劇場公開日 1990年6月2日

「すでに公開前からタイトルだけで勝負あり。 今ではすっかり定着、伊丹監督のネーミングセンスが光りましたね。」あげまん 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0すでに公開前からタイトルだけで勝負あり。 今ではすっかり定着、伊丹監督のネーミングセンスが光りましたね。

2025年3月23日
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鑑賞方法:映画館

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2月21日(金)からTOHOシネマズ日比谷さんで開催されている「日本映画専門チャンネル presents 伊丹十三 4K映画祭」(監督作品を毎週1作品、計10作品上映)も折り返し地点。本日は当時流行語にもなった『あげまん』(1990)。

『あげまん』(1990/118分)
バブル真っ只中でイケイケドンドンの世の中でもさすがに『あげまん』のタイトルと響きはインパクト十分。
当時耳目を集めて、すでに公開前からタイトルだけで勝負あり。
今ではすっかり定着、伊丹監督のネーミングセンスが光りましたね。
『お葬式』『タンポポ』『マルサの女』『マルサの女2』とほぼ1年おきに本作含め5作続けて監督・脚本としてヒットを生み続ける監督の力量に改めて脱帽です。

実に35年ぶりに鑑賞しましたが、ドロドロしそうな男女の色恋話をカラッと明るいエンターテイメントに昇華した日本人の琴線に触れる人情喜劇。
ナヨコ(演:宮本信子氏)のあげまん素質という特殊能力も分かりやすくて、彼女を中心とする男たちの立ち振る舞いも個性豊かで三者三様、実に面白いですね。
本作でも与党幹事長・鶴丸国男(演:北村和夫氏)が入院先の病室で丸ごと皮だけ剥いた高級メロンに下品に被りつく、監督作品ではお約束の食事のシーンもあり、何も語らず一発で素性が分かる実に上手いシーンだと今回も感心しました。

矢萩久登