英二の”・・でございますね・・。”と言った丁寧な口調やさくらが無理やり結婚話を寅さんとリリーに持ち出した事で、二人の仲を割いた気がすると言った際に掛けた”優しい言い方ですね”とニッコリ笑って言う姿など、今作の良さを引き出している陰の功労者ではないかな、と思ったのである。
<今作は、寅さんと、中年男”パパ”とリリーの北海道での珍道中から始まり、3人が東京に帰って来た後の展開を、絶妙な会話で見せる逸品なのである。>
メロン騒動の名場面に集約された、人を思いやる人情劇で浮き彫りになる男寅次郎の現実
”男はつらいよ”シリーズ第15作の秀作。寅さんのマドンナでは最良の相性をみせる浅丘ルリ子が二度目の登場で、寅さんとの関係が深まるようで進展しない焦れったさが残るも、永遠の独身男寅さんの甲斐性なしに悲哀を漂わす。その二人に加わる中年男船越英二の一流企業に勤めるエリートサラリーマンの設定が、最後に飛び切りの名場面を生む。エスカレーターに乗るだけの人生に疲れ無気力になった中年男、家庭の枠に収まらず結婚に失敗した歌手リリー、自由気儘ないつもの寅さん、と社会からドロップアウトしたこの三人の道連れが物語を深め、最後は二人を立ち直らせた寅さんが非難されるという、なんとも割の合わない人生だが、それが寅さんなのだという潔さと哀愁があった。
このメロン騒動の人間描写の深さと面白さは余りにも素晴らしく、傑出している。船越からもらった高級メロンを寅さんが居ない間に6等分にしてみんなが食べようとした時、偶然にも寅さんが帰ってくる。おいちゃん、おばちゃん、さくら、博、満男、そしてリリー。丁度いい切り分けが出来る人数なのだ。そこで貰った本人がひとり外された口惜しさを怒りに任せてぶつける寅さん。うっかり寅さんのことを忘れて数に入れなかったことを詫びるおばちゃんとさくら。それでも怒りが収まらずしつこく追及する寅さん。ここで凄いのは、登場人物ひとり一人の立場や役割が丁寧に明確に描かれていることだ。おばちゃんの、こんなことになるんだったらメロンなんて貰わなければよかったの台詞。お金を出して、好きなだけ買って食べろと最終手段に出るおいちゃん。ひとりメロンを食べる満男。そして、それまで一人傍観していたリリーの岡目八目の視点が場面を収める。たかがメロンか、されどメロンか。メロンで駄々をこねる寅さんの幼さと、いや高級メロンの人数に入れないとらやの人たちの不注意がいけないとする、その相反する解釈をのこしたまま、リリーが寅さんを叱り付ける。それは寅さんを愛するリリーだから言えるのだ。その為に前半のお話があったと言えるくらい、この場面の集約した密度の高い表現力はなかなかない。
結末は寅さんの良いところも悪いところも好きになってしまったリリーが求婚するのだが、寅さんは冗談として受け付けない。独り身の世間体にこころを悩ますとらやの人たちと、夢見ることなく現実の自分に正直な寅さんとのふれ合いが、人を思いやる家族劇として見事に完結した男はつらいよであった。
1978年 4月3日 郡山松竹
シリーズ屈指の名作に劇場で出会える幸せ♪
12月27日に約22年振りとなる第50作目「男はつらいよ お帰り寅さん」の公開を控えて、各地で過去作のリバイバル上映がされているが、地元 葛飾の「MOVIX亀有」でも1日1本の限定上映が先月から始まり、時間を作って観に行こうとしていてもなかなか上映時間での都合が合わなかったけど、やっと鑑賞出来ました。
上映されていたのは第15目となる「男はつらいよ 寅次郎相合い傘」。
ぶっちゃけどの回の作品でもよかったしw、DVDで自宅で観る事も出来るけど、劇場の大きなスクリーンで寅さんを観れる事の幸せを味わいたくて、鑑賞しました。
で、感想はと言うと良かった♪
44年前の作品で細かい事を言い出したらキリがないけど、良かった♪
細かい事を言う事が野暮と言う感じの古き良き日本と邦画の良さを満喫し、ベタであってもその定番さの心地好さが気持ち良い♪
男はつらいよの世界感に浸れる事の幸せを噛み締めました♪
やっぱり劇場での鑑賞は良いなぁ♪
また今回観た第15作目の「寅次郎相合い傘」は屈指の名作で寅さんの永遠のマドンナとなる浅丘ルリ子さん演じるリリーの再登場の回。
面白くない訳がない!
冒頭定番の夢の中の出来事からオープニング。
本編ではリリーがとらやを訪ね、北海道で旅の一緒にする船越英二さん演じるパパと寅さんに偶然リリーが再会して旅の一緒にする。
ちょっとした言い争いをしても実家のとらやで改めて再会。
互いを意識しても、ちょっとした意地と相手を思いやる気持ちから再び離れる事になる。
男はつらいよ定番の展開ですが、懐かしくて切なくてカッコいい。
寅さんの生き方や在り方、振る舞いはやっぱり憧れます。
リリーと寅さんは同じ様な性格で互いを分かりあい、時として喧嘩もして意地を張るけど、口にちゃんと出すから、仲直りも早い。
時折、寅さんに見せるリリーの甘えた振りがなんとも可愛い♪
歴代のマドンナはそれぞれの回で良いマドンナと印象ですが、やっぱりリリーと寅さんの仲は別格だなぁと改めて思いました。
今作が有名な「メロン騒動」の回で、寅さんの短気から大喧嘩になる騒動もリリーがピシャリと寅さんに説教するのも面白い♪
でも、その後の相合い傘はタイトルにもなっているぐらいの屈指の名場面♪
旅先のトラブルも程々で旅の道中を一緒にする船越英二さん演じるパパも本筋に大きく絡んでこないけど、よく考えればかなり贅沢な使い方です。
キャストの皆さんが若い!
さくらを演じる倍賞千恵子さんが綺麗!可愛い!
歴代のおいちゃん役では下條正巳さんのおいちゃんが好きなので、下條さんがおいちゃんをしているのも嬉しい♪
おばちゃんも博さんもタコ社長も御前様も源ちゃんも観れるのが嬉しい♪
住んでいる所が柴又に近いので時折柴又には行くが、古き柴又を見れるのも嬉し楽しい♪
今から20年前ぐらいまでは男はつらいよはテレビでの放送も普通にやってたので特に気にせず見てたりしてましたし、浅草の映画館でも男はつらいよは普通にリバイバル上映してましたが、今となってはかなり貴重。
多分全部は見てないけど気にしてなかっただけで全部見てるかも知れない。
どの作品が好きかは好みによるとは思いますが、多分どの回を見ても楽しめるし、どの回も好き。
感想も同じ様な感じになると思いますが、やっぱり男はつらいよは大好きだし、男はつらいよの世界が映画館で楽しめるのが嬉し楽し幸せ♪
12月26日まで様々な回の記念リバイバル上映をしてますが、まだまだいろんな回の寅さんに出会いたい!
12月27日の「お帰り寅さん」まで、今や貴重となった劇場での寅さんとの出会いを出来る限り、楽しみたいと思います。
相思相愛、相合い傘のふたり
"男はつらいよ" シリーズ第15作。
Huluで鑑賞。
夢のシーンがかなり凝ってました。海賊船のセットやちょっとした特撮シーンなど、結構お金が掛かっていそうでした。
しかも米倉斉加年と上條恒彦が海賊タイガーの手下役でノンクレジット出演とは。めちゃくちゃ豪華じゃないですか(笑)。
リリーが早くも再登場。北海道を寅さん、寅さんと知り合いになったパパ、リリーとで旅行することに。ロードムービーの趣がありましたが、寅さんとリリーが喧嘩となり…
女を幸せにしてやると云う男の思い上がりをバッサリ一刀両断して、男が女に抱く幻想や夢を冷めた目線で見つめる。リリーの言葉にハッとさせられることしきりでした。
本作は名シーンの宝庫。メロン騒動や寅のアリアも良かったですが、個人的に相合い傘の場面が好きになりました。
ふたりの会話もいいし、何よりもラスト。寅さんが持つ傘の柄をそっとリリーが一緒に握る、そのさりげなさよ…
寅さんの優しさとそれを微笑ましく思うリリー。喧嘩をしてもすぐに仲直りしてしまう。喧嘩するほど仲が良いと言うけれど、それを地で行くようなふたりの関係性。大人の恋愛の機微が集約されているように感じました。
[以降の鑑賞記録]
2020/04/05:Blu-ray(4Kデジタル修復版)
2020/07/11:BSテレ東「土曜は寅さん!4Kでらっくす」
2021/03/07:Blu-ray(4Kデジタル修復版)
※修正(2024/05/28)
再び巡り合った運命のマドンナ
シリーズ15作目。
OPの夢は、大海原を行く海賊タイガー(寅さん)が、奴隷船に囚われていた妹チェリー(さくら)と再会する。
そう、渥美清はジョニー・デップより遥か以前に海賊をやっていたのである!(夢だけど…)
(ちなみに、このシーンの倍賞千恵子がドキリとするほど美しい)
いつになく長くとらやに帰って来ない寅さん。
さくらたちも心配物寂しい。
そんな寅さん不在のとらやを突然訪ねて来たのは…
シリーズ11作目『寅次郎忘れな草』以来の登場となるリリー!
何と言っても今回の見所は、この名マドンナ…いや、寅さんの運命のマドンナの再登場!
前回のラストで寿司屋の女将になった筈が、結局別れ、また各地のキャバレーを歌って回っている。
積もる話もあったのか、寅さんに会えなかった事を残念がり、リリーも旅に出る。
その頃寅さんは、青森に居た。ヘンな連れと一緒に。
聞けば、一流会社に勤め、裕福な家庭で暮らしている中年サラリーマン・兵頭。
突然蒸発したくなり、当てもなく旅してた所を寅さんに声を掛けられ、以来くっついて来ている。
うんざりしている寅さんだが、放っておけない。
珍妙な男二人旅は北海道へ。
函館の屋台ラーメン。そこでばったりとリリーと再会する!
寅さんとリリーの最初の出会いも北海道だった。
「何してたのさ?」と聞くリリーに、「恋をしていたのよ」と返す寅さん。
懐かしさと思い出話と積もる話に花が咲く。
男二人に女一人が加わり、一気に華やかで楽しい旅に。
渡世人の男女と競争社会に疲れたサラリーマンへ向ける山田洋次監督の眼差しが優しい。
旅は小樽へ。
兵頭の初恋の相手が居る。
再会し、相手も何か言いたげだったが、結局何も出来ないまま、挨拶だけして去る。
その事を悔やむ兵頭。自分はたった一人の女性もろくに幸せにしてやる事も出来ないのか。
慰める寅さん。
それに対し、リリーが異論を唱える。
バカ言うんじゃないよ、女は男の助けが無きゃ幸せになれないってのかい?
気の強いリリーらしい言い分。
これがきっかけで寅さんとリリーは口論。寅さんはつい、酷い事を言ってしまう。
喧嘩別れ。楽しかった旅も終わり…。
柴又に帰ってきた寅さん。ずっとリリーの事が気になっている。
そこへ、リリーが訪ねて来る。
北海道での喧嘩は何処へやら、すっかり仲直り。
昼間から腕を組んで歩く寅さんとリリーは、柴又中の話題。
あらぬ噂も。二人は出来ている、寅さんはリリーのヒモ…。
いつもなら寅さんの恋路にやれやれのとらや一同だが、今回は違う。
相手がよく知っている人だからもあるし、それ以前に、寅さんとリリーが仲良くして何が悪い?
また、寅さんのリリーに対する優しさは本物だ。
リリーを仕事場の店(キャバレー)へ送って行った寅さん。あまりにも狭く、お粗末な店にショックを受ける。
リリーはこんな所で歌っているのか…。
もし俺に金がたらふくあったら、大劇場を貸し切って、思う存分リリーに歌わせてやりたい。
そんな寅さんのリリーへの優しさに感動するさくらたち。
かと思えば…。
さて、皆様、お待ちかね! シリーズ屈指の爆笑エピソード“メロン騒動”である。
兵頭から頂いたメロンを食べようとするとらや一同。
うっかり、寅さんの分を切り忘れた!
そういう時に帰って来るのが、寅さん。
「訳を聞こうじゃねぇか、訳を」
「俺のはどうしたの、俺の~!」
メロン一つで不機嫌になる寅さん。
見かねて口を挟むリリー。
再び、寅さんvsリリーの言い合いバトル。
が、今回はリリーの圧勝。ぐうの音も出ないくらい寅さんを言い負かす。
やっと出た寅さんの一言が、「これでも女でしょうか!?」(笑)
ぷいととらやを飛び出すが、さくらたちは、「スカッとした~!」「いっぺん、あんな風に言ってやりたかった」。
勇ましいリリー。
このすぐ後が秀逸。
突然、強い雨が降ってきた。
傘を持たないまま仕事に行ったリリー。
喧嘩した後、遠回しにリリーを心配する寅さん。
ブツブツ文句を言いながらも、リリーを迎えに行く。
寅さんが迎えに来てくれた事が、メチャクチャ嬉しいリリー。
「迎えに来てくれたの?」
「バカ言え、散歩だよ」
「雨の日に散歩なんかするの?」
「しちゃ悪りぃのかよ」
今回のタイトル通り、相合い傘して帰る寅さんとリリー。
喧嘩して仲直りして、またすぐ喧嘩してまたすぐ仲直りして。
お互いにとって、これ以上の相手はいないだろう。
さくらは思いきって、リリーに話す。リリーさんがお兄ちゃんの奥さんになってくれたら…。
それを聞いて、リリーは…。
船越英二の惚けた演技、
本作で多くの映画賞を受賞した浅丘ルリ子の好演、
相性ばっちりの寅さんとリリーの掛け合い。そして…
どうしても素直になれない二人。
リリーはおそらく本心だったろう。
寅さんもそれが分かっていながら…。
リリーみたいないい女は、俺と一緒になっちゃあ幸せになれない。
傷を癒し、美しく逞しい渡り鳥は再び自由へ飛び立つ。
前14作目はちと平凡な出来だったが、本作は、渡世人男女の切なさと情感の恋路がたっぷり描かれ、出色の出来に。
二人の恋路はまだ終わらない。
次二人が再び巡り合うのは、シリーズ25作目、屈指の名篇『寅次郎ハイビスカスの花』となる。
とてもよかった
リリイ2回目で前よりぐっと息が合っていた。とてもよかった。船越英二もよかった。3人で雑魚寝をしているのはびっくりした。
リリイが結婚をしてくれると、さくらがテンションをあげて慌てて寅に言うのだが、あそこはじっくり行くべきだっただろう。寅がびっくりして照れて断ってしまった。切ない場面だった。
蒸気機関車が2作前くらいから映らなくなった。冒頭の海賊船の寸劇で、さくらが長い髪を下ろしていてドキドキするほど魅力的だった。本編では常にきつく縛り上げていて、華やかさを消している。さくらが本気を出したらどんなマドンナもかすんでしまうから仕方がない。
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