「永遠の1時間36分」うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー ヤナコさんの映画レビュー(感想・評価)
永遠の1時間36分
中学生の頃に劇場公開→その後のテレビ放送で見ました。当時は「難しいけど、感動した」と、テーマソングの「愛はブーメラン」の印象が強烈に残っていました。
そこから約40年近くたってアマプラで視聴可能に。
あぁ・・・・押井守監督は凄ぇぇ・・・・・
中学生当時以来なのでストーリーはほぼ憶えていなかったのですが「タイムリープで、ラムが鍵」だけは憶えていたので、そういう前提でラムの言動に注目をして見て楽しみました。
単純に言えば「夢落ち」です。
ラジオなどでは「夢の話」というのはタブーと言われています。荒唐無稽で証明しようがないのと、下手をするとオチが無い場合もあるから。
でも、この作品はその夢を絶妙に料理して、設定をとても緻密に練って「我々観客の現実」と「作品内での現実」と「作品内での夢の世界」の境界線が判らなくなってしまうような、不安定な感覚に陥らせます。
大人になり様々な『タイムリープ』作品を見てきたので、辛うじて話が理解が出来たのだが、当時「うる星やつら」というモチーフで、この構成を考えつき、完成させた押井守監督の力量と胆力が凄い。
夜、メンバーが謎を解くべく学校内に潜入し、混乱しラムがあたるを探すために校内を飛行するシーンはカットやカメラワークが凄かった。(スタッフに板野一郎のお名前があったのだけど、もしかしてこのシーンに関わっているのか?)
戦闘機に登場人物がしがみついて飛び出すシーンなどを筆頭に、良い意味でアニメ(漫画)の自由さとエンターテイメントがぎゅっと勢いよく詰まっている感じも良し○。パワフルさで細かな設定などを押し切るバランスの良さを感じました。
そして、この物語には判りやすい「悪役」は存在しないのだが、序盤の気味の悪い演出、「何かがおかしい?」と気がつきだした時の不安感、世界観が判った時の衝撃とそれを解決する「どうなっちゃうの??」というドキドキ感からのバクが一気に夢の世界を壊す開放感からのクライマックス。
そして、クライマックスを越えてラストシーンにタイトルがバーンと来てのEDイントロスタートの爽快感は実にジェットコースター的で凄いと思いました。悪役など必要無し。
「夢」ならば、一瞬だけど作品内では永遠的に繰り返し、でも現実は1時間36分・・・・不思議な感覚です。
「愛はブーメラン」はおぼろげではありましたが、ちょっと歌えて、思い出せて楽しかったですし、名曲ですね♪うん、本当に良い曲♪
やっぱり巨匠と言われる人の作品は、時代や国境や世代を超越する名作揃いなのだと思いました。