劇場公開日 1951年1月13日

「娘道成寺の女」偽れる盛装 talismanさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5娘道成寺の女

2021年2月22日
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鑑賞方法:映画館

知的

萌える

小唄から始まり、長唄が聞こえて、娘道成寺のクドキの箇所の踊りのお稽古場面を見ることができただけで嬉しい💕それに加えて、芸妓・君蝶=京マチ子の美しさと強さと逞しさ、働かなきゃ!が心に染み入る映画で、夢のような時間でした。

着物がまた素敵で、当時としては京都としては、かなりモダンだと思うような、大胆な色々な縞柄。それを完璧に京マチ子は着こなしていて美しい。娘道成寺の衣装と顔で足袋はだしで全速力で走る君蝶!道成寺の女を怒らせたら怖いこと、知らなかったのね、妻子が居るのに芸者遊びしたおじさん。

京都は確かに戦争の被害を受けずに済んだから、町家の美しい屋根と町並みも残った。そして旧態依然も残ったという言葉が胸に強く響いた。だから、君蝶が妹を思う気持ちも真実で説得力がある。私はここで、もう少し踏ん張って頑張るから、あんたは東京に、格式とかそんなこと関係なく自由に生きることができる場所に行け!と言う姉。泣くから駅まで見送りに行ってはだめよ、と母に言う娘=君蝶。

京マチ子の怒った喧嘩顔はいつも美しい。この映画でも女同士のほっぺた叩き合い、つかみ合いの喧嘩シーンよかった。

殿山、進藤、小林といった錚々たる男性俳優陣も素晴らしかった。京マチ子、27歳、なんて大人で辛くて美しいんだろう。

talisman