伊賀忍法帖のレビュー・感想・評価
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真田さんの黒歴史
果心居士にそそのかされた松永弾正の奸計に立ち向かう主人公の物語。
大好きな真田広之が若い頃に主演した作品です。流石に格好良く、そしてアクションのキレも抜群ですね。
ただ、この頃の真田さんの映画は、「子供向け」に撮られた作品が多いように感じられます。
「青春・恋愛」ですらなく、「特撮ヒーロー物」のような作品。正直、大人が観れば評価出来ない作品が多く、この作品もそんな作品群の一つのように思っています。
この作品の問題は、山田風太郎氏の小説を映画化したこと。
彼の作品に描かれる忍法は突飛で、当時の映像技術ではとても再現不可能なものです。実際、特撮シーンは観るに堪えないレベルのもので、映画の評価を大幅に下げるものでした。
もう一つの特徴は、残虐なシーン、或は妖艶であったりお色気なシーンが多いこと。実際にクビが飛び交い、無残な凌辱シーンもあり、それらはとても子供に見せることが出来ないものでした。つまり、冒頭に書いた「子供向け」とは相反するものになり、対象が曖昧になる結果となってしまいました。
こんな作品を映画化するなら、黒崎輝が主演した「コータロー」や「カバ丸」のような青春物を作った方が、数段マシのように思われます。
真田さん自身のキレは兎も角、映画全体での殺陣レベルは幼稚。当時人気が出始めていたジャッキーチェンは勿論、TV時代劇の影の軍団にも遠く及ばないレベルで、映画としてはまったく評価出来ないものに感じます。
私的評価は1.5です。
キャストの演技や殺陣は良いが
なんてものを見てしまったんだ!
真田さんしかアクションできてかつ集力があるスターがいなかったのかな。忍者とか、アクション主体の映画だと真田さんが演じることが多い。
とは言え、だから?真田さんご自身はこの頃よく演じられたキャラクターとそう大差なくといったところ。何がどう違うのか、思いだせない。実はみんな同じ役柄でいろんな映画に出ているんだよ、と言われても、やっぱりそうかと思ってしまうほど大差ない。
真田さんの出演作を眺めると、実は演技力が際立っている映画もあるんだけどね。反面、似たような役を続けさせられていた時代の映画の一つ。
渡辺さんのデビュー作。真田さんの相手役を選ぶオーデションで見出されてと聞くけど、そのときすでにこの役を演じる前提だったのだろうか?
相手役のオーデションということならいとうかずえさんもそうだったと思うが、いとうさんのデビュー作はそれなりに可愛いヒロインという役どころだったと記憶するが、渡辺さんのこの役ときたら…。デビュー作で一人三役というのは、当時のアイドル映画からするとかなり演技力を期待され、それなりに応えていたと思うし、他の角川三人娘の中でも一番の正統派美少女で時代ものに合うと思うけど…。それにしたって、デビュー作からこんな役。もっとアイドルアイドルした役でデビューさせてあげたっていいじゃない、と思う。
そういえば、『セーラー服と機関銃』でも薬師丸さんが宙吊りにされて話題になったけど、角川って話題になれば何でもよくて、その俳優・女優のキャリアプランとか売り出し戦略とかなく、使い捨ての感覚だったのかな。売れればそれで次を作るし、売れなければ・潰れれば次を探せば良いってか?
と、真田さんだし、オーデションでみいだされたアイドルだし、というアイドル映画を見るつもりで見たら、とんでもないものだった。
なんか、仕掛けの大雑把なお化け屋敷のアトラクションを見た感じ。これでもかとえげつない映像を出してくる。へえ~、ひょえ~とは思うけど、心に残らない。
角川がつまらなくなってきた頃の映画かな。
頭全部の移植
BS-TBS版鑑賞。 渡辺典子が可愛い。デビュー作からこんな艶役や...
山田風太郎×角川の術
山田風太郎の伝奇時代劇小説を映画化した1982年の角川映画。
主君の妻を我が物にしようと企む武将。
入れ知恵し、力を貸す妖術使いたち。
その邪な目的の為に愛する女を殺された伊賀忍者の若者。
忍術と妖術の闘いが繰り広げられる…!
特撮を駆使した見せ場やアクションは見もの。
実寸大の東大寺と大仏のセット、それが焼け落ちるシーンは圧巻。
真田広之のカッコ良さ。
本作でデビュー、一人三役の渡辺典子の魅力。
佐藤蛾次郎、福本清三ら妖術使いのキャスティングが個人的にツボ。
ちょいちょいのエロやグロ、チープでツッコミ所も多々だが、角川娯楽ムービーである。
だけど残念ながら、ストーリーが…。
邪な野望、愛の為の闘い、忍術妖術バトルなど娯楽要素たっぷり織り込められてるように見えて、はっきり言って、散漫し纏まりに欠け、破綻している。
ストーリーだけ追ったら、イマイチ…と言うか、非常に面白くないだろう。
ここら辺、もっと巧く出来なかったものか。
演出もケレン味足らず、監督の個性に欠ける。
現代技術を駆使してリメイクするのも一考。
でもそれで、2003年版『魔界転生』や『SHINOBI』みたいになったら洒落にならないか。
この時代のこの作風の味。
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