「おっちゃん」"エロ事師たち"より 人類学入門 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
おっちゃん
大阪の下町。仲間からスブやんと呼ばれる緒方(小沢昭一)は理容店を営む未亡人・松田春(坂本)と暮らし、エロ写真、ブルーフィルム、エロテープなどを売ったり、売春斡旋などの裏商売で生計を立てていた。春には死んだ亭主との間に予備校生の幸一(近藤)と、高校受験を控えた恵子(佐川啓子)という娘がいた。幸一は金のかかるぼんくら息子であり、やっかいな存在だったが、恵子は幼い頃、緒方の不注意で交通事故に遭わせてしまった過去があり、妙に緒方を好いていた。
エロ事師という職業に「哀れな男に奉仕している」という自負があり、何度も逮捕されようともくじけることがない。そんなある日、妻の春が入院してしまい、恵子がグレてしまう。元はといえば恵子に手を出そうとした緒方が原因なんだろうけど、グレ方も半端じゃない。チンピラたちと付き合い寝ていただけならいざしらず、そのチンピラを使って緒方を襲わせ金を奪うなど・・・そのチンピラは少年院行きになったが・・・
春が発狂した上で死亡。幸一は家の物を売りさばいて独立。緒方自身はカラカラ(インポ?)になってしまうが、新たにダッチワイフを作るという夢を抱く。
『にっぽん昆虫記』が素晴らしい出来だったので、どこか見劣りしてしまう。時代はと言えば、今作では売春防止法などが施行された背景があり、コンセプト自体が違っているので簡単な比較はできないであろうけど。
小沢昭一の演技はとてもいいのだけど、恵子に対する思いがイマイチはっきり伝わってこないのが残念。一線を越えたのかどうかもわからないのだ。むしろ恵子の気持ちの方がはっきりわかるくらい。急にチンピラと付き合いだしたり、「緒方はん」と呼んでたのが、数年後には「おっちゃん」になってるし。春が病床で「恵子と結婚してあげて」などと言うもんだから、心が空中分解したような感じ・・・
エピローグ的な部分でダッチワイフを必死で製作しているところなど、かなり蛇足気味だし、このストーリー自体を8ミリで撮影したもののように描くところで生き様の真剣さが弱くなってるような。印象的なのは恵子(佐川啓子)の立派な腋毛。坂本スミ子もおっぱいをさらけ出しているが、発狂しているシーンなので痛々しい・・・エロくないぞ。