男の顔は履歴書のレビュー・感想・評価
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これは一連のあのシリーズの違う形か
一連のあのシリーズよりもこれの方が面白いと思った 内容的にテーマがあるし クライマックスには驚いた そして今の我々にも こういう映画を見ることは意義があると思った
私だったらどうしたか・・
以下 ネタバレ注意ネ
戦争は常にビジネスだ 大きな戦争も小さな戦争も 私だったら相手のビジネスにダメージを与えるようなプレッシャーをかけながら うまく交渉するね こんな時代に戦っても意味ないから 部下を殺したって新しいやつを雇うだけだし ボスを殺したって違うやつが来るだけだ マーケットは渡してしまってその後 従業員として使ってもらったほうがいい もちろん マーケット建築の間は土木工事とか建築工事とかで雇ってもらってね
ここでは韓国人が徹底的に悪役に描かれてるが実際の在日韓国人は非常にかわいそうである 最後の方にちょっと出てきてるけど子供は学校に行って韓国人だと言っていじめられていたんだと思う 私はその時代は知らないけどね そして 学校卒業した後は 就職がない 結局ヤクザになるしかない もしかして風俗の女性の多くは・・・少なくとも俺が若かった頃は・・そういった女性たちじゃなかったのか 布袋寅泰がその著書の中で「普通に日本人として生きていくことは不可能」と書いてたと記憶している 俺が18で初めてトルコへ行った時のあのコは、この子の妹だったかもしれない・・今はそういう状況でなくなってることを祈る
安藤昇の二重性
加藤泰は冴え渡ってるときと手癖で作ってるときの落差が激しい映画作家だが、本作に関していえば冴えに冴え渡っていた。
安藤昇といえば本物の極道から役者への転身に成功した唯一の俳優だが、その小柄さゆえ撮り方によっては単なるチンピラに映ってしまう。『やくざと抗争 実録安藤組』などは本人による「安藤昇」史の映画化であるというのに肝心の安藤昇が小物臭く、凡百の愚連隊映画と大差がなかった。
一方で本作の安藤昇にはアウトロー然とした佇まいがあった。「医師」という最も彼のイメージと懸隔のある枠組みに彼を当てはめたことが逆説的に彼の根本的なアウトロー性を浮かび上がらせたとでも言うべきか。白マスクの側面に浮かび上がる本物の傷跡にギョッとさせられる。ここでの人物造形には安藤昇の極道でもあり俳優でもあるという二重性が間違いなく意図的に彫琢されている。ゆえに本作の安藤昇はアウトローの佇まいを獲得できている。
カタギとアウトローの間を揺蕩う安藤昇と相対するのが戦後日本に跋扈する三国人集団「九天同盟」であるというのも面白い。九天同盟もまた安藤昇同様に、日帝支配への正当な憎悪と罪なき人々への不当な暴力という二重性を抱えている。ゆえに両者の間には「愛国精神の衝突」といったよくある構図に収まらない歪みがある。安藤昇はマーケットを荒らす九天同盟の面々に最後の最後まで手を出そうとしない。しかし彼らの蛮行は止まず、安藤はマーケットの日本人たちに「卑怯者」と後ろ指をさされる。歯がゆい二律背反に苛まれながらも平静さを装って第三の道を探り続ける安藤の姿は並のチンピラとは比べようもない威厳に満ちている。
加藤泰お得意の局限的なカメラワークも、安藤の小柄さを上手いこと韜晦しつつストイックな精神性を表すものとして十全に機能していたように思う。
また『緋牡丹博徒 お竜参上』における橋上での藤純子と菅原文太の逢瀬シーンが好例だが、オブジェクトによって物理的に局限された画角の中で男女が見つめ合うというショットは擬似的な密室であり擬似的な性交だ。本作でも安藤昇が助手の看護婦と同衾するシーンがあるが、ここでも襖や壁によって彼らが画角の隅に追いやられていたことでよりエロティシズムが倍加されていたように思う。
撮影技法のみならず、現在時制と過去時制を行き来するトリッキーな物語構成もきわめて異質で面白かった。手術が始まる直前でスパッと終幕するこの感じ、何かすごい見覚えがあるなと思ったら手塚治虫の『ブラック・ジャック』だな…『ブラック・ジャック』の連載が始まるのは70年代で、本作は66年の制作なのでもしかしたら手塚治虫は本作に何らかのインスピレーションを受けたのかもしれない。
今はもう、誰も知らない
加藤泰監督1966年の作品。
この後『阿片台地 地獄部隊突撃せよ』『懲役十八年』と続く、主演・安藤昇との“戦中世代三部作”の第1作目。
ビルに囲まれたみすぼらしい医院。ある日、重傷の急患が運ばれて来る。医師の雨宮はその男を知っていた。沖縄戦線で共に闘った戦友、柴田。実は在日韓国人で、今は本名の崔と名乗っていた…。
この数奇な再会の現在、戦後すぐの大波乱の過去、さらに遡っての二人の出会いの戦時中…。
それらが交錯して描かれていく。
沖縄での激戦中、はぐれてしまった雨宮と柴田。
終戦を迎え、内地に戻ってきた雨宮が見たものとは、地元マーケットを支配しようとする中国ヤクザ。
戦後の混沌とした地で繰り広げられる日本人vs在日韓国人vs中国ヤクザの乱。
それはさながら、まだまだ続く戦争のよう。
そんな中再会し、喜び合う雨宮と柴田。
が、状況は違っていた。
雨宮は無関心を通していたものの、彼の身近な者に危険が及び…。
東映から松竹移籍後初の作品。
松竹に似つかわしく無いようなバリバリの東映やくざアクション風。
でも、単なるそれだけじゃない。
加藤流漢たちの熱きドラマ、誇り、生きざま、情感たっぷりの男と女の愛…。
そこに日本と朝鮮と中国、民族間の対立、友情、
戦中~戦後の悲劇をダブらせ、これがドラマの深みになっている。
戦後急成長を遂げた日本。
その陰に…。
今はもう、誰も知らない…。
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