「寅と赤ん坊とオーソドックス」男はつらいよ 寅次郎子守唄 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
寅と赤ん坊とオーソドックス
シリーズ14作目。
OPの夢は、日本昔話のような世界。
子供が出来ない夫婦(さくらと博)の元に“うぶすなの神”(寅さん)が現れ、赤ん坊を授ける。
という事で、このOPの夢やタイトル通り、“赤ん坊騒動”で始まる。
旅先で女房に逃げられ、赤ん坊を抱える若い男と出会った寅さん。
親切にしてやるが、翌朝起きたら、赤ん坊を残して居なくなっていた…!
仕方なく赤ん坊を連れて柴又に帰る寅さんだが、とらやの驚きっぷりは想像通り。
と、寅さんに赤ん坊が…!
隠し子か…!?
しかも、母親は居ない。
バカだとは思ってたけど、こんな恥をさらして…。
…と、勘違い。
事情を説明し、寅さんの実子じゃない事を知り、ひと安心。
とらやで預かる事になり、子供が出来なかったおばちゃんが大層可愛がる。
赤ん坊が熱を出し、博が仕事場で怪我した時に世話になった病院へ。
そこの看護婦・京子が今回のマドンナ。演じるは十朱幸代。
明るく、茶目っ気たっぷりで、魅力的。
何とか寅さんに会わせないようとしてたが、赤ん坊を心配してあちらからとらやを訪ねてきて、ばったり。
いつも通りの一目惚れ。
マドンナの前では赤ん坊の面倒を見るいい人を演じるが、居なくなるとさくらたちに赤ん坊を押し付ける困った寅さん。
ある日突然、赤ん坊の父親がとらやを訪ねてくる。
反省し、迎えに来たという。
さすがにとらや一同、その身勝手さにおかんむり。
この時父親は、これから一緒になるであろう女と一緒で、とても気前が良く、面倒見が良さそうな女性。
この女(ひと)になら、赤ん坊を任せられる。
赤ん坊を二人の元へ。
寂しそうなおばちゃんが涙を誘う。
赤ん坊騒動が一段落し、残った問題は、寅さんの恋。
今回寅さんは思いがけず、指南役に回る。
京子は休日、コーラス・グループに参加しており、その指揮者の青年が京子に片想い。
顔は髭もじゃで決して二枚目ではなく、貧乏で口下手。
寅さんの指南を受け、ある時勇気を振り絞って告白。そしたら…。
赤ん坊騒動に寅さんの恋、指南役。ラストは赤ん坊と再会。
今回は悪く言えば新鮮味ナシのパターン化、良く言えばオーソドックスでお決まりの定番化といった感じ。
本作から下條正巳が3代目おいちゃん役に。以後、シリーズ終了の48作まで努める。
初代森川、2代目松村もいいが、やはりおいちゃんと言うと、下條氏の印象が強い。