「荒唐無稽なイマジネーションと夢とワクワク!」宇宙大戦争 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
荒唐無稽なイマジネーションと夢とワクワク!
久々に無性に見たくなった一連の東宝特撮SF。
「地球防衛軍」「宇宙大戦争」「海底軍艦」の3本を見ようとレンタル店数件回り、残念ながら「地球防衛軍」だけ見つからず。代わりに別の作品は幾つか発見。
追い追いレビューしていくとして、まず本作は…
「地球防衛軍」と並ぶ、東宝特撮本格SFの名作。1959年の作品。
何と言ってもこの作品、「シン・ゴジラ」のヤシオリ作戦でマーチ曲が使われて話題に。
話は単純明快な異星人地球侵略モノ。
国際宇宙ステーションが襲撃され、地球上では建造物が上空に引き上げられる怪事件が発生、国際会議の場には何者かに操られたスパイが。
遊星人ナタールの地球侵略の始まりに過ぎなかった…。
月の裏側に秘密基地を作り、地球侵略を企むナタール。
月に赴き、一戦交えた後、遂にナタールの地球侵略が開始。
人類は地球を守る為、迎え撃つ…!
一番の見所は言うまでもなく、円谷特撮演出。
中盤の月世界での闘いは比較的おとなしめだが、後半は円谷特撮演出の見せ場の連続。
宇宙空間での地球の戦闘ロケットとナタールの円盤の闘いはなかなかスピーディー。
重力を操るナタールの攻撃シーンは今ならCGで簡単かもしれないが、よくよく考えればミニチュア・操演・合成で見事に見せきったと感心する。
そして、円谷特撮演出に欠かせない伊福部音楽が高揚感抜群。
(それにしても…、数ある伊福部マーチの中でも“宇宙大戦争マーチ”は“怪獣大戦争マーチ”“地球防衛軍マーチ”と比べるとそれほど有名な方ではなかったが、「シン・ゴジラ」以降バラエティーでも使われたりしてこんなに人気曲になるとは…!)
人間ドラマ部分は池部良演じる主人公と安西郷子演じるヒロインの取って付けたような恋愛面はクッサイが、全体的には本多監督らしい生真面目な作風。
この手のSF作品の場合、製作国が地球を救ってバンザイ!となるが、ちゃんと世界の国々が一致団結して立ち向かっているし、一度ナタールに操られ我に返った土屋嘉男の犠牲的精神は平淡なドラマ部分で感動ポイント。
勿論、ツッコミ所は挙げ出したらキリが無い。
「ID4」級の侵略の脅威とスケールではあるのに、約60年も前の特撮作品だからかショボく感じる人も居るだろうし、ラストもあっさり。
でも、
1959年製作で劇中の時代設定は1965年。
ほんの数年先を舞台にして、今、こんなSF作品が作れるだろうか。
頭でっかちなSFになりがち。
荒唐無稽と言ってしまえばそれまで。
しかし、その荒唐無稽にイマジネーションと夢とワクワクがあった!