うる星やつら 完結篇のレビュー・感想・評価
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終わりだけど終わりじゃない
劇場版5作品目
88年公開作品
署名活動により制作された
タイトルは当初『うる星やつら5 ボーイ・ミーツ・ガール』の予定だったが映画会社との話し合いでなぜかこのタイトルになった
同時上映の『めぞん一刻 完結篇』に合わせてきたのかな
試写を観た原作者高橋留美子が「これがこれこそが『うる星やつら』です」と感動したらしい
『ビューティフルドリーマー』観た時は激怒したと聞いているがえらい違い
僕もあっちよりこっちが好き
これ以前の4作に比べ最も「うる星やつら度」が高い
ほろっとするドタバタラブコメディーこそ『うる星やつら』
監督は『キャプテン 劇場版』『いのちの地球 ダイオキシンの夏』の出崎哲
脚本は『うる星やつら オンリー・ユー』『うる星やつら3 リメンバー・マイ・ラブ』『うる星やつら いつだってマイ・ダーリン』『Dance with Devils Fortuna』『それいけ!アンパンマン いのちの星のドーリィ』の金春智子
粗筋
ラムの曽祖父が若い頃に旅の途中で腹を空かして倒れていたらなんやかんやでウパという小柄な男と「娘が生まれたら嫁として差し出す」などという約束をしてしまう
曽祖父にも祖父にも娘は生まれなかったが父にはラムがいる
ウパの曽孫のルパはラムを許嫁として攫ってしまう
連れ戻しにきた諸星あたるだがラムの替え玉の嘘に騙されすっかり臍を曲げてしまう
事の発端となったルパは幼馴染のカルラと結婚することになりそっちは丸く収まったがあたるとラムはそう簡単にはいかないややこしい状況になってしまった
巨大キノコだらけになってしまった地球を救うにはあたるがラムに「好き」というか鬼ごっこであたるがラムを捕まえるほかない
絶対に「好き」と言わないあたると「好き」と言わせたいラムの意地の張り合い痴話喧嘩
ラムの生え変わる前のツノを握りしめ続けラムの心を掴んだあたる
お雪ちゃんの声って小原乃梨子だったんだね
のび太ともドロンジョとも違う落ち着いた感じの小原乃梨子
このキャラなら深田恭子でも似合いそう
因幡というキャラの存在に記憶がない
TVアニメ終盤に登場したらしいが
面堂財閥が製作した巨大ロボットが派手に登場するが見掛け倒しですぐに爆発してしまうと所が面白い
やはりキャラクターデザインが良い
作画担当者によって思い入れの強さも様々で微妙に違うが
高田明美大好き
美樹本晴彦やいのまたむつみも良いけれど
TVアニメの方も改めて見返して観るかな
声の配役
ラムの目を盗んでガールハントすることが生きがいの高校2年生の諸星あたるに古川登志夫
あたるのことが大好きな「うる星」からやってきた鬼型宇宙人の娘のラムに平野文
面堂財閥の跡取り息子であたるのクラスメートの面堂終太郎に神谷明
あたるの幼馴染かつクラスメートで怪力の持ち主の三宅しのぶに島津冴子
ラムの従弟で鬼族の幼児のテンに杉山佳寿子
友引高校の保険医で巫女のサクラに鷲尾真知子
錯乱坊と書いてチェリーと読む旅の僧でサクラの伯父に永井一郎に永井一郎
ラムの幼馴染で喧嘩っ早い姉御肌の弁天に三田ゆう子
海王星の王女で雪女のお雪に小原乃梨子
ラムの幼馴染でラムに恨みを持つ極端なぶりっ子のランに小宮和枝
ラムの元許嫁のイケメン鬼族だが食いしん坊で牛に変身するレイに玄田哲章
運命製造管理局の局員でウサギのような制服を着用している因幡に鈴置洋孝
女なのに男として育てられ「俺は女だ」とよくキレる貧乏な藤波竜之介に田中真弓
娘を娘と認めず息子として育てている竜之介のバカな父親に安西正弘
あたるのクラスの担任で英語教師の♨先生に池水通洋
娘と地球侵略にやって来たがあたるに負けたことにより諦めあたるを婿殿と呼ぶようになったラムの父に沢りつお
夫に比べると華奢で17歳の娘がいるには若々しいラムの母に山田礼子
妻の尻に敷かれるしがないサラリーマンのあたるの父に緒方賢一
ガミガミな専業主婦のあたるの母に佐久間なつみ
ラム親衛隊のリーダーのメガネ(サトシ)に千葉繁
ラム親衛隊のリーダーのパーマ(コースケ)に村山明
ラム親衛隊のカクガリ(ヒロユキ)に野村信次
ラム親衛隊のチビ(アキラ)に二又一成
友引高校の校長に西村知道
人間サイズの化け猫のコタツネコに西村知博
ラムの許嫁で闇の宇宙(くに)の青年のルパに塩沢兼人
ルパの幼馴染で幼い頃からルパが好きだが強引なアプローチのためルパから敬遠されている闇の宇宙(くに)の少女のカルラに井上瑤
ルパの曽祖父のウパに緒方賢一
20年間コールドスリープしていたラムの曾祖父に北村弘一
ふざけた顔した赤鬼のような姿の記憶喪失装置に千葉繁
ウチとダーリンはいつまでも“ボーイ・ミーツ・ガール”だっちゃ!
これまでの映画前4作はオリジナルだったが、本作は原作コミックが基に。
原作でも最終回エピソードを忠実に映像化。
文字通りの“完結編”。
いつもと変わらぬ友引町だが、錯乱坊とさくらは、ラムが闇に囚われると予言。
その予言通り、空飛ぶブタに乗った黒衣の宇宙人青年・ルパが現れる。
闇の宇宙からやって来たルパは、ラムは自分の許嫁だと称し…。
イケメンで一見ただ者ならぬ雰囲気漂うルパだが、訛り丸出しで何処か間抜け。
どうやらこの結婚話はラムとルパの曾爺さん同士のしょーもない約束が原因。
ラムは初耳。ウチにはもうダーリンが居るっちゃ!
が、ルパは本気で、遂にはラムを連れ去ってしまう…!
救出に向かうあたるたち。
途中、ルパの幼馴染みのカルラと手を組み、結婚式場に乗り込む。
カルラは銃をブッ放すくらいモーレツにルパに想いを寄せており、たじたじのルパ。
こちらもこちらで訳ありだが、問題は…。
今回の経緯以前にちと痴話喧嘩していたラムとあたる。
策略や誤解がこんがらがり、仲はますます悪化してしまう。
遂にはあたるは別れを切り出し、ラムもルパと結婚してやると言い出してしまい…。
全く以て強情者の二人。
不本意ながらいったん地球に戻ったあたるたち。
思わぬ事態が…!
ついつい持ち帰ってしまったルパの星のキノコが大繁殖。このままでは10日後には地球は巨大キノコだらけに…!
この危機を回避する方法は、ただ一つ。
ルパのブタたちにキノコを食べさせる事。
その条件として、あたるがラムに「好きだ!」という事。
当然、あたるは言う筈が無い。
そこで、ラムからある勝負を持ち掛けられる。
それはラムら鬼族のここ一番の勝負法、ラムとあたるが一緒に暮らすきっかけとなった鬼ごっこ…!
原作コミックを読んでいたので、話の展開もオチも把握済み。
原作も本作も最後に見たのは約10年くらい前だが、今でもこの内容はしっかりと覚えていた。
それくらいこの最終回エピソードは面白い。
これまでの映画のような監督独自の世界観が反映された作風ではなく、これが『うる星やつら』!
ドタバタ・コメディを踏まえながら、ワクワクハラハラ、ちょっぴりの切なさ、悲しさ、胸打たれる感動も…。
アニメーションのベテラン・出崎哲はさすがの職人手腕。
画のクオリティーも高く、劇中何度も何度も、ラムが非常に魅力的に描かれている。
個人的にツボな遊び心として、面堂家私設部隊出撃シーンにあのマーチ曲風の音楽が流れたり、明らかに面堂の声優・神谷明絡みのロボットアニメ風のロボットが登場したり。
色んなお楽しみや感慨深さも含め、“完結編”と締め括るに相応しい。
さて、物語の方は…、
まず、ルパとカルラだが、こちらはあっさりと和解。
ルパがカルラの想いに応えるのに照れ臭かっただけ。
カルラも長年の想いが成就して、めでたしめでたし。
が、ラムとあたるの方は…。
あたるが鬼ごっこに勝つには、ラムの角を掴む事。
が、ラムは飛べるので、走って追い掛けるだけのあたるにはハードルが高過ぎる。
地球の命運も懸かっている。
さらに、とある誤ちで、ラムたちが地球での思い出を全て消し去ってしまう記憶喪失装置まで発動させてしまう…!
たった一言、「好きだ!」と言えばいいだけなのに…。
それが言えない。
いや、言わない。
言いたくないのだ。
こんな状況で。
今言ってしまったら、切羽詰まった状況を回避する為の詭弁になりかねず、本気か不本意か分からなくなる。
いつもいつも浮気ばかりして、いつもいつもラムを怒らせてばかりで、いつもいつも電撃ビリビリでお仕置き。
あたるのラムに対する想いは…?
それはこのあたるの姿が全てを物語っている。
疲れ果て、身体中ボロボロになっても、あたるはラムを追い掛け続ける。
忘れるものか。
たった一言、言葉で伝えるのも大事。
が、あたるのこのひたむきがむしゃらな姿には、たった一言言葉以上の想いが満ち溢れている。
鬼ごっこの決着。実はあたるはずっと、ラムの角を手にしていた…!
ラムとあたるらしいハッピーエンド。
意地っ張りで、痴話喧嘩を繰り返しながら、それでいて…。
「一生かかっても言わせてみせるっちゃ!」
「いまわの際に言ってやる」
いつまでもいつまでも。
ボーイ・ミーツ・ガール。
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