「傑作」うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)
傑作
どこか浮いたような不思議な感覚が全体を包む。
現実から切り離された解放感と閉塞感、喧騒と静けさ、あの頃に共有されていた確実で曖昧な空気。相反する様々な要素が、天才的作画とショットの連続で展開する。
風鈴が鳴り響く迷路に迷い込んたしのぶを、アパートの窓から見つめる男は誰?
終わらない夢のような学生運動に明け暮れながら、大きな時代の流れとともに青春の時代が終焉を迎えることを察知している。迷路の出口を探すあの頃の自分を、時空を超えて見つめているもう一人の自分のようだった。
夢が終わり廃人のようになった冒頭のあたるの表情、小さなラムから「責任取ってね」と告げられたショッキングなシーンは、もうトラウマ級のホラーだった。
さて。お馴染みのキャラたちに、あるべきコードに従ったセリフを言わせながら、押井はそのフォーマットを使って自らの精神の自由を提示した。
原作がこの上ない魅力と包容力を持つからこそ、原作のアイデアに溺れず、押井は自分自身の才気を十全に発揮できたのだと思った。天才留美子の天才押井バージョン。いやもう最高でしょ
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