劇場公開日 1967年3月25日

「ギララじゃつらいよ」宇宙大怪獣ギララ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0ギララじゃつらいよ

2022年2月4日
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鑑賞方法:VOD

笑える

単純

寝られる

怪獣映画ブーム真っ只中の1960年代、各会社が東宝ゴジラに続けと言わんばかりに怪獣映画に挑戦。
特に1966年末から1967年は…
東映『怪竜大決戦』、大映『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』、日活『大巨獣ガッパ』、そして東宝は『キングコングの逆襲』『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』が公開。
TVでは『ウルトラQ』『ウルトラマン』が放送スタート。
一年を通して怪獣が見れる、今となっては考えられない、ファンにとっては夢のようなステキな時代だった。
そんな中、意外過ぎるこの会社まで!
松竹。
日本全国を蹂躙する怪獣みたいな破天荒男はいるけど、れっきとした怪獣。
ホームドラマや人情劇の松竹が、一体どんな怪獣映画を…?
怪獣が日本中を旅して家族の温もりや人情に触れる…?
いえいえ。そいつは宇宙からやって来た。
その名は…

ギララ!

…うん。
ギララって名前もデザインも、
特撮も脚本も演出も演技も、
何もかもが、
THEチープ!
よくこれで東宝ゴジラや大映ガメラに対抗しようと思ったもんだ。

まず、主役怪獣のギララにまるで魅力を感じない。
一応、宇宙大怪獣。
なのに、デザインも咆哮もカッコ悪いし、頭のアンテナみたいのが間抜けに見えて、おバカ怪獣。
一応、都市破壊や自衛隊と決戦は見せてくれるが、暴れっぷりも口からの光線もステレオタイプ。
全く醍醐味や興奮を感じられず。ギララ自体これと言った特徴ナシ。
唯一の自慢は後年寅さんにゲスト出演して(実は寅さんより先に銀幕デビュー)、タコ社長にゴジラと間違えられた事。
いかにゴジラやガメラ、ウルトラ怪獣が魅力的で個性的な事か。

タイトルは“大怪獣”だが、東宝や大映の怪獣映画と差別化を狙って“SF映画”路線で売り出したという。
まあ確かにメカニックや月面基地など、こだわっているようではある。
怪獣映画の宿命は例外もあるが、人間ドラマ部分が弱い。
人間ドラマに定評のある松竹、そこは腕の見せ所。他の会社と違って、怪獣映画の中にも卓越した人間ドラマを発揮!…出来なかった。
人間ドラマのメインは宇宙パイロットたちの話。
特に序盤なんかはのほほ~んとして、真面目にSFやる気あるの…? 何だか本当に、“とらや宇宙に行く”な雰囲気。
月面基地で檜風呂に入るわ、男女の色恋沙汰あるわ…。
これで面白味があったらいいんだけど、メッチャつまんねー!んだからどうしようもない。
人間ドラマ部分も東宝特撮の方が、しっかりとツボを抑えていて面白い。

本編も特撮も残念。
ちゃんとそれは興行にも表れ、失敗。
結局松竹はこれ一本で怪獣映画は打ち切り。
その判断は正しかったのか、この失敗をバネにまた挑戦すればひょっとして…?
事実松竹は怪獣映画は脱退したが、『吸血鬼ゴケミドロ』などカルト怪奇映画でその特撮手腕を発揮する事になる。
…のだが、

むか~し昔、一度見て以来の久々の鑑賞。
その時はWOWOWで東宝以外の特撮作品特集で、大映は言わずもながな、東映も日活もそれなりに面白かったのに、こちらは…。
今回久々に見ても、その印象は覆せなかった。

またダメ出しして申し訳ないが…
よくこれでゴジラやガメラに対抗しようと思ったもんだ。
ギララじゃつらいよ。

近大