お葬式のレビュー・感想・評価
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0227 雨の中のカーチェイスにドキドキした
1984年公開
葬式の前後3日を2時間の映画にまとめてしまうという
発想が素晴らしい。
友里千賀子ちゃんが出演なので行くぞーになった。
結構平々凡々な役なんだけどね。
彼女を含めて全員が淡々とその1日を演じている。
G線上のアリアの場面は本当に記録映画。
白黒にしているので印象は強くなる。
単なるドキュメンタリーが続くのではなく
アクセントにもなった。
もう一つ高瀬春奈の登場は一瞬でその平穏をぶち壊すのも
インパクト大。それとお尻が強烈。
カメラアングルも凝っていて
お棺の中から生きている人を捕えるのは面白い。
以降普通の監督の発想とは異なる伊丹十三作品が
ここから始まった。
80点
初鑑賞 1984年11月26日 三番街シネマ2
配給 ATG
パンフ購入
亡き後も続く故人の物語
お亡くなりになった千鶴子のお父さん、真吉の出番は、冒頭の数分だった。それでもお葬式を通して彼の人柄が語られることによって、故人の人となりを知ることができる。それがお葬式なんだ、と映画を通して教えてくれた。
エンタメ要素は含まれているが、基本的にお葬式の段取りを淡々と伝えている。誰もが一度や二度は経験するお葬式。慌てふためき、焦燥して、途方に暮れながらも取り仕切らなければならない一連のセレモニーがユーモアを含めながら描かれている。
大滝秀治や菅井きんの挨拶は決して面白いものではないが、訥々と語る姿になぜか惹きつけられる。何も変わったことなど言っていないし、感動的なセリフでもない。でも何故か涙が出そうになった。
誰も笑わそうとはしていないのに、何故かクスリとしてしまう数々のシーン。ああこんな人いるよね、ああこんな光景あるよね、と思わず頬が動く。
「人間は二度死ぬ。 一度目は肉体が滅んだ時。二度目は人々の記憶から消え去った時」という言葉があるが、雨宮真吉は、この葬儀の後もずっと語られていくのだろう。死後も故人の物語りは続いていく。
両親の葬式を思い出しました
親戚縁者も居ない簡素なものでしたが、ケアマネさんや友人が来てくれて一通りの手順を踏まえた事がシーンを観るたびによぎりました。
葬式は一大イベント。
非日常の3日間を過ごすわけですが、その折々に日常が入ってくると自然な笑いになる。
もちろん、当事者たちは儀式を完遂させるために真面目にやっているのだけれども、その世界では普段の日常はおかしなものに映るのですね。
そこを捉えた伊丹監督のセンスは素晴らしいと思う。
あと、本物の猫のタイミングが絶妙でビックリしたかな。
はじめてのお葬式で右往左往
葬式業者の海老原の含みのある演技、岸部一徳の笑い方が個人的にツボだった。
葬式をテーマにつっこみ所満載の喜劇となっているが、後に参列者の葬式でも「あの葬式はひどかったなあ」と笑って話される、そんな葬式が理想的なんじゃないかと。テキトーじゃなくこれくらい"適当"にやっても良いんじゃないか。やっぱり良くも悪くも「こんな人だったなあ」と語り送り出すことが死者への何よりの敬意だと思う。
葬式なんて突然あるものだし予想できるものじゃないけれど、葬式する前には観ておきたい良い映画だった。
悲喜劇としてよくできてる
午前十時の映画祭。
1984年の伊丹十三監督のデビュー作。
初公開以来久しぶりにちゃんと観たけど面白かった。
初公開時はお葬式のハウツーものの部分がクローズアップしていたけど、コロナ後の葬式は自宅ではく、親近者のみの今から観るとお葬式にかかわる大人数の人間関係の悲喜劇ものとしてよく出来てる。
笠智衆、大滝秀治、江戸家猫八、財津一郎など、今では見ないおじさんおじいさん役者が可愛く可笑しい。
あと、この作品でアボカドを知ったんだった(ワサビ醤油で食べると美味しいことも)映画観た後、すぐ買って食べたのを思い出した。
ミニ・クーパーとシティ
公開当時は観ていません。テレビのロードショーでいい加減に観て、面白いなぁ~と思った記憶はあります。
しかし、ありがとう、午前十時の映画祭。ちゃんと劇場でみると、素晴らしいではありませんか!
冒頭のミニ・クーパーとシティの並走シーン…サンドイッチの受け渡しはしませんでしたがf(^_^;上司がミニに、私はシティに乗っていたので実際に土砂降りの中央道を並走したことあります。懐かしかった。
故人に対する思い、お金は有っても思いやりの無い人、夫の立場、妻の立場、愛人の気持ちと、様々な心情が複雑に絡みあって、ホントに人間は…と感じました。
監督の伊丹十三さん、出演している役者さんの多くが既に亡くなっていて、どんなお葬式だったのだろう?と思いました。
高いのか安いのか、別れを惜しむのか暇もないのか
午前十時の映画祭にて鑑賞。
離れた定点カメラからの映像が多く、葬儀に奔走する親族の姿を俯瞰で見ることができた。自分が参列した葬儀の際のポジションにより、作品の見方が変化していく。
三河の伯父の言葉遣いが地元のため印象的。
地味な映画
小学生の頃にこの映画の予告編を見たことがあるのですが、「お葬式」というタイトルってなんかすごいな、と思っただけで実際にこの作品を見たことが無かったので今回初めて見ました。
感想としては「お葬式」というタイトル通り、派手さは無く、ところどころシュールなシーンはあるけれども、全体的に地味な映画でした。オリジナル作品というよりは、ドキュメンタリーに近いような気がしました。
エッチなシーンがあるのは今回、初めて知りました。
今思えば小学生の頃、家族で観なくて良かったなと思いました。
喪服の宮本信子が美しかった
俳優井上佗助のに、妻千鶴子の父・真吉が亡くなったとの連絡が入った。佗助は、初めての事で、戸惑いながらも周囲の助けを借りて葬儀の段取りを進めていき・・・という話。
どうって事ない普通の事なんだけど、あるある、って観てた。
大滝秀治の仕草が面白かったり、菅井きんの締めの挨拶が素晴らしかったり、スピーカーへのコードを辿っていくカメラワークが面白かったりと、色々楽しめた。
昔の俳優がたくさん出てたので懐かしかった。友里千賀子を久々に観れて、可愛かったなぁ、って思った。
宮本信子の喪服姿は美しかった。
究極の家族コメディ
様々なテーマで観客を魅了した伊丹十三監督のデビュー作で、未見でしたが午前10時の映画祭で観る機会がありました。やらなきゃならないのに普段はあまり関心がない『お葬式』を巡って、周囲のアタフタ振りや親戚や会葬者のあるある的なエピソードをうまく取り入れながら、共感しやすい作品になっています。また、後の作品にも見られるマニュアル的描写やストーリーには関係ないエログロ要素が垣間見られるのが面白いです。役者では、山崎努の狼狽ぶりがおかしく、宮本信子の和服の着こなしや犬神家の一族みたいなヘアスタイルがよかったです。でも、一番の名演は、菅井きんで、最後の喪主の挨拶は、愛する家族を見送った誰もが感じる思いを代弁しているかのようでした。
懐かしさで胸がいっぱい
公開時、映画館で見たのかどうかも覚えていない。でも映画館で見ることができました。「午前十時の映画祭」ありがとうございます。
自分が記憶していた以上に伊丹十三テイストがたっぷり入っていたのが新鮮で爽やかだった。食へのこだわり、旺盛な好奇心と探求心、知的な蘊蓄、細やかな観察眼、「日本人」とかなり異なるドライで洗練された美意識と笑い。伊丹十三役の侘助役が山崎努だから一度で二度美味しい!山崎努はこの役をどう思ったのか知らないけれど彼以上の適役はいないと思う。
映画の前半、特に冒頭での台詞や言い方は昔の邦画みたいだった。静かで淡白でなんだか小津安二郎みたい。宮本信子はとても清々しい。亡くなった父の娘で二人の男の子の母親で侘助を愛する妻で母に寄り添う娘。可愛らしく明るくあたたかく演じていた。のちの映画などに濃厚に出てくる台詞や表情の癖がまだない時代。
モノクロ撮影担当は浅井愼平なのかー!お通夜前の準備の様子を子ども含めて映した手持ちカメラ・モノクロ映像は大好き!味があって爽やかでいい!
菅井きんさん、良かった。黒澤明「生きる」では赤ちゃんをいつもおんぶした若い母親役でここでは長く連れ添った夫を亡くした妻。喪主としての挨拶よかった。何気ない表情、動き、視線、そして台詞。演技とはこういうもんなんだと(私は役者でないけれど)伝えてくれたような気がした。
コロナのせいか(おかげか)人を沢山呼んで、お手伝いの人も沢山いるようなそんな昔ながらの通夜も葬式(告別式)もなくなってしまった。宗旨とか戒名とかお布施とか手順とか数珠(値札のついた数珠を取り寄せ選ぶモノクロシーン、高価な数珠が多くてびっくり!)に火葬場、それから今はもう見かけなくなった宮型霊柩車。全てしっかり映ってるし、ある程度説明もされているので、かつての関東・標準型お葬式はこんなんですよ~の記録映画にもなっている!公開当時の観客の反応は笑いと共感、今はへぇ~、そうなんだ~、よくわかんない、だろうか?
葬儀屋役の三代目江戸家猫八さんは芸達者!サングラスの黒レンズ入れて全部で3つのレンズ合体メガネ、笑ってしまうけれどかっこよかった。葬式に誰も履いてこない黒白コンビの靴も「待ってました!」 今、お孫さんが五代目江戸家猫八の襲名披露を寄席でなさってますね。おじいちゃんを超えるほど長生きして動物の声真似を元気に続けて欲しいです。
財津一郎(病院への支払いが想像を遥かに超えて安かったので受付で思わずヘラヘラ笑ってしまう、のと、足が痺れてびっくりかえる所、共に絶品の演技!)、大滝秀治、佐野浅夫、笠智衆、藤原鎌足、津川雅彦、岸部一徳、尾藤イサオ、小林薫などなど男性俳優を挙げただけも錚々たる面々。そしてその場その場の状況を適切に把握し動く、或いはわざと場違いに動く女性達。そういう女性の前で男はなあ・・・というのがこの映画のポイントの一つかもしれない。
一方で大人の映画だなあとも思った。今の俳優さんは若く見えるから?キャスティングや演出の問題?幼いのか若いのか、ひたすら私的個人的世界の中に居るから?そしてこの映画が「昭和」で固められているから?理由はわからない。とにかくこれは大人の映画だった。
いい男でかっこよい「モノンクル」の伊丹十三さんにまた会いたい💕
自分のお葬式は自分で見ることはできないが・・・
以前見た時には全くよさがわからなかった今作品。今回は、一つ一つが心に残った。
懐かしい俳優さんをいっぱい見ることができたが、もうずいぶん昔の映画になるのですね。
中でも笠智衆さんが出てくると、それだけで、「見た甲斐があった」と思ってしまった。
佐野浅夫さんを偲んで
佐野浅夫
2022年6月28日没
享年96
過去に何度も鑑賞
1984年の作品
伊丹十三名義監督デビュー作
監督と脚本は『タンポポ』『マルサの女』『ミンボーの女』の伊丹十三
俳優井上雨宮夫婦は伊豆に住んでいたが2年前に東京に引っ越し元の邸宅は別荘になった
三河に住んでいた千鶴子の両親の隠居先として住んでもらうことに
父が東京の大病院で検査をしてもらった帰り伊豆の別荘で体調が悪化しタクシーで病院に行ったがそのまま帰らぬ人に
慣れないお葬式に苦慮する俳優夫婦の知的コメディーの傑作
コメディーだが特におふざけはなくリアリティーを追求した人間ドラマ
ただただ葬儀を消化する模様を淡々と映像化してる
なんかためになった気がしてお得感
でも葬儀に参加する気にはなれない
面倒だからなるべくなら身内にはもっともっと長く生きてほしい
子どもの頃に初めて観たが緑の茂みに高瀬春奈の大きな白いお尻が一番印象的な映画
愛人登場はお葬式の映画に必ずしも必要とは思えないが高瀬のお尻が一番記憶に残っているのだからわからない
棺桶と一緒に記念撮影の一コマもなぜかユーモラスで印象的
侘助は義理の両親を「おじいちゃん」「おばあちゃん」と呼んでいる
千鶴子のいとこ兄弟の弟は兄を「シゲ」と呼ぶ
違和感を感じたがまあいいだろう
それにしても岸辺一徳がフサフサで若々しい
エンドロールも本編が続く
こういうのは好き
葬儀については何もわからない俳優・井上侘助に山﨑努
二人の息子を持つ侘助の妻で俳優・雨宮千鶴子に宮本信子
喪主を勤める千鶴子の母・雨宮きく江に菅井きん
心臓発作が元で亡くなり葬式をあげてもらうことになる千鶴子の父・雨宮真吉に奥村公延
三河に住む真吉の兄・雨宮正吉に大滝秀治
千鶴子の妹で二人の息子に妊娠中の綾子に友里千賀子
綾子の夫・喜市に長江英和
千鶴子のいとこ茂に尾藤イサオ
茂の弟・明に岸部一徳
雨宮家の親族・黒崎に佐野浅夫
雨宮家の親族・奥村に関山耕司
雨宮家の親族・榊原に左右田一平
侘助千鶴子のマネージャー・里見に財津一郎
侘助の付き人・青木に津村隆
侘助の愛人・斉藤良子に高瀬春奈
サングラスをかけた葬儀業者・海老原に江戸家猫八
浄土真宗の住職に笠智衆
火葬場職員・猪ノ瀬に小林薫
真吉のゲートボール仲間のおばあさん岩切に吉川満子
真吉のゲートボールの仲間で老人会会長に香川良介
真吉のゲートボール仲間に田中春男
真吉のゲートボール仲間に藤原釜足
侘助の別荘の隣に住む精神科の木村先生に津川雅彦
木村先生の妻に横山道代
葬式を手伝う花村夫人に西川ひかる
侘助の別荘のご近所で葬式を手伝うキヨちゃんに海老名美どり
寿司屋の職人でキヨちゃんの夫・フクちゃんに金田明夫
木に引っかかった紙幣を取ろうとした青年に利重剛
葬儀マニュアルビデオに出演した冠婚葬祭の先生に関弘子
病院の会計係に中村まりこ
侘助千鶴子のCM撮影に参加した助監督に黒沢清
電報配達人に井上陽水
葬儀屋の知り合いを作っておくのが一番!
公開当時も画期的な発想の映画ということでかなりの話題になった伊丹十三初監督作品。日頃、葬儀に関して考えたこともなかった家族が突然のことであたふたする風景、知らなかった風習、久しぶりに会う親戚の反応が新鮮に映る。
棺おけの値段、病院での料金、坊さんに対するお布施など。頼りになるのは葬儀屋だけ。実際にもこんなところなんだろうなぁ~。いざというときのための葬儀マニュアルという位置付けだけど、コメディタッチなので葬儀に詳しくない人が必見の作品なのでしょう。
突然森の中でのセックスシーンは賛否両論あるけど、愛人高瀬春奈の肉感ボディと腋毛が最も印象的。まぁ、無くてもいいシーンだけど、庶民的な腋毛とお尻がリアル感を増す効果であったのか。伊丹監督のこだわりなのか、何なのか、今後の他の作品にも見られる特徴の1つだ。
井上陽水が郵便配達人で登場していたり、寅さんへのオマージュなのか、笠智衆が坊さんで登場したりする面白さもある。「“数え”というのはお腹の中に入ったときから数える」などといったウンチクも。
【停滞していた近代邦画に、ニコラス・レイ監督作品に出演し、エッセイスト、デザイナーとしても超一流のマルチな才能を発揮していた、天才伊丹十三監督が新風を吹き込んだ傑作。】
ー 中学生時代から、伊丹十三氏のエッセイを愛読していた。
特に「ヨーロッパ退屈日記」「女たちよ!」「再び女たちよ!」の三冊は、今でも時折目を通す。大袈裟ではなく、百回以上は読んでいる。即ち、再読に耐えうる程、面白いのである。
その伊丹十三氏が映画を製作したと聞いた私の両親は、”その内容を深く知る事もなく”中学生の私と共に、映画館に足を運んだ・・。ー
■今作の魅力(語り始めると、1万字でも書けるので、ほんの少しだけ・・。)
◆誰もが経験するであろう”お葬式”をテーマとして映画化した、伊丹夫妻(伊丹氏と、夫人の宮本信子氏)の勇気と自信と恐れ。
ー 後年の宮本氏のTVインタビューを見ると、映画会社からは
”タイトルが映画向きではない(それはそうだろう・・)”
と難色を示されたが、夫、伊丹十三氏の才能を信じ、多額の借金をし、映画製作に取り組んだ事。
そして、映画公開初日に恐る恐る映画館に夫婦で足を運んだら、長蛇の列が出来ていて、”なんだろうねぇ”と言いながら観たら、「お葬式」を見る人々の列だった事。
そして、それだけの集客力があったこの映画の面白さ。ー
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・突然、女優の妻、千鶴子(宮本信子)の父が亡くなり、おろおろする喪主侘助(伊丹十三)。彼らのマネージャー里見(財津一郎)も、イロイロと奔走するが・・。
ー 喪主の挨拶について、解説するビデオを二人がのぞき込んで見ながら、口上を真似る場面の面白さ。
そうだよねえ、40歳になっても、冠婚葬祭の”葬”については、知らない事ばかりだものなあ・・。ー
・取り敢えず、通夜は自分たちの家ですることにするが・・。
急な木造階段を雨の中お棺を皆で担ぎ上げるシーンのハラハラする面白さ。
ー ロケ費節約のため、今作で登場する家は、実際に伊丹夫妻が住んでいた湯河原にあるログハウス風の家である。ー
・更に、翌日侘助の愛人(高瀬春奈)が訪れ、ナント喪中にも関わらず、アオカンをするシーン。
ー まだ鮮明に覚えているが、喪服姿の高瀬さんが色っぽくて、物凄くコーフンした・・。両親は戸惑っていたであろう・・。
そんなことを察しているように、千鶴子は”夫が縦に激しく腰を振る中”、空虚な表情で木製の振り子ブランコを”横に揺らしながら”、乗っているシーンが映し出される・・。シュールだなあ・・。ー
・風が強い中、受付の箱に置いてあったお悔やみのお札が風に舞うシーン。オロオロしながらかき集める人々の姿。
・そして、焼き場のシーン。
煙突から僅かに上がる煙を見上げながら交わす侘助と千鶴子の何気ない会話。
<誰でもが、いつかは経験するであろう”お葬式”をテーマに、見事に人生の悲喜劇に仕立て上げた伊丹十三監督の初監督とは思えない手腕と、宮本信子夫人が日本を代表する女優として名を挙げた、記念碑的作品。
伊丹監督の、若き妻、宮本信子さんに対する愛が溢れた作品でもある。>
私達の死生観
故人や宗教そっちのけで珍妙な儀礼に追われる日本人の向こうに私達の死生観を確かに浮かび上がらせた大傑作。
極微妙な成長譚の塩梅が魅力と気付いた。
小林薫の夢怪談、加藤善博の棺釘打ち、財津一郎 の足痺れ等、故人と縁遠い人の見せ場が好きだ。
伊丹十三、早逝が悔やまれる。
今こそ本作のリメイクが求められていると思います
親の葬式を出した経験の有る人も多いでしょう
本当に些細なことまでリアルなことが可笑しみを持って描かれています
葬式は故人を中心に社会構造や人間関係を凝縮してフラッシュを浴びせたかのように、見えないそれを可視化します
それ故に映画向きとも言えると思います
本作のように全編葬式という作品は珍しいですが、振り返って見ると結構お葬式のシーンのある映画は多いと気付かされます
1984年の公開作品です
考えて見れば団塊世代の親の葬式が多い時代だったのです
本作には葬式のあるある話だけでなく、団塊の世代の人々が社会の最年長世代になる戸惑いと不安がフィルムに写し撮られているのがわかります
無関心、というよりむしろ足を向けていた、古いしきたりとか伝統とかにも否応なしに順応しようと努力する姿は正にそれでしょう
それが本作をヒットさせた要因のひとつでもあったと思います
本作から35年の年月が流れました
今度は彼ら団塊の世代が葬式をだされる側となりました
急速な人口減少が報じられています
少子化はもちろんですが、団塊の世代が寿命年齢に近付いて来たからです
街中にはセレモニーホールと名付けられた葬儀会館が目に見えて増えてきた時代となりました
今こそ本作を再度見直してみるべき時期ではないでしょうか
本作で騒がしく走り回った子供達の世代が本作の主人公の年齢になったのです
社会構造も、人間の関係性も時代と共に変わりました
時代は平成は過ぎ去って令和となったのです
今こそ本作のリメイクが求められていると思います
映画関係者の皆様の奮起を期待致します
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