劇場公開日 1958年5月13日

「身につまされる人物」杏っ子 こまめぞうさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0身につまされる人物

2023年7月29日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

単純

難しい

出てくる人物たちが特別なこともしていないのだが実在感をもってスクリーンの中にいる。

人間的によくできた父、同じ小説家をめざしているばかりにどんどん劣等感にさいなまれて堕ちていく亭主。
亭主を軽蔑しているのになぜだか見捨てることができない主人公。

亭主がだいたいにして、プロポーズの段階から人間的にいやらしいのがものすごくよく出ている!
またそれをなんとはなしにわかっていながらも高潔な人格ゆえに許してしまう
主人公たち。
その高潔さがまた亭主の劣等感をちくちくちくちく刺激し続けるのだが。
うん、まあ、甘えですよね。

いやあ、観ているとほんとうにこの亭主にうんざりして早く離婚しろよと思ってしまうのですなあ。
でも亭主の気持ちもなんだかものすごくわかってしまうのが見ていて身につまされてしまうのだなあ。

ラストも、ええ~~~~……と思うが実際にこういう人々多そうだよ。
ここまで高潔ではないだろうけど。

最近こういう派手ではないけど真に迫る感じの人間を描き出す監督って他にだれがいるのでしょう。
私はあまり知らないから詳しい人教えてほしい。
そういうの観たいなあ。

こまめぞう