「歩調」永遠の人 Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
歩調
他の木下作品もそうだが高峰は幅が広い。憎しみに満ちた声が低く伸びてくる。結構な年齢差であるし、キャリア的にも差があるはずだが仲代は魅せる。用心棒と同じ年。三船に高峰。すごいもんだ。
話の視点がすばやく切り変わる。母の視点から息子の視点、夫の視点から父の視点。泣き出す娘。おっと、今度はこっちか。感情が連鎖して幾重にも重なる。恐るべき脚本。風景になるような登場人物はいない。全ての者が個々に考え言動する。
田村正和を探す高峰と再会を果たす佐田であるが、あれあれと先に行ってしまう。ラストも足の悪い仲代を後に置いて行ってしまう高峰。足の悪さもメタファーかも知れぬ。不器用や心の狭さも人の個性。ガチガチとぶつかる不幸。一緒であろうがなかろうが、結局は自分のペースでしか歩けない。
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