劇場公開日 2020年4月3日

「これが噂の…」AKIRA とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5これが噂の…

2020年5月15日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

萌える

エネルギーの暴走・破壊と、幼馴染の確執…。
SFチックな未来の退廃的な世界観と最先端の未来予想図が描かれる一方で、
人間誰しもが持つ普遍的なテーマ:力への憧れと劣等感・不安のエネルギーが半端なく暴走していく。ああ、誰にも止められない…。

原作未読。
興味をそそられながらも、生半可なエネルギーじゃ対峙できないと、いつも背表紙、もしくは最初の数ページを読んで挫折していた漫画。

それが映画化ってどんな作品になるのだろう。
「世界中の映画監督他に影響を与えた…」と聞き、鑑賞。

正直、現時点では、物語のストーリーだけを書いてしまえば、似たような映画・アニメはごろごろ転がっている。
 人類を超えた”新人類”ものは、私にとっては、石森章太郎(当時)先生・平井和正先生の漫画『幻魔大戦』(1967、アニメは未見)や、竹宮恵子先生の漫画『地球へ』(1977-1980連載、アニメは未見)等で洗礼・衝撃を受けたので、特に目新しくもない。

けれど、この緊張感の持続は何なんだ。
 この先はこうなっていくんだと思うんだけどという安易な予測を裏切るところと、その通りになるところが混在していて飽きさせない。
 さくっと皆殺しの残酷なシーンがあるかと思えば、実験体を食い物にすると思われた大佐が実験体を気遣う場面も。
 世紀末の破壊が描かれている一方で、幼馴染の確執が軸になっていたりする。
 スタイリッシュな世界観の中に、共存する泥臭さ。
 この世界の舞台の年をちょっとだけ過ぎた今、1980年代に考えられていた未来と今の比較や、昔懐かしい暴走族、全共闘世代などの泥臭い世界観が散りばめられる。
 人物デザインに関しては、チラ見した原作の方が美しくて、この映画に対して不満が残るが、途中ベジータか?と見まごう絵もあり、つい食いついてしまう。
 そして何より、破壊されていくシーンの見事なこと。実写では表現できないだろう、うねりとか、デザイン画のような美しさ。
 そして音楽。ここでこういう音を合わせるかや、無音の演出も含めて、堪能させていただいた。

ストーリー展開は、なんとなくこういう設定なんだよなと思いつつ、ちらっとだけ見せても、なかなか明らかにしない。じれったい。説明不足の散漫なストーリー。『MI-Ⅲ』のように、話の中心にありながら、正体が判るようでちゃんと説明されない”AKIRA”。そんな脚本の、破壊しそうでギリ繋がっているところも、この世界観にマッチしている。
 突っ込みどころも満載。荒削りな演出のようで、計算されつくした演出のようにも見えるし、なんとも不思議な映画。
 原作者が監督なので、バッサリ切っても、原作を変えても、原作の世界観が一本筋が通っているから、分解せずにすんだのだろう。

グロさに目をそむけながらも、破壊の場面の美しさに目が釘付けになり、音楽に鼓動が高鳴る。
 そして、思春期の心は金田にシンクロし、中年の心は鉄雄の心にシンクロする。会社での地位を己の力と混同して暴走しそうになりつつも、本当の自分の小ささに、それが露見すること、自覚することに恐れおののき…。今はコントロールで来ていると信じつつも…。そんな己の状態のチェックとして、親友・金田のような存在を必要としつつも疎ましく…。

物語が似たようなものでも、脚本、演出、映像、音楽でこれだけ見せていただける作品になるんですね。
多分、何度も見直す度に新たな発見がありそうな映画です。
DVD等で何度も再生・止めて、マニアックなシーンを見つけるのも楽しいけれど、音響が良くて、映像の良い大画面で堪能したい。

こりゃマニアックなファンがつくわ。

とみいじょん
琥珀糖さんのコメント
2024年1月29日

お久しぶりです。
共感ありがとうございます。

AKIRAについて何も知らなかったです。

これが噂の
まさにその心境です。

琥珀糖
Mさんのコメント
2022年11月16日

マンガも名作です。機会があればぜひ。

M
とみいじょんさんのコメント
2022年2月10日

マサシ様

コメントありがとうございました。
マサシ様のレビューが見つからなかったので、こちらに返信いたします。

『地球へ』ご存じの方がいらっしゃってうれしいです。
骨太のSFが生み出されていた時代でした。

とみいじょん
マサシさんのコメント
2022年2月7日

竹宮恵子先生の漫画『地球へ』
大変に懐かしいです。

マサシ