「【”リリーさんが、お兄ちゃんのお嫁さんになってくれたらどんなに素敵だろうな・・。”今作は、俺のメロンがない!と駄々を捏ねる寅さんにリリーが一喝がするシーンなど名シーンテンコ盛りの逸品である。】」男はつらいよ 寅次郎相合い傘 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”リリーさんが、お兄ちゃんのお嫁さんになってくれたらどんなに素敵だろうな・・。”今作は、俺のメロンがない!と駄々を捏ねる寅さんにリリーが一喝がするシーンなど名シーンテンコ盛りの逸品である。】
■青森の小さな町で、寅次郎は仕事も家族も捨てて家出した中年男(船越英二)と出会う。二人で旅していたところ、函館でリリーと再会。意気投合した3人は北海道の旅を続けるが、中年男が夫を亡くした喫茶店を営む初恋の人と再会しながら、それ以上発展しなかったたことをきっかけに、何故か寅次郎とリリーが大ゲンカしてしまう。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作を観ると、つくづく寅さんとリリーは似た者同士だなと思う。
ぶっきら棒に見えて、実は心根は優しく、しかし心の片隅に寂しさを抱えつつ、全国を回る稼業や、気っぷの良い啖呵を切る度胸を持つところなどかな。
・大体、寅さんがいつものように中年男がお礼に持ってきたメロンをおばちゃんが寅さんを勘定に入れずに切り分けてグダグダと拗ねる姿に、いつもならおじちゃん、おばちゃんやさくら夫婦が情けなさに涙ぐむのだが、今作ではリリーが一喝するシーンなどは今までにないパターンであり、且つ可笑しいのである。
・その後、リリーがキャバレーに出勤した後に、雨が降って来た時に、とらさんは何気なくとらやの唐傘を持って駅までリリーを迎えに行き、二人で身体をくっつけ合って帰るシーンも名シーンである。
・久方振りに今作を観て思ったのは、エリートサラリーマンの中年男を演じた船越英二の”・・でございますね・・。”と言った丁寧な口調やさくらが無理やり結婚話を寅さんとリリーに持ち出した事で、二人の仲を割いた気がすると言った際に掛けた”優しい言い方ですね”とニッコリ笑って言う姿など、今作の良さを引き出している陰の功労者ではないかな、と思ったのである。
<今作は、寅さんと、中年男”パパ”とリリーの北海道での珍道中から始まり、3人が東京に帰って来た後の展開を、絶妙な会話で見せる逸品なのである。>