「わてはこれでやっと、おっしょさんとおんなじになりました。」お琴と佐助 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
わてはこれでやっと、おっしょさんとおんなじになりました。
谷崎潤一郎の、とても文楽の世話物的なお話。かいがいしく仕える佐吉のいじらしさ。目が不自由なりにも芸事に精進するお琴の気高さ。どちらも一本筋が通っていて、言わずとも心が通い合うふたり。いけずな若旦さんが出てきて、そっちにいっちゃダメだよと危惧する方向へと進む展開は、まさに文楽のよう。結局、報われたのか、報われなかったのか。少なくとも二人は、己たちの運命を懸命に受け入れたのだろうなあ。山本富士子、きれいだった。
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