御誂次郎吉格子のレビュー・感想・評価
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失われた名作たち‼️
日本映画の長い歴史において一番の悲劇は、第二次世界大戦の戦火によって多くの名作映画が失われた事でしょう‼️村田実監督「街の手品師」、溝口健二監督「紙人形春の囁き」マキノ正博監督「浪人街」、伊丹万作監督「国士無双」、山中貞夫監督「抱寝の長脇差」「街の入墨者」「盤嶽の一生」、稲垣浩監督「弥太郎笠」「海を渡る祭札」内田吐夢監督「限りなき前進」などなど‼️まだまだたくさんあると思うのですが、中でも "時代劇の父" と言われた伊藤大輔監督の名作時代劇の数々が観れないのがホントに悲しい‼️「新版大岡政談」「興亡新選組」「侍ニッポン」「丹下左膳」‼️「斬人斬馬剣」は30分くらいの断片を観ましたし、大傑作「忠次旅日記」も不完全とはいえ、105分版を鑑賞しております‼️そんな中でほぼ完全な形で現在観る事が出来るのがこの「御誂次郎吉格子」‼️お馴染みの鼠小僧次郎吉の物語‼️江戸を逃れて上方から大阪へ下った次郎吉は、船中でお仙とお喜乃と出会う。お喜乃の危機を救って、さらに決着をつけるべく捕り方の待ち受ける敵地へ赴く・・・‼️大河内伝次郎の次郎吉の粋なカッコ良さ‼️そんな次郎吉に惚れるお仙の伏見直江さんの魅力‼️お喜乃に扮する伏見信子さんの清純な魅力‼️ちなみに伏見直江さんと信子さんは姉妹なんです、最強‼️颯爽と登場した次郎吉に一目惚れしたお仙のセリフ「あんさんもちょっとした鼠やなぁ!」‼️そして逃げる次郎吉のために囮になるお仙の「あたしゃ お仙という女をあんたに忘れさせないよ!」‼️そして涙ながらに「次郎さん 忘れさせないヨ!」と川へ飛び込むお仙‼️何という情念‼️何という伏見直江さんの魅力‼️もっと彼女の出演作を観たい‼️ちなみに「忠次旅日記」にも出演してらっしゃいます‼️そんなお仙の犠牲を受けた次郎吉は屋根に登る。そして暗闇に浮かぶ無数の御用提灯の灯り‼️ホントに素晴らしい演出で、追いつめられ感が半端ない‼️次郎吉は屋根の上から迫りくる無数の捕り方を見下ろし、また空を見上げる。キレイな月が出ている。そこへ挿入される分割字幕「お仙/お喜乃/いいお月様だなぁ」‼️何とも言えない味わい深さ‼️何という言葉の語調、リズム、間合いの良さ‼️ホントに日本のサイレント映画の字幕の扱いは、外国映画なんかよりはるかに素晴らしいと思う‼️そんな日本のサイレント映画でも、伊藤大輔監督の「忠次旅日記」や今作、小津さんの「生れてはみたけれど」「浮草物語」なんかはホントに名作なので、多くの方に鑑賞してほしいですね‼️そして日本のどこか、もしくは世界のどこかで、失われた名作たちが一本でも多く発見されますように‼️
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